【2026調剤報酬改定】かかりつけ薬剤師指導料廃止で年収はどう変わる?

【2026調剤報酬改定】かかりつけ薬剤師指導料廃止で年収はどう変わる?
【この記事でわかること(3秒で解説)】
  • かかりつけ指導料は2026年6月廃止
  • 新加算50点と230点で年収が変わる
  • 対応薬局の見極めが転職成功の鍵
目次

制度変更の波が薬剤師のキャリアを根本から揺らす

2026年6月から、かかりつけ薬剤師指導料が廃止されます。

「これまで積み上げてきた点数が消えるのか」
「自分の評価はどう変わるのか」

そんな不安の声が現場で広がっています。しかし本当のリスクは制度変更そのものではなく改定に対応しない薬局に居続けることです。

結論からお伝えすると、今回の制度変更は薬剤師にとって脅威ではありません。むしろ実力を持つ薬剤師ほど待遇を伸ばせる構造へと転換します。

私は元・調剤薬局チェーンの人事部長としての経験があります。また、調剤薬局の経営コンサルタントとして薬局経営の現場にも関与してきました。その立場から断言できるのは、今回の改定が薬剤師の市場価値を根本から塗り替えるという事実です。

新設される加算は2つあります。かかりつけ薬剤師フォローアップ加算(50点)と、かかりつけ薬剤師訪問加算(230点)です。これらは厚生労働省告示および中医協答申で正式決定されています。

届出だけで点数が入る時代は終わりました。これからは行動で稼ぐ時代です。本記事では制度の全貌と、勝ち残る薬剤師の戦略を専門家の視点で解説します。

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ポイント1:かかりつけ薬剤師指導料廃止の本質は実績主義への完全移行

結論をお伝えします。今回の改定の本質は、肩書評価から行動評価への180度転換です。

項目 改定前 改定後(2026年6月~) 変化のポイント
かかりつけ薬剤師指導料 76点 廃止 服薬管理指導料へ統合
かかりつけ薬剤師包括管理料 291点 廃止 服薬管理指導料へ統合
服薬管理指導料1(イ・ロ) 各45点 区分は残るが点数差は消滅
かかりつけ薬剤師フォローアップ加算 50点/3月に1回 新設・電話等の継続フォロー評価
かかりつけ薬剤師訪問加算 230点/6月に1回 新設・患家訪問と情報提供を評価
服用薬剤調整支援料2 110点・90点 1000点 大幅増点・研修受講が要件

出典:厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」中医協第647回答申より作成

厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要【調剤】」によると、かかりつけ薬剤師指導料(76点)とかかりつけ薬剤師包括管理料(291点)は廃止されました。代わって服薬管理指導料へ統合されています。

服薬管理指導料1のイ(かかりつけ薬剤師が行った場合)は45点、ロ(イ以外)も45点となります。つまり区分は残るものの基本点数の差は消滅しました。

なぜここまで踏み込んだ改定が行われたのでしょうか。

中央社会保険医療協議会の検証部会報告(令和3年12月1日公表)によると、かかりつけ薬剤師指導料等の施設基準の届出薬局は71.4%に達していました。令和元年度調査の53.6%から急速に増えた一方で、同意書を取得するだけで継続支援が機能していない事例も指摘されてきました。

ある中小チェーンの薬局長から聞いた話では「同意書のノルマで疲弊した」という訴えが繰り返されていたそうです。形だけの制度では患者にも薬剤師にも益がないという国の判断は妥当だと考えます。

新体系で何が変わるかを整理します。

  • 同意書は廃止され、口頭同意でその都度算定する仕組みへ移行
  • 1対1の関係から1対N(薬局全体でかかりつけ機能を担う)の関係へ
  • 在籍期間要件が1年以上から6か月以上へ緩和
  • 評価軸が届出から具体的アクションへ転換

転職市場への影響は甚大です。6か月の在籍で算定要件を満たせるため、転職直後でも即戦力として評価される土壌が整いました。

関連記事:【元人事部長が解説】調剤報酬改定で年収を上げるには?生き残る薬剤師のキャリア戦略

ポイント2:新設2加算の中身を理解しなければ市場価値は伸びない

元人事部長の視点
採用面接で本気の薬局を見極めるための効果的な質問

生き残りに本気の薬局を見抜くための質問があります。

フォローアップ業務の実施件数と評価制度への反映方法を尋ねるのです。

この問いに具体的な数字で答えられる薬局は、改定への準備が進んでいる可能性が高いと判断できます。

逆に「これから整備します」「個人の裁量です」といった曖昧な返答が返ってきた薬局は、改定後の新加算を取りに行く体制が未整備のサインです。

採用側の本音をお伝えすると、こうした質問を投げかけられた瞬間、面接官は緊張感を一気に高めます。準備不足の薬局ほど、この一言で本気度の低さが露呈するからです。

逆に対応が進んだ薬局では、その場で具体的な数値と評価制度(キャリアパスを含む)を提示できます。

新設された加算の構造を正確に押さえる必要があります。

まず一つ目はかかりつけ薬剤師フォローアップ加算です。点数は50点で、3か月に1回まで算定できます。電話等で服薬状況や残薬を継続的に確認し、必要な指導を行った場合に対象となります。

