- 薬剤師の志望動機を作る4ステップ
- 転職理由・志望動機・自己PR・キャリアプランの違い
- 給与・休日・通勤・人間関係が転職理由でも、無理に別の理由へ言い換えなくてよい理由
- 調剤薬局・病院・管理薬剤師候補・在宅・勤務条件見直しなどの例文
- 履歴書と面接で志望動機を矛盾させない方法
薬剤師の転職で志望動機を書こうとすると、前向きな理由に直した方がよいのか、企業理念への共感を書かなければならないのか、給与や通勤距離を理由にしてはいけないのかと迷うことがあります。
しかし、志望動機は採用担当者に好かれるために本音を別の理由へ置き換える作文ではありません。
大切なのは、今回なぜ転職を考え、なぜその求人へ応募し、自分のどの経験がその仕事とつながり、入社後に何を担当したいのかを事実に沿って整理することです。
私は調剤薬局チェーンで薬剤師採用に約6年間携わり、そのうち約4年間は人事部長として採用・人事に関わりました。面接で志望動機を確認するときも、立派な言葉が並んでいるかより、今回の求人内容を理解しているか、本人の転職理由や経験と大きく矛盾していないかを確認していました。
この記事では、薬剤師の志望動機を転職理由 → 応募先の事実 → 自分の経験 → 今回担当したい仕事の4ステップで整理します。
結論|志望動機は転職理由をきれいに言い換える作文ではない
薬剤師の志望動機は、次の4つを順番につなげると作りやすくなります。
| STEP | 考えること | 確認する事実 |
|---|---|---|
| 1 | 今回の転職で何を変えたいか | 転職理由 |
| 2 | なぜ今回の求人なのか | 求人票・公式採用ページの仕事内容や条件 |
| 3 | 自分の何がつながるか | 実際に担当してきた仕事・経験 |
| 4 | 入社後に何を担当したいか | 今回の募集職務との接点 |
例えば、通勤時間を短くしたいことが転職理由なら、その理由を隠して専門性向上だけを理由にする必要はありません。
ただし、通勤が近いから応募した、だけでは今回の仕事内容との接点が分かりません。そこで、応募先が実際に募集している業務と、自分の経験をつなげます。
通勤負担を見直しながら、これまでの調剤・服薬指導経験を継続できる職場を探しています。貴社の募集では内科を中心とする店舗での勤務が予定されており、これまでの経験を活かしながら業務を継続できると考え応募しました。
このように、条件面を消すのではなく、条件面と応募先の仕事内容をつなぐのが基本です。
志望動機・転職理由・自己PR・キャリアプランの違い
転職活動では、似た質問が複数あります。混ぜると文章が長くなりやすいため、まず役割を分けます。
| 項目 | 中心となる問い | 主に使う材料 |
|---|---|---|
| 転職理由 | なぜ今の職場から変えたいのか | 現職で変えたいこと |
| 志望動機 | なぜ今回の求人へ応募するのか | 転職理由+応募先の事実+経験 |
| 自己PR | 自分はどのように仕事をしてきたか | 実務経験・行動・役割 |
| キャリアプラン | 今後どのような経験・役割を考えているか | 過去・今回の転職・将来方向 |
完全に別々の材料を使うわけではありません。同じ在宅経験を、自己PRでは自分の行動経験として使い、志望動機では今回の在宅担当求人との接点として使うことがあります。
重要なのは、その経験を何の説明に使っているのかを分けることです。
転職活動全体の順番をまだ整理していない場合は、薬剤師の転職は何から始める?初めての転職の流れから確認してください。
STEP1|今回の転職で何を変えたいか整理する
志望動機を考える前に、今回なぜ転職するのかを整理します。
ここでは採用担当者向けの表現に直す必要はありません。自分自身が分かる言葉で書きます。
- 残業・勤務終了時刻を見直したい
- 休日・勤務曜日を見直したい
- 給与条件を見直したい
- 通勤負担を減らしたい
- 在宅を経験したい
- 病院業務を経験したい
- 管理薬剤師・薬局長へ挑戦したい
- 管理職の責任から離れたい
- 人間関係や相談体制を変えたい
転職理由が複数あっても構いません。求人を選ぶ段階で優先順位を付けます。
自分が仕事で何を優先するのか整理したい場合は、薬剤師のキャリアの軸を見つける自己分析で詳しく整理できます。
STEP2|応募先の求人・公式情報から事実を抜き出す
