薬剤師の転職は何から始める?初めての転職の流れと準備を元人事部長が解説

この記事でわかること
  • 初めて転職する薬剤師が、最初に何を整理すればよいか
  • 求人探し・応募書類・面接・内定・退職・入社までの8ステップ
  • 在職中と退職後のどちらで転職活動を進めるかの考え方
  • 転職活動期間を一律に決めなくてよい理由
  • 各段階で次に読むべき専門記事

初めて転職を考えた薬剤師の中には、転職サイトへ登録するのが先なのか、退職を伝えるのが先なのか、履歴書を作るのが先なのか分からず、手が止まってしまう人もいると思います。

結論からいうと、最初に求人へ応募する必要はありません。

最初に整理したいのは、今回の転職で何を変えたいのかです。勤務時間、仕事内容、勤務地、給与、人間関係、管理職としての責任、経験したい業務など、現在の職場で困っていることと、次の職場で確認したい条件を分けます。

その後に求人を探し、職場を比較し、応募書類を作り、面接を受け、内定条件を確認してから退職・入社へ進みます。

私は調剤薬局チェーンで薬剤師採用に約6年間携わり、そのうち約4年間は人事部長として採用・人事に関わりました。採用側で多くの転職者と接してきた経験からも、転職活動は採用担当者の好みを当てる作業ではなく、自分が変えたいことと、求人企業が募集している仕事・条件を順番に照合する作業だと考えています。

この記事では、初めて転職する薬剤師向けに、何から始めればよいかを8ステップで整理します。各工程の詳しい内容は専門記事へ分け、ここでは転職活動全体の道順が分かることを優先します。

目次

結論|初めての薬剤師転職は求人応募から始めなくてよい

初めての転職は、次の8ステップで考えると整理しやすくなります。

STEPやることこの段階のゴール
1今回の転職で何を変えたいか整理する転職理由を言葉にできる
2必須条件・希望条件と入社時期を決める求人を比較する基準ができる
3求人を探す応募候補を複数確認できる
4求人・職場を比較する応募する求人を選べる
5履歴書・職務経歴書を準備する自分の経験を事実で伝えられる
6応募・面接で仕事内容と条件を確認する採用側と応募者側の双方が適合を確認できる
7内定後の労働条件を確認して入社判断するどの条件で働くか納得して決める
8退職・引継ぎを進めて入社する現職と転職先の予定を整える

この順番は固定ルールではありません。求人を見ながら希望条件を修正することもありますし、先に退職してから転職活動へ集中する人もいます。

重要なのは、今自分がどの段階にいて、次に何を確認すればよいか分かることです。

STEP1|今回の転職で何を変えたいか整理する

最初に転職サービスへ登録する前に、現在の職場で何に困っているのか、次の職場で何を変えたいのかを書き出します。

  • 勤務終了時刻を早くしたい
  • 通勤時間を短くしたい
  • 在宅業務を経験したい
  • 管理薬剤師の責任から離れたい
  • 逆に管理薬剤師・薬局長へ挑戦したい
  • 休日・給与等の労働条件を見直したい
  • 現在の職場の人間関係・相談体制から離れたい

ここでは、採用面接で聞こえのよい理由へ変換する必要はありません。まず自分が転職を考えた事実を整理します。

転職で変えたいことを一つに絞らなくてよい

転職理由は一つとは限りません。例えば、残業が多いことに加え、今後は在宅経験も広げたいという人もいます。給与だけでなく通勤時間も見直したい人もいます。

複数ある場合は、あとで優先順位を付ければよいので、最初は全部書き出します。

現職でも変えられることがあるか確認する

転職を考えたからといって、必ず転職しなければならないわけではありません。

異動、勤務時間の相談、担当業務の変更、休職、教育機会の追加など、現在の職場で解決できる可能性があるなら比較できます。一方、会社制度上変えにくいことや、現職で改善を期待しにくいこともあります。

現状変えたいこと現職で変えられるか転職先で確認する条件
残業が多い終業時刻業務・シフト相談の余地を確認勤務時間・残業実態
在宅経験がない業務内容異動・同行機会を確認在宅で自分が担当する仕事
通勤が長い勤務地店舗異動の余地を確認配属・異動範囲
管理職責任が重い役割役割変更を相談できるか職位・責任範囲

