薬剤師の自己PRの書き方|強みを実務経験から見つける方法と例文を元人事部長が解説

この記事でわかること
  • 薬剤師の自己PRを実務経験から作る5ステップ
  • 強みが分からないときに、最近の仕事から材料を見つける方法
  • 自己PR・自己紹介・志望動機・キャリアプランの違い
  • 数字や大きな成功体験がなくても自己PRを作れる理由
  • 履歴書・職務経歴書・面接で情報量を調整する方法

薬剤師の転職で自己PRを書こうとすると、自分には特別な強みがない、コミュニケーション能力と書けばよいのか、数字で成果を示さなければならないのかと迷うことがあります。

しかし、自己PRは最初に強みの名前を決めて、その強みに合うエピソードを探す必要はありません。

まず、実際の仕事でどのような場面があり、自分がどの役割を担い、何をして、その後どうなったのかを思い出します。そのうえで、今回の求人と関係する経験を一つ選びます。

私は調剤薬局チェーンで薬剤師採用に約6年間携わり、そのうち約4年間は人事部長として採用・人事に関わりました。面接で自己PRを聞いたときも、コミュニケーション能力があります、責任感があります、といった強みの名前だけで判断するのではなく、誰と、どのような場面で、本人が実際に何をしたのかを確認していました。

この記事では、薬剤師の自己PRを状況 → 自分の役割 → 行動 → その後 → 求人との接点の5ステップで整理します。

目次

結論|自己PRは強みの名前ではなく実際の仕事から作る

自己PRは、次の5ステップで作ると事実から離れにくくなります。

STEP確認すること書く内容
1どんな場面だったか仕事上の状況
2自分の役割は何だったか担当範囲・責任範囲
3自分が何をしたか実際の行動
4その後どうなったか結果・変化・学んだこと
5今回の求人とどこがつながるか応募職務との接点

例えば、患者対応が強みだと思っているなら、患者対応力という言葉から始めるのではなく、実際に説明を変えた場面を思い出します。

服薬説明で一度に多くの情報を伝えると理解しにくそうな患者さんがいたため、確認したい内容を分け、反応を見ながら説明するようにしていました。今回の求人でも外来患者への服薬指導を担当するため、相手の理解度を確認しながら説明する経験を活かしたいと考えています。

この文章では、患者対応力というラベルより、何をしてきたのかが分かります。

自己PR・自己紹介・志望動機・キャリアプランの違い

自己PRが書きにくい理由の一つは、志望動機や自己紹介と混ざりやすいことです。

項目中心となる問い主に使う材料
自己紹介これまで何をしてきた人か直近の職歴・担当業務
自己PR仕事でどのように行動してきたか実務経験・役割・行動
志望動機なぜ今回の求人へ応募するのか転職理由・求人内容・自分の経験
キャリアプラン今後どのような経験・役割を考えているか過去・現在・今後の方向

同じ経験を複数で使うことはあります。例えば在宅経験を、自己PRでは多職種との連携行動として使い、志望動機では今回の在宅求人との接点として使うことがあります。

次に整理したい内容から選ぶ

強みが分からないなら最近の仕事から思い出す

強みが分からないときに、責任感、協調性、向上心などの一覧から自分に合いそうな言葉を選ぶ必要はありません。

まず、最近の仕事で次のような場面がなかったか思い出します。

  • 判断に迷って確認した場面
  • 患者・家族へ説明方法を変えた場面
  • 医師・看護師・事務・他薬剤師へ相談した場面
  • 新しい制度・薬剤・業務を学んだ場面
  • 業務上の分かりにくさを整理した場面
  • 後輩や新人へ説明した場面
  • 指摘を受けて仕事の進め方を変えた場面