次に、応募先について調べます。
ここで重要なのは、企業を褒める材料を探すことではありません。今回の求人で実際に何を募集しているのかを確認することです。
- 募集ポジション
- 仕事内容
- 配属予定先
- 在宅・病棟・OTC等の担当領域
- 管理業務の有無
- 教育・研修
- 勤務時間・休日
- 勤務地・異動範囲
求人票だけで分からなければ、公式採用ページや面接で確認します。
企業理念を確認すること自体は問題ありません。ただし、理念に共感したという表現を入れるためだけに公式サイトを読む必要はありません。
今回の募集職務との接点が具体的なら、理念への共感がなくても志望動機は作れます。
STEP3|自分の経験との接点を探す
応募先の仕事内容を確認したら、自分が実際に経験してきた仕事の中から関係するものを探します。
| 求人側の仕事 | 自分側で探す経験 |
|---|---|
| 一般調剤 | 調剤・監査・服薬指導・疑義照会等 |
| 在宅 | 訪問、同行、多職種連携、記録等の実経験 |
| 管理薬剤師候補 | 在庫・人員・教育・店舗調整等の実経験 |
| 病院 | 薬物治療、安全管理、病棟・チーム医療等との接点 |
| 教育担当 | 新人・後輩への説明、指導、フォロー等 |
完全一致する経験がなくても構いません。
未経験の在宅へ応募する場合、在宅経験があることにしてはいけません。これまでの調剤経験や患者対応を事実として示し、在宅は入社後に経験したい仕事として分けます。
職務経歴書全体の整理は、薬剤師の職務経歴書で採用側が見るポイントで確認してください。
STEP4|今回その職場で担当したい仕事へつなぐ
最後に、転職理由・応募先・経験を今回の仕事へつなぎます。
例えば、在宅経験を広げたい人なら、現在の外来調剤経験を説明したうえで、応募先の在宅業務へ接続します。
これまで調剤薬局で外来調剤・監査・服薬指導を担当してきました。今後は在宅業務にも経験を広げたいと考えています。貴社の求人では外来業務に加えて在宅訪問を担当する機会があることを確認し、これまでの調剤経験を活かしながら在宅業務を学べると考え応募しました。
この文章では、未経験の在宅実績を作っていません。
経験済みのことと、これから経験したいことを分けるのが重要です。
保存用|志望動機4ステップ作成シート
| 項目 | 書き出す内容 |
|---|---|
| 転職理由 | 今回の転職で何を変えたいか |
| 応募先の事実 | 求人・公式サイトで確認した仕事や条件 |
| 自分の経験 | 実際に担当してきた仕事・役割 |
| 今回の仕事 | 経験を活かす仕事、または入社後に経験したい仕事 |
この4項目を埋めてから文章にします。
私は現在【業態・担当業務】を担当しています。今回【転職で変えたいこと】を考え、転職先を探しています。貴社の求人では【求人・公式情報で確認した仕事内容】が予定されており、これまでの【実際の経験】を活かしながら【今回担当したい仕事】に取り組めると考え応募しました。
このテンプレートをそのまま提出するのではなく、括弧内を自分の経験と応募先の事実へ置き換えてください。
応募先の情報は事実と自分の評価を分けて使う
志望動機を書くときは、応募先について確認できる事実と、自分がどう感じたかを分けます。
| 種類 | 例 | 志望動機での使い方 |
|---|---|---|
| 確認できる事実 | 在宅訪問を担当する求人 | 在宅経験を広げたい理由と接続する |
| 確認できる事実 | 管理薬剤師候補の募集 | 管理業務経験・今後の役割と接続する |
| 確認できる事実 | 勤務終了時刻・休日 | 自分の勤務可能条件と照合する |
| 自分の評価 | 雰囲気が良さそう | 事実として断定せず、面接・見学で確認する |
| 他者の評価 | 口コミで働きやすいと書かれている | 志望動機の根拠として単独使用しない |
特に、風通しがよい、働きやすい、人間関係がよい、成長できる、といった表現は、求人ページの印象だけでは自分の配属先に当てはまるか分かりません。
志望動機では、できるだけ実際の募集職務・勤務条件・公式情報で確認できる内容を中心に使います。
未経験の仕事へ応募するときは経験がないことと接点がないことを分ける
未経験業務へ応募すると、志望動機に書ける実績がないと感じることがあります。
しかし、未経験だから志望動機が作れないとは限りません。
