オンライン薬剤管理指導料の廃止と服薬管理指導料4への統合で何が変わるか|元調剤薬局チェーン人事部長が解説

オンライン薬剤管理指導料の廃止と服薬管理指導料4への統合で何が変わるか|元調剤薬局チェーン人事部長が解説
【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • 点数据置でも実務は7つ変わる
  • 中6日以上要件が週1回へ緩和
  • ホワイト薬局を見抜く視点を解説
目次

点数は59点据置でも実務は7つも変わります

今お勤めの薬局で在宅オンライン業務を担当されている方、こんな疑問はありませんか。

「点数が同じ59点なら結局何が変わるのか」「算定要件は実質的に変わらないのか」「実務でどんな影響が出るのか」。

私は元・調剤薬局チェーンの人事部長としての経験があります。また、調剤薬局向けの経営コンサルタントとしても活動しています。

2026年6月1日施行の令和8年度調剤報酬改定では在宅患者オンライン薬剤管理指導料と在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料が廃止され服薬管理指導料4のロ・ハへ統合されます。

点数だけ見れば59点で据え置きです。しかし実務上の変化は7つに及びます。この記事では「何が変わるか」を一つひとつ具体的に整理した上で薬剤師のキャリアに与える影響まで踏み込んで解説します。


結論:見えにくい7つの変化が在宅オンライン業務の運用を変えます

最初に結論からお伝えします。

「点数据え置き=何も変わらない」は誤解です。改定で具体的に変わる7つの実務ポイントは以下のとおりです。

  1. 算定項目の名称が変わる
  2. レセプト上の体系上の位置が在宅から外来へ移動する
  3. 算定間隔の中6日以上要件が廃止され週1回まで算定可能になる
  4. 特定薬剤管理指導加算1〜3が4のロ・ハで算定不可となる
  5. 介護老人福祉施設等へのオンライン服薬指導の算定区分が整理され、月4回までのルールが明確化される
  6. かかりつけ薬剤師指導料統合に伴いオンライン業務の評価軸が見直される
  7. 在宅薬学総合体制加算など周辺加算の評価が同時に強化される

それぞれを具体的に見ていきましょう。


本論1:在宅患者オンライン薬剤管理指導料の本来の性格を正しく理解する

まず前提を整理します。在宅患者オンライン薬剤管理指導料(59点)はそもそも「実施に対する算定」項目でした。

つまり届出をしているだけで算定できる項目ではありません。実際に在宅療養患者へオンラインで薬学的管理及び指導を実施した場合にのみ算定できる仕組みです。

主な算定要件は以下のとおりです。

  • 訪問薬剤管理指導を行っている保険薬局であること
  • 在宅で療養を行っている通院困難な患者であること
  • 情報通信機器を用いた薬剤管理指導を実施すること
  • 訪問薬剤管理指導と同日でないこと
  • 月4回まで(末期悪性腫瘍等は週2回かつ月8回まで)

この実施ベースの性格は2026年改定後の服薬管理指導料4のロ・ハでも基本的に維持されます。ここを誤解したまま「実績ベースへの転換」と一括りに語る解説もありますが、在宅オンライン業務はもともと実績ベースであり評価軸が根本から変わるわけではありません。


本論2:変化①〜② 算定項目名と体系上の位置の変化

変化の一つ目は算定項目の名称です。

項目 改定前(〜2026年5月) 改定後(2026年6月〜)
通常の在宅オンライン 在宅患者オンライン薬剤管理指導料
59点
服薬管理指導料4のロ
59点
緊急時の在宅オンライン 在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料
59点
服薬管理指導料4のハ
59点
体系上の位置 在宅薬学管理料 服薬管理指導料(対人業務)
算定間隔要件 中6日以上 週1回まで

出典:厚生労働省告示令和8年3月5日/日本薬剤師会令和8年6月施行調剤報酬点数表

ただの名称変更に見えるかもしれません。しかし二つ目の変化と組み合わせると意味が違ってきます。

二つ目はレセプト上の体系上の位置の移動です。従来は在宅薬学管理料のグループに分類されていた項目が2026年6月以降は服薬管理指導料というより上位の対人業務評価の中に組み込まれます。

なるほどと感じませんか。

つまり厚生労働省は在宅オンライン業務を「特殊な在宅業務」から「対人業務の標準的な一形態」へと位置づけ直したのです。

これまでの経験の中で在宅オンライン業務に積極的に取り組んでいた知人の薬剤師Aさんはこう話していました。「在宅オンラインが対人業務の主流に位置づけられたことで薬剤師としての評価が見えやすくなる」。