マイジョブ・カードでも、職務経歴を振り返り、自分のキャリア上の強みと応募企業のニーズを結びつけて自己PRを作る考え方が示されています。

公的情報:職務経歴書における自己PR欄の必要性と書き方|マイジョブ・カード

自分の経験を広く棚卸ししたい場合は、採用側が求める薬剤師の人物像と行動特性で、求人内容と実際の行動経験を照合できます。

STEP1|実際にあった仕事上の場面を一つ選ぶ

自己PRは、一つの文章に自分のすべての長所を入れる必要はありません。

今回の求人と関係する仕事上の場面を一つ選びます。

一般的な勤務薬剤師求人であれば、調剤・監査・服薬指導・疑義照会・チーム内の相談など、実際の業務から選べます。管理薬剤師候補なら、スタッフ教育、在庫・シフト・他部署との調整など、自分が本当に担当した範囲から選びます。

STEP2|自分の役割・責任範囲を分ける

チームで行った仕事を、すべて自分一人の成果として書かないことが重要です。

チーム全体で起きたこと自分の役割として書けること
店舗で手順を変更した問題点を管理薬剤師へ共有した、資料を整理した等
新人教育を行った自分が担当した説明・フォロー範囲
在宅対応を開始した自分が担当した訪問・準備・連携等
残業が減った自分が実際に提案・実施した行動

店舗全体の成果と本人の役割を分けると、面接で詳しく聞かれても説明しやすくなります。

STEP3|自分が実際にした行動を書く

自己PRで最も重要なのは、抽象的な性格ではなく、実際の仕事上の行動です。

抽象的な表現行動へ変えると
コミュニケーション能力がある相手の理解度を確認し、説明順を変えた
協調性がある判断に迷う事項を自分だけで進めず、必要な相手へ相談した
責任感がある不明点を曖昧なまま処理せず、確認してから業務を進めた
向上心がある担当業務に必要な資料を確認し、分からない点を質問した
改善力がある問題を整理して責任者へ共有し、決まった手順に沿って変更した

強みの名前を使うこと自体は問題ありません。ただし、名前だけで終えず、仕事でどう現れたかまで書きます。

STEP4|その後どうなったか・何を学んだかを書く

行動の後に何が起きたかを書きます。

大きな成果である必要はありません。

  • 患者が確認事項を理解できた
  • 必要な疑義照会・相談につながった
  • チーム内で手順を共有できた
  • 次回から同じ確認方法を使えるようになった
  • 指摘を受けて、自分の確認方法を修正した

数字を把握している場合は使えますが、数字がないから自己PRにならないわけではありません。

自分の行動と直接つながらない店舗全体の数字を、本人の成果として書かないでください。

STEP5|応募求人との接点を一文足す

最後に、選んだ経験が今回の求人のどの仕事とつながるかを一文だけ加えます。

ここで、応募企業の課題を外部から推測して、解決できますと断定する必要はありません。

今回の求人で実際に募集されている仕事と、自分の経験をつなげます。

これまで、判断に迷う事項を自分だけで進めず、必要な相手へ確認してから業務を進めることを大切にしてきました。今回の求人でも調剤・監査・患者対応を担当するため、確認が必要な場面で適切に相談しながら業務へ取り組みたいと考えています。

この程度の接続で十分です。

保存用|自己PR5ステップ作成シート

項目自分のメモ
状況どのような仕事上の場面だったか
役割自分は何を担当していたか
行動自分が実際に何をしたか
その後どうなったか・何を学んだか
求人との接点今回の仕事のどこで活かせるか

5項目を埋めてから文章にします。

当サイトのPDFは、個人・勤務先内で印刷して利用できます。法令上認められる利用を除き、無断転載・再配布・販売・販促物への利用・外部サイト等へのPDF直接リンク掲載を禁止します。紹介の際は、PDFファイルではなく、この記事のURLをご利用ください。

【状況】の場面で、私は【自分の役割】を担当していました。その際、【自分が実際にした行動】を行いました。その後【その後の変化・学び】につながりました。今回の求人でも【募集職務との接点】があるため、この経験を活かして業務へ取り組みたいと考えています。