例えば在宅業務が未経験でも、調剤・監査・服薬指導・患者対応等の経験があれば、在宅業務を学ぶ基礎となる経験として整理できます。
病院未経験でも、調剤薬局で薬物療法や患者対応に関わってきた経験はあります。
ここで重要なのは、経験がない仕事を経験済みに見せるのではなく、
- 経験済みの業務
- 今回初めて担当する業務
- なぜその業務を経験したいのか
を分けることです。
在宅業務は未経験ですが、これまで外来調剤・監査・服薬指導を担当してきました。今後は患者さんの生活環境も踏まえた薬学的管理を経験したいと考えています。貴社の求人では在宅訪問を担当する機会があるため、これまでの経験を基礎に新しい業務を学びたいと考え応募しました。
経験済み・未経験を分けているため、面接で深掘りされても説明しやすくなります。
給与・休日・勤務地が転職理由でもよい
給与、休日、勤務地、勤務時間は、転職先を選ぶ重要な条件です。
それらを理由に転職先を探すこと自体を隠す必要はありません。
ただし、志望動機が条件だけで終わると、今回の求人内容を理解して応募しているのか分かりにくくなります。
そこで、条件面に加えて、求人内容と自分の経験の接点を足します。
| 転職理由 | 条件だけで終わる例 | 足したい要素 |
|---|---|---|
| 通勤 | 家から近い | 募集業務と自分の経験 |
| 休日 | 休みが多い | 勤務条件+担当したい仕事 |
| 給与 | 年収が高い | 役割・経験・仕事内容 |
| 勤務時間 | 早く帰れる | 働ける条件+継続したい業務 |
条件を隠すのではなく、条件と仕事の両方が自分に合うから応募すると整理します。
人間関係が転職理由の場合も別の理由へ作り変えない
人間関係がきっかけで転職を考える薬剤師もいます。
この場合も、本当は人間関係が理由なのに、専門性向上だけが理由だったことにする必要はありません。
一方、志望動機欄で前職の相手を詳しく批判する必要もありません。
例えば、次の職場では相談・情報共有ができる環境を確認したいのであれば、応募先で実際に確認できる教育体制・連携方法・業務分担等との接点を整理します。
ただし、応募先の人間関係が良いと求人票だけで断定することはできません。面接・職場見学等で、相談ルートや業務の進め方を確認します。
理念への共感は志望動機の必須条件ではない
企業理念やミッションに本当に共感しているなら、志望動機へ入れて構いません。
しかし、すべての志望動機に理念への共感を入れる必要はありません。
今回募集されている在宅業務、管理薬剤師候補の役割、病棟業務、OTC相談、研修制度など、実際の仕事内容との接点でも志望理由になります。
理念を書きたい場合も、公式情報で確認できる表現を使い、自分がなぜその点に関心を持ったのかまで説明できる内容にします。
応募先が求める人物像は模範回答ではなく接点確認に使う
企業の採用ページに、求める人物像・価値観が書かれていることがあります。
その言葉を志望動機へそのままコピーする必要はありません。
例えば協調性を掲げる会社だから、私は協調性があります、と書くより、今回の仕事で必要な連携と自分の実際の経験を確認します。
求める人物像・行動経験の読み方は、採用側が求める薬剤師の人物像と行動特性で詳しく整理しています。
志望動機で避けたい7つの状態
志望動機に全国共通の正解はありませんが、内容が伝わりにくくなる状態はあります。
| 状態 | 問題になりやすい点 | 見直し方 |
|---|---|---|
| 条件だけで終わる | なぜその求人なのか分かりにくい | 仕事内容との接点を足す |
| 理念への共感だけ | 実際の仕事との関係が見えない | 求人職務・経験へ接続する |
| 前職批判が長い | 応募理由より退職事情が中心になる | 変えたい条件を短く整理する |
| 経験を大きく見せる | 面接で事実と合わなくなる | 実際の担当範囲へ戻す |
| どの会社にも使える | 今回の求人を選んだ理由がない | 応募先の具体的事実を入れる |
| 将来像だけを書く | 今回の仕事との接点が弱い | 現在の経験・募集職務を足す |
| 例文の丸写し | 本人の経験・希望とずれる | 4ステップへ戻って作り直す |
特に注意したいのは、どの薬局・病院にも提出できる文章です。
患者さんに寄り添う薬剤師として成長したいと考え、貴社を志望しました。