仕事選びの優先順位をさらに整理したい場合は、薬剤師のキャリアの軸を整理する方法で詳しく確認できます。

STEP2|必須条件・希望条件と入社時期を決める

次に、求人を比較するための条件を決めます。

条件は、すべて必須にすると求人がほとんど残らないことがあります。そこで、次の3段階に分けます。

優先度意味
必須満たさなければ働けない・応募しない勤務地、勤務終了時刻、雇用形態等
できればできるだけ満たしたいが比較できる給与、休日、在宅、研修等
こだわらない他の条件が合えば柔軟に考える会社規模、店舗形態等

必須条件は人によって違います。子育て・介護等で勤務終了時刻を変えられない人もいれば、管理職を目指すため役職・責任範囲を優先する人もいます。一般論の理想条件ではなく、自分の生活とキャリアから決めてください。

入社希望時期があるなら逆算する

4月入社、現職の契約満了後、育児休業からの復帰時期など、希望する入社時期があるなら、その日から逆算します。

ただし、薬剤師転職は何か月前に始めれば必ず間に合うという全国共通の期間はありません。求人の有無、選考回数、現職の退職調整、応募先の入社可能日等によって変わります。

転職時期・求人が動きやすい時期を詳しく確認したい場合は、薬剤師転職の時期と始める目安を参照してください。

初めての転職では希望より先に制約条件を確認する

転職条件を考えるとき、やりたい仕事や希望年収だけを先に並べると、実際には働けない求人まで候補に入りやすくなります。

初めての転職では、まず生活上動かしにくい条件を確認してください。

  • 通勤できる範囲
  • 勤務できる曜日・時間
  • 夜間・土日勤務の可否
  • 転居の可否
  • 育児・介護等で必要な時間
  • 最低限必要な収入
  • 希望する入社可能時期

そのうえで、仕事内容、役職、給与、教育、専門領域等の希望を重ねます。

この順番にすると、条件の良さだけで応募し、面接後に勤務時間が合わないと気づくような行き違いを減らせます。

転職活動期間に全国共通の正解はない

転職記事では、1か月、2か月、3か月など、活動期間の目安が示されることがあります。

参考として、厚生労働省のマイジョブ・カードは、令和2年転職者実態調査を紹介し、転職活動を始めてから直前の勤務先を離職するまでの期間では、1か月以上3か月未満が28.8%で最も多かったとしています。

公的情報:転職活動はいつから始めるのが理想的?目安となるスケジュール|マイジョブ・カード

ただし、この統計は薬剤師だけを対象にした数字ではありません。また、最も多い期間が、すべての人にとって理想の期間という意味でもありません。

求人状況、選考、希望入社日、現在の勤務先との退職調整によって必要な期間は変わります。転職活動を何か月以内に終わらせること自体を目標にしないでください。

在職中と退職後、どちらで転職活動を進める?

在職中に転職活動を進めるか、退職後に集中するかも一律には決めません。

在職中に進める場合

在職中なら、現在の収入を維持しながら求人を比較できます。転職先が決まらなくても、すぐに収入が途切れるわけではありません。

一方で、勤務と並行して求人検索、書類作成、面接日程を調整する必要があります。忙しい職場では、面接時間を確保するだけでも負担になることがあります。

退職後に進める場合

退職後は、求人検索や面接に時間を使いやすくなります。

ただし、次の仕事が決まるまで収入がない期間が生じる可能性があります。健康保険・年金・雇用保険等の手続きが必要になる場合もあります。

退職後に活動するなら、生活費、必要な手続き、希望入社時期も含めて考えます。

健康・安全に緊急性がある場合

心身の不調、ハラスメント、安全上の問題などで勤務継続が難しい場合は、通常の転職手順より休養、医療機関への相談、社内外の相談窓口利用等を優先することがあります。

この記事は、すべての人に在職中の転職活動を勧めるものではありません。転職活動の効率より、健康と安全を優先すべき状況があります。

在職中は現職の仕事と転職活動を切り分ける

在職中に転職活動をする場合、現在の勤務先の仕事と私的な転職活動は分けて進めます。

  • 応募には私用のメールアドレス・電話番号を使う
  • 職場のパソコン・プリンター等で応募書類を作らない
  • 会社のメール・チャットを転職活動に使わない
  • 面接日程は現在の勤務に支障が出ないよう調整する
  • 患者情報・社内資料・営業秘密を応募書類や面接へ持ち込まない