括弧内を自分の事実へ置き換えます。置き換えられない部分は削除してください。

強みの名前は最後に付けてもよい

自己PRは、最初の一文で強みを明示しなければならないわけではありません。

実際の行動を整理した後で、必要なら短い言葉にまとめます。

実際の行動後から付けられる表現例
分からない点を確認してから進める確認を怠らない
相手に合わせて説明順を変える相手に合わせて説明できる
必要な相手へ早めに相談する周囲と連携して進める
指摘を受けて手順を修正するフィードバックを業務へ反映できる

責任感、コミュニケーション能力、協調性などの一般的な言葉を使っても構いませんが、必ず実際の行動とセットにします。

数字がなくても自己PRは書ける

数字があると業務規模を説明しやすい場合があります。

例えば、担当していた在宅件数、スタッフ人数、管理していた店舗数など、自分が正確に把握している数字は使えます。

一方、次のような数字を推測で作らないでください。

  • 患者満足度を何%改善した
  • 服薬状況を何%改善した
  • 売上へ何%貢献した
  • 離職率を何%改善した

自分の手元に根拠がない数字は使いません。

数字がなくても、状況・役割・行動が具体的なら、本人がどのように仕事をしてきたかは説明できます。

大きな成功体験がなくても自己PRは作れる

自己PRに、大規模な改善プロジェクトや表彰歴が必要なわけではありません。

日常業務で実際に行ってきたことも材料になります。

  • 疑問点を確認する
  • 患者に合わせて説明する
  • 忙しいときに周囲へ相談する
  • 新しい手順を確認する
  • 後輩へ自分が分かる範囲を説明する
  • 指摘を受けて次回の方法を変える

特に転職回数が少ない人や経験年数が短い人は、派手な成果を作ろうとせず、日常の仕事で何を大切にしてきたかを探してください。

7つの行動領域から自己PRの材料を思い出す

強みがまだ見つからない場合は、次の7領域から実際の経験を思い出してみてください。

これら7つは、薬剤師採用の全国共通基準ではありません。自己PRの材料を思い出すための整理軸です。今回の求人によっては、別の経験を選ぶ方が適切です。

領域思い出す場面
安全・正確性不明点を確認した、手順を守った、ミス防止を考えた場面
相手に合わせた説明患者・家族・後輩等に説明方法を変えた場面
協働・相談一人で抱えず、必要な相手へ相談・共有した場面
学習・知識更新新しい薬剤・制度・業務を学んだ場面
課題整理・改善分かりにくい点を整理し、責任者へ共有した場面
教育・管理後輩説明、店舗調整、管理業務等を担当した場面
フィードバック・修正指摘を受けて確認方法・仕事の進め方を変えた場面

自己PRが伝わりにくくなる6つの状態

自己PRに全国共通の模範回答はありませんが、本人の仕事ぶりが分かりにくくなる状態はあります。

伝わりにくい状態見直し方
強みの名前だけで終わる実際にした行動を一つ足す
複数の強みを詰め込む求人と関連する一つの経験に絞る
チーム成果を自分の成果にする本人の役割・権限を分ける
数字を大きく見せる確認できる数字だけ使う
応募先の課題を決めつける求人で実際に募集される仕事と接続する
どの求人にも同じ文章を出す今回の求人と関係する経験を選び直す

特に、私はコミュニケーション能力と責任感と向上心があります、と強みを並べても、それぞれの根拠が分からなければ本人の仕事の進め方は見えません。

一つの経験を選び、どのような場面で自分が何をしたのかを書けば、強みのラベルを増やさなくても内容は具体化できます。

自己PRで将来の成果を約束する必要はない

自己PRの最後に、応募先でどのように経験を活かすかを書くことはできます。

ただし、入社前の段階で、売上を増やします、残業を削減します、患者満足度を上げます、と成果を約束する必要はありません。

応募者は、配属後の人員、業務フロー、権限、経営課題をまだ十分に把握していない場合があるからです。

今回の求人で担当する仕事と自分の経験の接点を示し、まず勤務先のルール・役割を理解したうえで取り組む、という表現でも十分です。

例文1|安全・正確性を伝える場合

私は、判断に迷う事項を曖昧なまま進めないことを大切にしてきました。調剤・監査で確認が必要な点があれば、手元の情報を整理し、必要に応じて先輩や管理薬剤師へ相談したうえで業務を進めています。今回の求人でも、手順と確認先を理解し、安全に業務を行うことを基本にしたいと考えています。