この文章だけでは、なぜ今回の求人なのか、自分が何を経験してきたのかが分かりません。
患者対応を重視するなら、実際の患者対応経験と、応募先で担当する仕事をつなげます。
転職理由と志望動機が矛盾していないか確認する
志望動機が単独ではよく見えても、転職理由と応募先が矛盾している場合があります。
| 転職理由 | 応募先 | 確認したいこと |
|---|---|---|
| 残業を減らしたい | 閉局後業務・残業が多い可能性のある求人 | 実際の勤務時間・残業 |
| 管理職を離れたい | 管理薬剤師候補 | 役職・責任範囲 |
| 土日勤務を避けたい | 土日営業店舗 | シフト条件 |
| 在宅を経験したい | 外来中心求人 | 在宅を担当する機会があるか |
文章を工夫して矛盾を隠すのではなく、応募前に求人条件を再確認します。
応募先との矛盾が解消できないなら、その求人を見送る判断もあります。
志望動機が思いつかないときは仕事内容から逆算する
志望動機が思いつかないときは、熱意が足りないと考える前に、求人の仕事内容をもう一度確認します。
- 今回の求人で何を担当するのか
- 自分はその中で何を経験済みか
- 未経験だが今後経験したい仕事は何か
- 勤務条件は自分の必須条件と合うか
それでも応募理由が見つからないなら、その求人へ本当に応募したいのかを考え直しても構いません。
志望動機が書けないこと自体が問題なのではなく、応募先と自分の接点がまだ整理できていない可能性があります。
履歴書・Web応募フォーム・面接で情報量を調整する
同じ志望動機でも、伝える場所によって使えるスペースが違います。
| 場面 | 考え方 |
|---|---|
| 履歴書 | 限られた欄に4ステップの中心を簡潔にまとめる |
| Web応募フォーム | 字数指定・入力欄の案内を優先する |
| 職務経歴書 | 応募先との接点を自己PR・職務要約と重複しすぎないよう整理する |
| 面接 | 書類の中心理由を変えず、背景・経験を口頭で補足する |
応募先から志望動機の提出を求められていない場合、独自の長文資料を追加する必要はありません。
企業指定の応募方法・入力欄があるなら、その形式を優先します。
転職理由が複数ある場合は全部を一文へ詰め込まない
実際の転職理由は一つではないことがあります。
例えば、勤務時間を見直したい、通勤を短くしたい、在宅も経験したいという3つが同時にある場合です。
この場合、すべてを同じ分量で志望動機へ入れると、何を最も重視して応募しているのか分かりにくくなります。
まず今回の求人を選ぶうえで特に重要な理由を一つか二つ選び、他の条件は必要に応じて面接や条件確認で補足します。
削った理由を隠すのではなく、志望動機欄の役割に合わせて情報を整理するという考え方です。
志望動機は何文字書けばよい?
薬剤師の志望動機に全国共通の正解文字数はありません。
履歴書の欄、Web応募フォーム、企業指定書式などによって入力できる量が異なるからです。
字数指定がある場合はその指定を優先します。
指定がない場合は、転職理由・応募先の事実・自分の経験・今回の仕事が読みやすく収まる長さにします。
200文字、300文字、400文字などの数字を先に決め、必要な事実を削ったり、逆に内容を水増ししたりする必要はありません。
退職理由の詳細を志望動機へ全部入れなくてよい
転職理由と志望動機はつながりますが、退職に至った事情をすべて志望動機欄へ書く必要はありません。
例えば、人間関係、組織変更、上司との意見の違い、家庭事情など、背景が複雑な場合があります。
志望動機では、今回の応募理由を理解するために必要な範囲へ絞ります。
| 事情 | 志望動機での整理 |
|---|---|
| 通勤負担 | 通勤条件を見直しつつ、継続したい業務へ接続 |
| 勤務時間 | 働ける時間帯と今回の仕事内容へ接続 |
| 人間関係 | 前職批判を長くせず、次の職場で確認する業務・連携へ接続 |
| 管理職責任 | 今後希望する役割と応募ポジションへ接続 |
| 家庭事情 | 仕事上必要な勤務条件だけを明確化 |
詳細を隠すためではなく、志望動機の目的は今回の求人へ応募する理由を説明することだからです。
面接で転職理由を詳しく聞かれた場合は、事実に沿って必要な範囲を補足します。
履歴書と面接で志望動機を変えない