本論3:変化③ 算定間隔「中6日以上」が「週1回」へ緩和

三つ目の変化は実務インパクトの大きい部分です。

従来は在宅患者訪問薬剤管理指導料と在宅患者オンライン薬剤管理指導料を合わせて月2回以上算定する場合の算定間隔は中6日以上空ける必要がありました。

2026年6月以降この中6日以上要件は廃止され週1回まで算定可能に変わります。

この変化は何を意味するでしょうか。

少し想像してみてください。中6日以上というルールがあると例えば月曜に訪問した患者には次の週の月曜以降にしかオンラインでも対応できませんでした。週1回までという緩和により訪問とオンラインを組み合わせた柔軟な対応が可能になります。

ただし末期悪性腫瘍患者などの特例(週2回かつ月8回)は維持されます。


本論4:変化④ 特定薬剤管理指導加算1〜3が4のロ・ハで算定不可に

四つ目の変化はリアルなインパクトのある加算制限です。

2026年6月以降に服薬管理指導料4のロ(在宅オンライン)または4のハ(緊急在宅オンライン)を算定する場合は特定薬剤管理指導加算1・2・3が算定できないことが明記されます。

これは在宅オンライン業務でハイリスク薬を扱う場合に加算による上乗せ評価ができなくなる可能性を示唆します。

ただし麻薬管理指導加算(オンラインの場合22点)や乳幼児加算・小児特定加算などは引き続き算定可能と整理されています。

加算の組み合わせが変わるためレセプト実務側でも対応が必要になります。


本論5:変化⑤〜⑦ 介護施設対応の明確化・かかりつけ評価の連動・周辺加算強化

残る3つの変化を整理します。

五つ目の変化は介護老人福祉施設等のオンラインの整理です。

介護老人福祉施設等の患者に対するオンライン服薬指導の算定区分が新たに整理され、月4回までの算定ルールが明確化されました。(※複雑な施設要件とオンライン区分の併算定可否については、レセプト請求時の最新の疑義解釈にご注意ください)

六つ目の変化はかかりつけ薬剤師評価との連動です。

同じ改定でかかりつけ薬剤師指導料(76点)と包括管理料(291点)が廃止され服薬管理指導料への統合が行われました。

新設されたかかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点・3月に1回)やかかりつけ薬剤師訪問加算(230点・6月に1回)が在宅対応する薬剤師にとっての新しい評価源となります。

七つ目の変化は周辺加算の評価強化です。

在宅薬学総合体制加算1は15点から30点に倍増し加算2は単一建物診療患者1人の場合100点・それ以外50点へ整理されました。

加算区分 改定前(令和6年〜) 改定後(令和8年6月〜)
在宅薬学総合体制加算1 15点 30点(倍増)
加算2 イ(単一建物1人) 区分なし 100点(新設)
加算2 ロ(イ以外) 50点 50点(据置)

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」/CloseDi記事

在宅オンライン業務に取り組む薬局の体制評価そのものが底上げされたといえます。


本論6:あなたの薬局はどの変化に該当するかセルフチェック

ここまで7つの変化を整理しました。ご自身の職場がどの変化に直面するかをセルフチェックしてください。

No 変化の内容 影響度 対応の急ぎ度
算定項目名の変更 レセプト変更時
体系上の位置(在宅→対人業務へ) レセプト変更時
算定間隔の中6日以上廃止→週1回 2026年6月
特定薬剤管理指導加算1〜3が4のロ・ハで算定不可 2026年6月
介護老人福祉施設等オンラインの整理 該当施設対応時
かかりつけ薬剤師評価との連動 キャリア検討時
在宅薬学総合体制加算など周辺加算強化 2026年6月

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」を元に作成

【あなたの薬局はどう該当するか】

  • 在宅オンライン業務を月1件以上実施しているか
    • YES → 変化③(算定間隔緩和)の恩恵を受けやすい
    • NO → 変化②(体系上の位置)はレセプト実務の理解程度に留まる影響
  • ハイリスク薬を扱う在宅患者がいるか
    • YES → 変化④(特定薬剤管理指導加算1〜3算定不可)の影響を直接受ける
    • NO → 変化④の影響は限定的
  • 介護老人福祉施設等への対応があるか
    • YES → 変化⑤(介護施設整理)でレセプト実務が変わる
    • NO → 影響なし
  • かかりつけ薬剤師の届出があるか
    • YES → 変化⑥(かかりつけ評価連動)により、年収交渉で有利な評価を得やすくなる
    • NO → 変化⑥はキャリア戦略の検討材料
  • 在宅薬学総合体制加算の届出があるか
    • YES → 変化⑦(加算強化)で薬局収益が伸びる可能性
    • NO → 加算届出を検討する意義が増した