必ず先輩へ相談していた、など自分の実態と違う部分があれば置き換えてください。

例文2|相手に合わせた説明を伝える場合

服薬指導では、同じ説明を一律に行うのではなく、相手がどこまで理解しているかを確認しながら説明するようにしています。情報量が多い場合は優先順位を整理し、必要に応じて言葉を変えて確認してきました。今回の求人でも患者対応が予定されているため、この経験を活かしたいと考えています。

例文3|協働・相談を伝える場合

業務上の判断に迷ったときは、自分だけで結論を出さず、必要な情報を整理して周囲へ相談することを意識してきました。相手に何を確認したいのかを先に整理すると、相談後の対応も進めやすいと感じています。今回の求人でも、周囲と情報共有しながら担当業務を進めたいと考えています。

例文4|学習・知識更新を伝える場合

新しい薬剤や制度に関わる業務では、まず勤務先で指定された資料や手順を確認し、理解できない点は確認するようにしてきました。学んだ内容は実際の業務で使う場面と結びつけて整理しています。今回の求人でも新しく覚える業務があるため、必要な情報を確認しながら習得していきたいと考えています。

資格数や勉強時間を大きく見せるのではなく、仕事上どう学んできたかを材料にします。

例文5|課題整理・改善を伝える場合

業務手順で分かりにくい点があった際、自分だけで方法を変えるのではなく、困っている点を整理して責任者へ共有しました。その後、店舗内で決まった方法に沿って手順を確認しながら業務を進めました。今回の求人でも、まず現場のルールと責任範囲を理解したうえで、必要なことは相談しながら取り組みたいと考えています。

自分に変更権限がなかった場合は、改善しましたと大きく書かず、問題を整理して共有したところまでを自分の行動として書きます。

例文6|教育・管理の経験を伝える場合

後輩へ業務を説明する際は、自分が普段行っている方法をそのまま伝えるのではなく、勤務先の手順を確認したうえで説明することを意識してきました。質問された内容で自分にも不明点があれば、確認してから回答していました。今回の求人でも教育・店舗内の連携に関わる場面では、手順と相手の理解度を確認しながら対応したいと考えています。

管理薬剤師経験がない場合は、後輩教育をしたことを店舗管理経験へ広げないでください。

例文7|経験が浅い場合はフィードバック・修正経験を使える

業務を始めた頃、確認の順番について先輩から指摘を受けたことがありました。その後は、指摘された点を自分の確認手順に加え、不明点を早めに質問するようにしました。まだ経験していない業務もありますが、分からないことを曖昧にせず、確認しながら身につける姿勢を大切にしています。

経験年数が短いから自己PRがないのではありません。指摘を受けた後にどう行動を変えたかも仕事上の経験です。

7例は薬剤師に求められる7つの能力ではない

ここまで紹介した7つは、全国の薬剤師採用で共通して評価される能力一覧ではありません。

自己PRの材料を思い出しやすくするために、仕事上の行動を7領域へ整理したものです。

今回の求人が在宅担当なら在宅での連携経験、管理薬剤師候補なら管理・教育・調整経験、病院なら病棟業務やチーム医療との接点など、求人職務に合わせて別の経験を選ぶ場合があります。