次に二つ目はかかりつけ薬剤師訪問加算です。点数は230点で、6か月に1回まで算定できます。患家を訪問し残薬整理や服用管理指導を行い、その結果を医療機関へ情報提供した場合に算定可能です。

比較項目 フォローアップ加算 訪問加算
点数 50点 230点
算定頻度 3か月に1回 6か月に1回
実施場所 薬局内(電話等) 患者宅
主な要件 服薬状況や残薬の継続的確認と指導 残薬整理と医療機関への情報提供
求められるスキル 電話コミュニケーション・記録力 訪問対応・多職種連携
転職市場での価値 薬局の対人業務体制を示す指標 在宅対応スキルとして高く評価

この2つに加え、服用薬剤調整支援料2も大幅に強化されました。日経DIの報道および厚生労働省資料によると1000点へ引き上げられています。算定には所定の研修受講と一定期間以上の保険薬局勤務経験が必要です。

点数が上がるなら良いことだと感じた方もいるはずです。しかし本質はそこではありません。

注目すべきは、これらの加算がすべて個別の薬剤師の行動を起点にしている点です。電話を1本かけたか。患家へ足を運んだか。処方提案を文書で作成したか。これらの行動履歴が薬局の収益を左右します。

採用面接に携わっていた際に痛感したのは、対人業務への関わりを聞いても具体的な数字を答えられない薬剤師が一定数いたという現実です。当時は感覚的な評価で十分通用しました。今後はそうはいきません。

ある中小薬局の経営者からこんな話を聞いたことがあります。「フォローアップ実績を記録できる薬剤師には月3万円上乗せしてでも来てほしい」というのです。これは2026年改定への危機感の表れです。

具体的に押さえるべき行動指標を整理します。

  • 服薬状況のフォローアップ件数(月単位で記録)
  • 患家訪問の実施履歴と医療機関への情報提供書
  • 処方提案による処方変更の件数
  • 残薬調整や薬学的有害事象防止の介入記録

これらを職務経歴書に書ける薬剤師は、転職市場で評価が跳ね上がります。

関連記事:【完全版】薬剤師の年収交渉、知らなきゃ損する交渉タイミングと相場感

関連記事:対物業務から脱却する薬剤師の生存戦略|3つの必須スキルを解説

ポイント3:制度変更で勝ち組と負け組に分かれる薬局の見極め方

率直に申し上げます。同じ薬剤師資格を持っていても、勤務先によって生涯年収は数千万円単位で変わります。

その根拠をお話しします。厚生労働省「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は599.3万円です。ただし業態や地域、勤務先によって大きく開きがあります。

新加算を取りに行ける薬局と、行けない薬局では収益力に決定的な差が生まれます。読者の皆さんが最も避けるべきは、改定に対応できない薬局へ転職してしまうリスクです。

少し想像してみてください。改定対応に消極的な薬局では、新加算の算定機会を逃し続けます。その分の収益が薬局に入らないため、薬剤師への給与還元も滞ります。一方で対人業務に投資する薬局は加算を着実に積み上げ、薬剤師の待遇を改善できる構造になります。

これまでの経験の中で見えてきた、対応力ある薬局の特徴を整理します。

  • 服薬フォローを業務時間内に行える体制(電話当番制など)が整っている
  • 訪問業務を評価制度に組み込み賃金に反映している
  • 電子薬歴やICTツールへの投資を継続している
  • 研修費用を会社負担で確保している
  • 管理薬剤師や常勤薬剤師の在籍期間を一定以上に保てている
チェック項目 改定対応薬局 非対応薬局
服薬フォロー時間 業務時間内に確保 個人の時間外対応
訪問業務評価 評価制度に組込・賃金反映 評価対象外
ICT投資 電子薬歴やツールへ継続投資 紙運用が中心
研修費用 会社負担 個人負担・補助なし
求人票の表現 数字や制度が明示 アットホーム等の抽象表現
在籍期間管理 管理薬剤師・常勤の安定運用 頻繁な離職と短期勤続

逆に危険な薬局の兆候も明確です。求人票でアットホームや家族のような職場といった抽象表現が多用される一方、研修制度や評価制度への具体的な言及がない場合は要注意です。