履歴書では在宅経験を広げたいと書いたのに、面接では在宅に関心がなく給与だけが理由だったと説明するなど、大きく違う内容にしないでください。
面接では、履歴書に書いた志望動機を一字一句暗記する必要はありません。
書類では短くまとめた内容について、面接では背景を追加します。
- なぜ転職するのか
- なぜ今回の求人なのか
- 自分のどの経験がつながるのか
- 未経験部分をどう考えているか
面接全般の準備は、薬剤師の転職面接で見られるポイントと質問への答え方へ分けます。
3年後・5年後等の将来像まで聞かれた場合は、薬剤師の面接でキャリアプランを聞かれたときの答え方を参照してください。
例文を使う前に自分用のメモを作る
文章を書き始める前に、4ステップを箇条書きで埋めると例文に引っ張られにくくなります。
| 項目 | 自分のメモ |
|---|---|
| 転職で変えたいこと | |
| 応募先で確認した仕事・条件 | |
| 自分の実際の経験 | |
| 今回担当したい仕事 |
この4行を埋めた後に例文を見てください。
先に例文を読むと、実際には経験していない業務や、自分が考えていない志望理由まで入れたくなることがあります。
自分の材料を先に作り、例文は文章の組み立て方だけ参考にするのが安全です。
例文1|調剤薬局から調剤薬局へ転職する場合
同じ業態への転職でも、何を変えたいのかと、今回の求人で続けたい仕事をつなぎます。
現在は調剤薬局で調剤・監査・服薬指導を担当しています。今後も調剤経験を継続しながら、勤務時間を見直せる職場を探しています。貴社の求人では現在と近い業務内容での勤務が予定されており、これまでの経験を活かしながら働き方を見直せると考え応募しました。
実際には、自分が確認した勤務時間・仕事内容へ置き換えてください。
例文2|病院から調剤薬局へ転職する場合
病院薬剤師として調剤業務と患者対応を経験してきました。今後は外来患者と継続して関わる仕事を中心にしたいと考えています。貴社の求人では調剤・服薬指導を中心に担当する予定と確認し、病院で身につけた薬物療法に関する知識を活かしながら、調剤薬局での患者対応を経験したいと考え応募しました。
病院で経験していない業務を実績として加えないことが重要です。
例文3|調剤薬局から病院へ転職する場合
調剤薬局で調剤・監査・服薬指導を経験してきました。今後は入院患者の薬物治療にも関わる経験を広げたいと考えています。貴院の募集では病棟業務を含む薬剤師業務が示されており、これまでの調剤・患者対応経験を基礎に、病院で必要となる業務を学びたいと考え応募しました。
病棟業務が未経験なら、経験済みのように書かず、学びたい仕事として分けます。
例文4|管理薬剤師候補へ応募する場合
これまで調剤業務に加え、後輩への業務説明や店舗内の調整を担当してきました。今後は管理業務まで責任範囲を広げたいと考えています。貴社の求人では管理薬剤師候補として店舗運営に関わる役割が示されており、これまでの経験を活かしながら、管理薬剤師として必要な業務を経験したいと考え応募しました。
管理薬剤師経験がない場合は、管理薬剤師として勤務していたように見える表現を避けます。
例文5|在宅業務を経験したい場合
現在は外来調剤・監査・服薬指導を中心に担当しています。今後は在宅での薬学的管理にも経験を広げたいと考えています。貴社の求人では外来業務に加えて在宅訪問を担当する機会があることを確認し、これまでの調剤経験を活かしながら在宅業務を学びたいと考え応募しました。
在宅件数や多職種連携の経験がなければ、架空の実績を加えません。
例文6|通勤・勤務時間を見直したい場合
現在の職場では通勤と勤務時間の負担が大きく、長く働ける条件へ見直したいと考えています。貴社の求人は自宅から通勤可能な範囲にあり、勤務時間も希望条件と合っています。また、これまで担当してきた調剤・監査・服薬指導を継続できる仕事内容であることから応募しました。
条件面を隠していませんが、条件だけでも終わっていません。
例文7|ブランク後にパートで復職する場合
以前は調剤薬局で調剤・監査・服薬指導を担当していました。現在は勤務できる曜日・時間に制約があるため、パート勤務で復職できる職場を探しています。貴社の求人では希望する勤務時間帯での募集があり、これまでの調剤経験を活かしながら業務へ復帰できると考え応募しました。
ブランク期間や現在できないことを必要以上に隠すのではなく、勤務可能条件と過去の経験を分けて伝えます。