厚生労働省も、公正な採用選考では応募者の適性・能力に基づいた基準とし、求人職種の職務遂行に必要な適性・能力を確認することを基本としています。

一次資料:公正な採用選考の基本|厚生労働省

自己PRは応募先ごとに全部作り直さなくてよい

応募先が変わっても、自分の実際の職歴・経験は変わりません。

変えるのは、今回の求人と関係する経験をどれにするか、どこを詳しく説明するかです。

応募求人選びやすい経験
在宅担当訪問、多職種連携、患者・家族への説明等
管理薬剤師候補管理、教育、店舗内調整、確認・相談等
外来中心の調剤薬局調剤、監査、服薬指導、疑義照会等
病院薬物療法、安全管理、チームでの連携等

同じ経験を使う場合も、求人職務との接点だけ調整できます。

職務経歴書全体の作り方は、薬剤師の職務経歴書で採用側が確認するポイントで詳しく整理しています。

履歴書・職務経歴書・面接で情報量を調整する

自己PRの中心となる経験は同じでも、伝える場所によって情報量を変えます。

場面伝え方
履歴書限られた欄に一つの経験を簡潔にまとめる
職務経歴書役割・行動・求人との接点が分かるよう整理する
Web応募フォーム字数・入力項目等の指定を優先する
面接書類の中心内容を変えず、質問に応じて背景を補足する

面接で自己PRを聞かれたからといって、書類と別の強みを新しく作る必要はありません。

面接全般の準備は、薬剤師の転職面接で見られるポイントと質問への答え方へ分けます。

自己PRは何文字書けばよい?

薬剤師の自己PRに全国共通の正解文字数はありません。

履歴書、職務経歴書、Web応募フォーム、企業独自の自己PR欄など、使えるスペースが違うからです。

企業から字数指定があれば、その指定を優先します。

指定がなければ、一つの経験について、状況・役割・行動・その後・求人との接点が読みやすく収まる分量にします。

200文字、300文字などの数字を先に決めて、事実を削ったり内容を水増ししたりする必要はありません。

患者情報・社内秘密を書きすぎない

具体的な経験を書くときは、患者や勤務先を特定できる情報を自己PRへ持ち出さないよう注意します。

  • 患者の氏名・住所等
  • 必要以上に詳しい病歴・私生活情報
  • 勤務先の未公開資料
  • 社内だけで使う売上・人事・経営数値
  • 他の職員を特定できる情報

応募先が本人の仕事ぶりを理解できる範囲まで一般化します。

特定の患者さんの詳細を説明するのではなく、服薬説明で理解度に応じて説明順を変えた経験として整理する、といった方法です。

具体性を出すことと、個人情報・秘密情報を詳しく話すことは別です。

ミスや難しい経験を使う場合は安全・報告・修正を中心にする

失敗経験や指摘を受けた経験も、自己PRの材料になる場合があります。

ただし、失敗を大げさな成功物語へ変える必要はありません。

安全に関わる内容なら、必要な報告・確認を行ったか、指摘後に何を変えたかを整理します。

  • 何が分からなかったか
  • 誰へ確認・報告したか
  • どのように対応したか
  • 次回から何を変えたか

患者・勤務先を特定できる情報を出さず、本人の行動を説明できる範囲へ絞ります。

自己PRが思いつかないときは直近1年の仕事を時系列で見る

自己PRが思いつかない場合は、直近の仕事を時系列で振り返り、応募求人に関係する実際の場面を一つ選びます。本人の役割とチームの成果を分け、自分が確認・相談・対応したこと、その後の変化や学びを具体化します。募集される仕事との接点を示し、把握していない数字や経験を作らず、患者情報や社内秘密を持ち出しません。

自己PRが思いつかない場合は、直近の仕事を時系列で振り返り、応募求人に関係する実際の場面を一つ選びます。本人の役割とチームの成果を分け、自分が確認・相談・対応したこと、その後の変化や学びを具体化します。募集される仕事との接点を示し、把握していない数字や経験を作らず、患者情報や社内秘密を持ち出しません。