知人の薬剤師Aさんは年収600万円の調剤薬局で働いていました。改定情報を独自に調べた結果、対応する気配のない経営陣に見切りをつけ転職を決断したそうです。エージェント経由で対人業務に積極的な薬局へ移り、年収は720万円台まで上がったと聞いています。

ここで重要なのが、薬局選びは個人の情報収集だけでは限界があるという現実です。

戦略的な情報収集はエージェント経由が定石

ここまで読み進めていただいた方は、転職という選択肢が頭をよぎっているかもしれません。

エージェントに任せれば、あなたは「エージェントが勝手に交渉してくれた」というスタンスを取れます。企業側も「エージェントの要求だから仕方ない」と受け止めやすいのです。実際にこれまで採用の裏側を見てきて「ここは信頼できる」と判断したエージェントだけを厳選しました。

労務面の細かい確認や年収交渉を自分で行うのは角が立ちます。エージェント経由なら自然な形で確認が可能です。

関連記事:転職エージェントを味方にする薬剤師の使い方|元調剤薬局人事部長が解説

ポイント4:これからの薬剤師に求められる3つの記録力

専門家として明確にお伝えします。今後の薬剤師キャリアは記録力が左右します。

なぜ記録なのか。新加算はすべて算定要件として証跡を求めるからです。電話フォローも訪問も、行ったことを記録に残し提示できなければ報酬に結びつきません。

不思議だと思いませんか。これまでは対人業務をしていると口頭で言えば一定の評価を得られました。これからは実績を正確に記録できる薬剤師が、圧倒的に高く評価される時代になります。

採用に携わっていた頃に痛感したのは、優れた薬剤師ほど自分の業務を数値で語れるという点です。月10件の処方提案やフォロー実施率85%といった具体性が信頼を生みます。

身につけるべき3つの記録力を整理します。

一つ目は服薬指導記録の標準化です。SOAP形式で構造的に残せる力が問われます。

二つ目は介入アウトカムの追跡です。提案した処方変更がどんな結果につながったかを継続観察する力です。

三つ目は数値での自己アピール力です。職務経歴書に具体的な実績を書ける薬剤師は年収交渉でも優位に立てます。

これまでの経験の中で、面接で年収交渉を成功させた薬剤師の共通点を観察してきました。自分の実績を数字で示せる準備を念入りにしている方は高い評価を得る傾向があるように感じます。

「対人業務に力を入れてきました」と語るだけの候補者と「直近1年で処方提案を月平均8件実施しうち約6割が処方変更につながりました」と語れる候補者では評価が天と地ほど違います。

2026年改定後はこの差が年収にダイレクトに反映されます。記録を残す習慣を今日から始めるだけで、半年後の市場価値は大きく変わります。

関連記事:採用側の本音|書類選考で落ちる薬剤師と即内定が出る薬剤師の決定的な差

関連記事:薬剤師の処方提案|医師を納得させる根拠の示し方と市場価値の高め方

あなたの市場価値は今が転換点

ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

不安を感じた方もいるかもしれません。しかし振り返ってみてください。あなたはこれまで現場で対人業務を積み上げてきました。残薬を確認し患者の不安に寄り添い、医師へ処方提案を続けてきたはずです。

その積み上げが2026年改定で初めて、点数として明確に評価される構造になりました。これまで報われなかった努力が、これからは年収という形で返ってくる仕組みへ転換したのです。

今の環境で頑張り続けてきたあなたを、誰も責めることはできません。一方で改定に対応できない職場で消耗し続けるのは賢明ではありません。あなたの市場価値はあなたが思っているよりずっと高いのです。事実、改定への対応が進んだ薬局では新加算による年収アップの余地が現実的に広がっています。

行動を始めるタイミングは、制度変更の波が押し寄せた今です。情報収集のハードルを下げる手段としてエージェントの活用をお勧めします。

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FAQ

かかりつけ薬剤師指導料が廃止されると、これまでかかりつけ業務を担ってきた薬剤師の評価は下がりますか?

評価が下がることは想定されません。むしろ実績を伴う薬剤師は、新設のフォローアップ加算(50点)や訪問加算(230点)を算定できる人材として評価が高まる構造です。新体系は届出ベースから行動ベースへ転換するため、これまで真摯にかかりつけ業務を行ってきた方ほど市場価値が伸びる仕組みとなります。

2026年6月以降、改定にしっかり対応する薬局を見極めるポイントはどこですか?

最も明確な指標は「フォローアップや訪問業務を業務時間内に行える体制があるか」「評価制度に新加算の取り組みが反映されているか」の2点です。求人票でアットホーム等の抽象表現が多用されている一方、研修制度や評価制度の具体的記載がない場合は要注意です。

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