業態別例文は万能な正解ではない
調剤薬局、病院、ドラッグストアなど、同じ業態でも実際の募集職務は会社・施設・店舗ごとに異なります。
そのため、調剤薬局ならこの志望動機、病院ならこの志望動機と固定することはできません。
例えば同じ調剤薬局でも、外来中心、在宅中心、管理薬剤師候補、教育担当など募集内容は違います。病院でも病棟業務、調剤、DI、チーム医療等、求人によって担当範囲が異なります。
例文の業態名だけを自分の応募先へ置き換えるのではなく、必ず現在の求人内容へ戻ってください。
この記事の例文は、中途採用で転職する薬剤師が考える順番を示すためのものです。新卒採用で学校生活・実習・初めての就職先を中心に志望理由を組み立てる場合とは材料が異なります。
例文をそのまま使わず、自分の事実へ置き換える
例文の目的は文章そのものを借りることではなく、考える順番を借りることです。
- 勤務先・経験年数を自分の事実へ置き換えたか
- 担当していない業務を入れていないか
- 応募先で確認できない仕事内容を書いていないか
- 理念・制度を公式情報と違う表現にしていないか
- 面接で詳しく聞かれても説明できるか
置き換えられない部分は削除してください。
応募先が複数ある場合も志望動機をゼロから作り直さない
複数の求人へ応募するとき、応募先ごとに自分の経歴や転職理由を変える必要はありません。
変わるのは、STEP2の応募先の事実と、その求人との接点です。
例えば転職理由が勤務時間の見直しで、調剤経験を継続したいという軸が共通しているなら、その部分は同じです。
A社では在宅業務との接点、B社では内科門前での調剤経験、C社では教育体制など、実際に確認した求人内容に合わせて説明部分を調整します。
応募先ごとに別の人物像を演じるのではなく、同じ自分の経験の中から、その求人と関係する部分を選ぶという考え方です。
AIで志望動機を作る場合も、事実確認は自分で行う
生成AIを使って文章を整理すること自体は可能です。
例えば、書き出した4項目を読みやすい順番へ整える、長すぎる文章を短くする、誤字脱字を確認する、といった使い方です。
一方で、AIが次のような内容を加えた場合は削除します。
- 自分が担当していない実績
- 応募先に存在するか確認していない制度
- 自分が考えていない理念共感
- 確認できない数値
- 本来の転職理由と矛盾する理由
最終的に提出する志望動機は、自分が面接で説明できる内容だけにします。
提出前は別の会社でも成立する文章になっていないか確認する
志望動機を書き終えたら、応募先名を別会社へ入れ替えても文章がそのまま成立しないか確認します。
どの会社にも使える場合、応募先の事実が足りていない可能性があります。
例えば、患者に寄り添いたい、地域医療へ貢献したい、成長したいという表現だけでは、多くの薬局・病院で成立します。
そこへ、今回の求人で実際に確認した仕事内容を一つ加えます。
これまで外来調剤・服薬指導を担当してきました。今後は在宅にも経験を広げたいと考えており、貴社の募集では外来業務に加えて在宅訪問を担当する機会があるため、これまでの経験を活かしながら在宅業務を学びたいと考え応募しました。
応募先固有の美辞麗句を入れるのではなく、今回の求人に存在する仕事を一つ入れるだけでも具体性が変わります。
保存用|志望動機の提出前チェックリスト
- 今回の転職で変えたいことが自分の本音と一致している
- 応募先の仕事内容を求人・公式情報で確認した
- 自分が実際に担当した経験だけを書いている
- 未経験業務を経験済みに見せていない
- 給与・休日等を無理に別の理由へ変換していない
- 条件面だけで終わらず仕事内容との接点がある
- 企業理念への共感を作っていない
- 応募先を別会社へ変えても同じ文章になる状態を避けた
- 履歴書と面接で中心となる応募理由が一致している
- 面接で詳しく聞かれても自分の言葉で説明できる
一つでも説明できない部分があれば、例文を足すのではなく4ステップへ戻って確認します。
元人事部長として志望動機で確認していたこと
私が採用面接で志望動機を確認していたとき、企業理念を暗記しているかや、熱意の強い言葉を使っているかだけで判断していたわけではありません。
確認しやすかったのは、次のような点です。
- 今回の求人内容を理解して応募しているか
- 転職理由と応募先の条件に大きな矛盾がないか