強みが思いつかないときは、自分の性格を考え続けるより、直近の仕事を時系列で振り返る方が材料を見つけやすくなります。

例えば、次の順番でメモします。

  1. 普段担当している業務を書き出す
  2. 判断に迷った・質問された・困った場面を思い出す
  3. そのとき誰と関わったかを書く
  4. 自分が実際にしたことだけ抜き出す
  5. その後に変わったこと・学んだことを書く
  6. 応募求人と関係がある経験を一つ選ぶ

自己PRになりそうな経験を先に探すのではなく、仕事を事実として並べてから一つ選びます。

確認項目確認する問い回答の見方・次の行動
時期・業務いつ、どの勤務先・配属・業務での経験か。直近の担当業務や追加された役割から、時系列に振り返る。
起きたこと判断に迷ったこと、質問されたこと、困った場面は何か。自己PRらしさを先に求めず、実際に起きた出来事から選ぶ。
自分がしたことその場面で、自分は何を確認し、誰と関わり、どう行動したか。本人の担当とチームの成果を分け、実施した行動だけを取り出す。
学んだこと対応後に何が変わり、次に活かせることは何か。把握していない数値を足さず、今回の求人と関係する経験を一つ選ぶ。

ここで振り返った経験が三つほど出れば、今回の求人と最も関連する一つを選べます。書き込みには、このページのPDFの4ページで職務経歴を整理し、2ページで一つの場面を具体化できます。

経験年数が浅い薬剤師は学習・確認・修正の経験を探す

経験年数が短いと、管理業務や大きな改善実績がないため自己PRを書けないと感じることがあります。

その場合は、経験の大きさではなく、仕事を覚える過程で自分がどう行動したかを見ます。

  • 分からないことを誰へ確認したか
  • 一度指摘された内容を次回どう変えたか
  • 新しい業務の手順をどう確認したか
  • 患者対応で説明に困ったときどう相談したか
  • 自分の経験範囲を超える事項をどう扱ったか

経験が浅いことを隠す必要はありません。経験していない仕事は経験していないと分けたうえで、今までの仕事で確認・学習・修正してきた事実を自己PRにできます。

ブランクがある場合は以前の経験と現在の条件を混ぜない

育児・介護・療養等でブランクがある場合も、過去に実際に担当した仕事は自己PRの材料になります。

一方、以前できていた業務を、現在もすぐ同じ水準でできると断定する必要はありません。

例えば、過去の調剤・患者対応経験を事実として整理し、復職時に新しい制度・システム・薬剤等を確認する必要があることは分けて考えます。

自己PRでは、過去の経験を大きく見せるより、これまで担当したことと、復職後に確認・学習することを区別できる方が説明しやすくなります。

管理薬剤師・薬局長経験は役職名より担当範囲を分ける

管理薬剤師・薬局長等の経験がある場合、役職名だけでは実際の担当範囲が分かりません。

勤務先によって、採用、評価、シフト、在庫、行政対応、教育、売上管理等の権限・役割は異なります。

そのため自己PRでは、管理職でした、マネジメントが得意です、だけで終えず、自分が実際に担当していた範囲を分けます。

確認項目自己PRで整理すること
スタッフ対応教育・相談・シフト等で実際に担当した範囲
店舗運営自分に決裁権があったこと、上長承認が必要だったこと
在庫・安全管理実際に管理・確認していた業務
他部署との調整誰と何を調整したか

会社全体の成果を自分の管理能力だけで実現したように書かず、役割・権限を分けることが重要です。

調剤薬局・病院・ドラッグストアで万能な自己PRはない

勤務先別の例文を参考にする場合も、業態名だけで自己PRを決めないでください。

同じ調剤薬局でも外来中心、在宅中心、管理薬剤師候補等で募集職務が違います。病院でも、病棟、調剤、DI、安全管理等、求人によって担当業務が異なります。ドラッグストアでも、調剤中心かOTC・健康相談を含むかで必要な経験は変わります。