該当する項目が多いほど2026年改定の影響を強く受ける職場といえます。


本論7:転職を考えるならエージェントに労務条件を確認させましょう

ここまで読んでいただいた方の中には「今の職場は本当に変化に対応できるだろうか」と感じ始めた方もいらっしゃるでしょう。

ご自身の市場価値を客観的に確認する一つの方法が転職エージェントへの登録です。

エージェントを活用する最大のメリットは労務条件の確認を「あなた本人」ではなく「エージェント経由」で行える点です。

例えば「在宅オンライン業務の月平均実施件数は何件ですか」「在宅薬学総合体制加算の届出区分は1ですか2ですか」「特定薬剤管理指導加算の算定実績はどう変化していますか」といった質問は本人が面接で聞くと角が立ちます。

エージェント経由で確認することで「(自分の知らないところで)エージェントが調べていた」というスタンスを取れるのです。

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本論8:ホワイト薬局を見抜くチェックポイント

2026年改定後にどの薬局が「本当に評価される薬局」なのかを見抜く視点を整理します。

確認すべき項目は以下のとおりです。

  • 在宅患者訪問薬剤管理指導の届出があるか
  • 在宅オンライン業務(服薬管理指導料4のロ)の月平均実施件数はどの程度か
  • 在宅薬学総合体制加算は1か2か(届出区分の違い)
  • かかりつけ薬剤師フォローアップ加算の算定体制を整えているか
  • 評価制度に対人業務の実績が組み込まれているか

これらの項目は求人票には載らないリアルな情報です。だからこそエージェント経由で確認する価値があるのです。

知人の薬剤師Bさんは32歳で都心の薬局へ転職を検討していた際にエージェント経由で在宅薬学総合体制加算の届出区分を確認したところ面接前の段階で「在宅業務にどれだけ本気で取り組んでいる職場か」を見極められたと話していました。

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本論9:在宅医療市場の拡大を背景にスキルを積み上げる戦略

在宅医療市場は今後も拡大が見込まれます。

厚生労働省「令和5年(2023)患者調査」によると在宅医療を受けた推計患者数は約24万人です。同省「新たな地域医療構想の現時点の検討状況について」では2040年までに85歳以上の在宅医療需要が62%増加すると推計されています。

つまり在宅オンライン業務に対応できる薬剤師の評価は中長期で重要性を増す方向にあるということです。

厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると薬剤師の平均年収は599万3,200円です。

平均はあくまで平均です。在宅オンライン業務の実績を積める職場かどうかで今後の年収カーブには明確な差が出る可能性があります。

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行動への第一歩:あなたの市場価値はあなたが思っているよりずっと高い

ここまで2026年6月施行の改定で何が変わるかを7つの具体ポイントで整理してきました。

点数だけ見れば59点据え置きです。しかし算定間隔の緩和・加算制限の整理・周辺加算の強化・体系上の位置の移動など実務の現場では確実に変化が起きます。

今の環境で悩み続けたあなたを誰も責めることはできません。情報の非対称性が大きい薬剤師業界の中でご自身で正確な情報を集め判断しようとされている時点ですでに一歩を踏み出されているのです。

あなたの市場価値はあなたが思っているよりずっと高い。これは20社以上の紹介会社と取引してきた実務経験から実感しております。

2026年の改定を「ただ振り回される側」ではなく「先回りして活用する側」に立ちましょう。そのための第一歩として信頼できるエージェントへの登録から始めてみてはいかがでしょうか。

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FAQ

オンライン薬剤管理指導料の点数は下がりますか?

いいえ、点数は59点で据え置きです。在宅患者オンライン薬剤管理指導料も在宅患者緊急オンライン薬剤管理指導料も廃止されますが服薬管理指導料4のロ・ハに統合され59点のまま維持されます。

在宅オンライン業務の算定間隔ルールはどう変わりますか?

従来の中6日以上要件が廃止され週1回まで算定可能になります。これにより訪問とオンラインを組み合わせた柔軟な対応が可能です。ただし末期悪性腫瘍患者などの特例(週2回かつ月8回)は維持されます。

在宅オンライン業務に強い職場を見つけるにはどう動けばよいですか?

転職エージェントに在宅薬学総合体制加算の届出区分や月平均実施件数を確認してもらうのが現実的です。実名で信頼できるエージェントを比較した記事はこちらをご覧ください。

→【元人事部長が厳選】採用側から見て「本当に信頼できた」薬剤師転職エージェント3選

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