- 本人が説明している経験は実際に担当してきたものか
- 未経験の仕事を経験済みとして話していないか
- 入社後に本人が期待している仕事と会社側の募集内容が合っているか
給与、休日、勤務地が転職理由に含まれていること自体を問題視していたわけではありません。
採用後に実際に働く条件が合い、今回募集している仕事を理解しているかの方が重要でした。
これは私自身の採用経験です。すべての企業・採用担当者が同じ基準で志望動機を確認するという意味ではありません。
厚生労働省の公正採用選考でも、採用選考は本人の適性・能力に基づき、求人職種の職務遂行に必要な適性・能力を持っているかを基準に行うことが基本とされています。志望動機も、仕事と関係のない人物像を演じるより、今回の募集職務との接点を事実で整理する方がこの記事の考え方と整合します。
志望動機に書かなくてよい個人情報もある
転職理由に家庭事情が関係する場合でも、仕事と関係のない個人情報まで詳しく書く必要はありません。
厚生労働省は公正な採用選考で、本籍・出生地、家族に関すること、思想・信条など、本人の適性・能力と関係のない事項を採用基準にしないよう求めています。
例えば育児のため勤務終了時刻に条件があるなら、必要な勤務条件は伝えつつ、家族構成や私生活の詳細まで志望動機へ書く必要はありません。
ハローワークの応募書類作成資料も確認できる
ハローワークインターネットサービスには、履歴書・職務経歴書等の応募書類作成に関する案内があります。
公的情報:応募書類の作り方|ハローワークインターネットサービス
企業独自の応募フォーム・書式がある場合は、その指定を優先してください。
FAQ
- 薬剤師の志望動機には何を書けばよいですか?
-
今回の転職で変えたいこと、応募先の求人・公式情報で確認した事実、自分が実際に経験してきた仕事、入社後に担当したい仕事の4点をつなげます。採用担当者向けに別の転職理由を作る必要はありません。
- 給与や休日が転職理由でも志望動機にしてよいですか?
-
給与、休日、勤務地、勤務時間は転職先を選ぶ重要な条件です。ただし条件だけで終えるのではなく、今回の求人の仕事内容と自分の経験・希望の接点まで加えると、なぜその求人へ応募したのか分かりやすくなります。
- 企業理念への共感は必ず書くべきですか?
-
必須ではありません。本当に共感しており、自分の経験や希望と接点があるなら使えます。今回募集している仕事内容・役割・教育等との接点だけでも志望動機は作れます。
- 薬剤師の志望動機は200〜300文字がよいですか?
-
全国共通の正解文字数はありません。企業・応募フォームに字数指定があれば従い、指定がなければ与えられた欄に、転職理由・応募先・経験・今回の仕事が読みやすく収まる分量にします。
- 例文をそのまま使ってもよいですか?
-
おすすめしません。例文は考える順番を参考にし、勤務先、経験、応募先の仕事内容等を自分の事実へ置き換えてください。置き換えられない部分は削除します。
- 履歴書と面接では同じ志望動機を話すべきですか?
-
中心となる理由は一致させます。履歴書は短くまとめ、面接では背景や具体的な経験を補足できます。一方、書類と面接で別の応募理由へ変えることは避けてください。
- 転職エージェントに志望動機を書いてもらった方がよいですか?
-
必須ではありません。添削や構成整理を依頼できるサービスはありますが、最終的に提出する内容が自分の経験・応募理由と一致しているかは本人が確認します。直接応募でも基本は同じです。
まとめ|転職理由・応募先・経験・今回の仕事を一本につなぐ
薬剤師の志望動機は、本音を採用されそうな理由へ変換する作文ではありません。
まず今回の転職で何を変えたいのかを整理します。次に応募先の求人・公式情報から仕事内容を確認し、自分の実際の経験との接点を探します。
最後に、その経験を今回の募集職務でどう活かしたいか、または未経験なら何を経験したいかにつなげます。
給与、休日、勤務地、人間関係などが転職理由に含まれていても、無理に別の理由へ言い換える必要はありません。ただし条件面だけで終わらず、なぜその求人なのかまで説明します。
例文はコピーするものではなく、自分の経験と応募先の事実を整理するための型として使ってください。
転職理由 → 応募先の事実 → 自分の経験 → 今回担当したい仕事。
この4点がつながれば、本人の事実から離れずに志望動機を作れます。