調剤薬局向け自己PR、病院向け自己PRという完成文を覚えるより、今回の求人で何を担当するのかを確認し、自分の経験との接点を選びます。

例文はそのまま使わず、自分の行動へ置き換える

例文は、文章そのものを借りるためではなく、経験を整理する順番を確認するために使います。

  • 自分が実際に経験した場面か
  • 自分の役割・権限と合っているか
  • 自分が本当に行った行動か
  • 結果を大きく見せていないか
  • 今回の求人に実際に存在する仕事とつながっているか

置き換えられない部分があれば削除します。

例文を自分の経歴へ無理に当てはめるより、5ステップへ戻って別の経験を選び直す方が自然です。

強みを複数並べるより一つの経験を具体化する

自己PR欄に、責任感、協調性、コミュニケーション力、向上心、課題解決力と複数の強みを並べると、一つ一つの根拠が薄くなりやすくなります。

限られた欄なら、今回の求人と関連する一つの経験を選び、何をしたのかを具体化します。

別の強みを聞かれた場合に備え、第二・第三候補の経験をメモしておくことはできます。ただし、提出する自己PRへ全部詰め込む必要はありません。

応募先が求める人物像へ性格を合わせない

応募先の採用ページに、協調性、主体性、誠実さなどの求める人物像が書かれている場合があります。

その言葉に合わせて、自分の性格を作る必要はありません。

求人で必要な仕事を確認し、自分の実際の経験の中に接点があるかを見ます。接点がなければ、無理に同じ言葉を使わないでください。

厚生労働省は、公正な採用選考について、応募者の適性・能力に基づいた基準で行うことを基本としています。自己PRでも、仕事と関係のある本人の経験を事実に沿って説明することを優先します。

応募先の人物像を確認するときも、言葉を自己PRへコピーするのではなく、今回の仕事と自分の実務経験の接点を確認してください。

AIで自己PRを作る場合も事実確認は本人が行う

生成AIを使って、経験メモを文章に整える、長すぎる自己PRを短くする、誤字脱字を確認することはできます。

一方で、AIが次の内容を追加した場合は削除します。

  • 担当していない業務
  • 持っていない資格・経験
  • 確認できない成果数値
  • 自分にない管理権限
  • 応募先に存在するか確認していない仕事

自己PRは創作課題ではありません。最終的には、自分が面接で具体的に説明できる内容だけにします。

元人事部長として自己PRで確認していたこと

私が採用面接で自己PRを聞くとき、強みの名前そのものを採点していたわけではありません。

例えばコミュニケーションが得意ですと説明された場合は、誰とのコミュニケーションなのか、どのような場面だったのか、本人が何をしたのかを追加で確認していました。

改善経験についても、成果を大きく言えるかより、本人の役割・権限、誰へ相談したのか、実際に何をしたのかを確認していました。

また、チーム全体で行ったことを本人一人の成果として説明しているように見える場合は、担当範囲を詳しく確認します。

反対に、大きな成果ではなくても、分からない点を確認した、相手に合わせて説明した、指摘を受けて仕事を修正したといった経験は、本人がどのように仕事をしているのかを理解する材料になります。

これは私自身の採用経験です。すべての企業・採用担当者が同じ見方をするという意味ではありません。

自己PRを書く前に職務経歴を一度整理してもよい

仕事上の経験が思い出せない場合は、先に職務経歴を時系列で書き出す方法があります。

  • 勤務先・業態
  • 在籍期間
  • 主な担当業務
  • 途中から追加された役割
  • 学んだこと・身についたこと

マイジョブ・カードの職務経歴シートも、これまでの職務内容や、職務の中で学んだこと・得た知識・技能等を整理するために利用できます。

公的情報:職務経歴シート|マイジョブ・カード

職務経歴を整理した後、今回の求人と接点がある経験を一つ選び、自己PR5ステップへ移します。

保存用|自己PR提出前チェックリスト

  • 実際にあった仕事上の経験を使っている
  • 自分の役割とチーム全体の成果を分けている
  • 強みの名前だけでなく行動を書いている
  • 把握していない数字を作っていない
  • 大きな成功体験に見せるため誇張していない
  • 患者・勤務先の秘密情報を持ち出していない
  • 今回の求人に存在する仕事との接点がある
  • 応募先の人物像に合わせて性格を作っていない
  • 例文・AIが追加した事実をそのまま使っていない
  • 面接で詳しく聞かれても説明できる

転職全体の中で自己PRを使う位置を確認する

自己PRは、転職活動の一部分です。

まだ求人を探す前であれば、先に何を変えたいか、どんな求人を探すかを整理します。転職活動全体の順番は、薬剤師の転職は何から始める?初めての転職の流れで確認できます。

応募求人が決まり、職務経歴書の自己PR欄や面接回答を準備する段階になったら、この記事の5ステップを使ってください。

なお、自己PRに使う経験は直近の一件だけに限定されません。応募求人と関係があり、自分が具体的に説明できるなら、以前の勤務先で経験した仕事を使うこともできます。

FAQ

薬剤師の自己PRには何を書けばよいですか?

実際の仕事経験から、状況・自分の役割・行動・その後・応募求人との接点を一つ選んで書きます。強みの名前だけを並べるより、本人が仕事で何をしてきたのかが分かる内容を優先してください。

自分の強みが分からない場合はどうすればよいですか?

最近の仕事で、確認した、説明した、相談した、学んだ、改善した、教えた、指摘を受けて修正した場面を思い出してください。先に経験を出し、その後に必要なら強みの言葉を付けます。

コミュニケーション能力を強みにしてもよいですか?

構いません。ただし、コミュニケーション能力があります、だけで終わらず、誰に、どのような状況で、どう説明・相談・確認したのかを実際の行動で示します。

自己PRには数字が必要ですか?

必須ではありません。本人が正確に把握している業務規模等の数字は使えますが、患者満足度や売上貢献率など確認できない数字を作る必要はありません。役割・行動が具体的なら数字がなくても説明できます。

自己PRは何文字くらいがよいですか?

全国共通の正解文字数はありません。企業・応募フォームから字数指定があれば従います。指定がなければ、一つの経験について状況・役割・行動・その後・求人との接点が読みやすく収まる分量にしてください。

志望動機と自己PRの違いは何ですか?

志望動機は、なぜ今回の求人へ応募するのかを説明します。自己PRは、自分が実際の仕事でどのように行動してきたかを説明します。同じ経験を使う場合でも、説明する目的が違います。

履歴書と面接で同じ自己PRを使ってもよいですか?

中心となる経験は同じで構いません。履歴書・職務経歴書では限られた欄にまとめ、面接では質問に応じて状況・役割・行動等を補足します。書類と面接で事実が変わらないようにしてください。

まとめ|実際の仕事から一つの行動経験を選ぶ

薬剤師の自己PRは、強みランキングから自分に合いそうな言葉を選ぶところから始める必要はありません。

まず実際にあった仕事上の場面を一つ選び、自分の役割を分け、自分が何をしたのかを書きます。その後どうなったか、何を学んだかを整理し、最後に今回の求人との接点を一文加えます。

数字や大きな成功体験は必須ではありません。把握していない数字を作ったり、チーム全体の成果を自分一人の成果として書いたりしないことの方が重要です。

自己PRに使う例文も、文章をそのまま借りるのではなく、自分の経験を整理する型として使ってください。

状況 → 自分の役割 → 行動 → その後 → 求人との接点。

この5点が本人の事実でつながれば、抽象的な強みの名前に頼らず、自分の仕事の進め方を自己PRとして説明できます。

履歴書全体を仕上げるなら確認
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選考を進めるなら次に確認

応募後は、内定を取ることだけを目的にせず、面接で仕事内容を確認し、提示された条件を比較し、入社を決めてから退職準備へ進みます。今の段階に必要なところだけ確認してください。

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