転職活動をしていることを現職へいつ伝えるかは状況によって異なりますが、まだ退職意思も固まっていない段階で職場設備を使って応募する必要はありません。

現在の仕事を続けながら、転職活動は自分の時間・端末・連絡先で管理する方が整理しやすくなります。

STEP3|求人を探す

条件が整理できたら、求人探索へ進みます。

薬剤師求人を探す方法には、企業・医療機関の採用ページ、求人サイト、ハローワーク、転職エージェント等があります。

どの方法が一番よいかは状況によって変わります。

応募したい会社が決まっているなら直接応募、公開求人を広く比較したいなら求人サイト、地域求人や公的相談も使いたいならハローワーク、求人提案・日程調整等も第三者へ依頼したいなら転職エージェントを検討できます。

4つのルートの違いは、薬剤師求人の探し方|求人サイト・ハローワーク・直接応募・転職エージェントを比較で詳しく整理しています。

ここでは求人探索方法を詳しく再説明しません。転職活動全体の中で、求人探しがどの段階にあるかを把握することを優先します。

求人を見つけても応募を急がず応募前確認を一度入れる

求人を見つけた瞬間は、勤務地や給与など目立つ条件へ意識が向きやすくなります。

初めての転職では、応募ボタンを押す前に一度だけ次を確認すると、後の選考を進めやすくなります。

  • 募集している店舗・部署はどこか
  • 自分が希望する雇用形態か
  • 必須資格・経験を満たしているか
  • 勤務時間・休日が自分の必須条件と矛盾していないか
  • 応募期限・募集状況は現在も有効か
  • 同じ求人へ別経路から既に応募していないか

ここで条件が合わなければ、応募しないことも選択肢です。応募件数を増やすより、選考へ進んだときに仕事内容と希望条件を説明できる求人を選びます。

STEP4|気になる求人・職場を比較する

求人を見つけたら、すぐに応募先と決めず、仕事内容と条件を比較します。

  • 担当業務
  • 配属予定先
  • 勤務地・異動範囲
  • 勤務時間・休憩
  • 休日・休暇
  • 給与・手当
  • 教育・研修
  • 雇用形態・契約期間

2024年4月以降、求人募集時には、従事すべき業務の変更の範囲、就業場所の変更の範囲、有期労働契約を更新する場合の基準等について追加の明示事項があります。

一次資料:2024年4月から労働条件明示のルールが変わりました|厚生労働省

ただし、求人票だけで職場のすべてが分かるわけではありません。応募前、面接、職場見学、最終条件を照合します。

詳しくは、求人票・面接・職場見学で職場を確認する方法を参照してください。

求人を比較するときは希望条件を更新してよい

求人を見る前に決めた条件を、最後まで固定する必要はありません。

実際の求人を比較すると、想定していなかった働き方が候補になることがあります。反対に、重要だと思っていた条件より、配属や勤務時間の方が自分にとって大切だと気づく場合もあります。

条件を変えるときは、単に求人が少ないから妥協するのではなく、なぜ優先順位を変えたのか自分で説明できる状態にします。

例えば、年収を第一条件にしていたが、通勤時間と休日を含めた生活全体で比較すると別求人の方が合っていた、という変更はあり得ます。

転職活動では情報源の新しさと一次性を分けて見る

求人を比較していると、同じ会社について複数の情報が見つかります。

企業採用ページ、求人サイト、転職エージェントから聞いた情報、口コミ、過去に働いていた知人の話などです。

これらをすべて同じ重さで扱う必要はありません。

情報主に確認できること注意点
企業の現在の採用情報募集職種・条件・応募方法実際の配属先条件は追加確認が必要な場合がある
求人サイト複数求人の比較掲載・更新時期を確認する
転職エージェント求人提案・追加確認情報源・確認時期を確認する
口コミ・知人情報過去の個別体験店舗・時期・立場が自分と違う可能性がある

特に勤務条件は、過去の口コミより、現在の求人情報と自分に提示される条件を優先します。

口コミが悪いから自動的に応募しない、評判が良いから条件確認を省く、という使い方は避けます。

STEP5|履歴書・職務経歴書を準備する

応募する求人が決まったら、応募書類を準備します。

職歴そのものは応募先に合わせて変えてはいけません。

一方、職務要約や自己PRでは、今回の求人に関連する経験が採用側に分かりやすいよう、説明の順序や分量を整理できます。

例えば管理薬剤師求人なら、実際に担当した管理業務、スタッフ教育、店舗運営等を確認しやすくします。在宅担当求人なら、自分が担当した訪問業務、多職種連携等を整理します。

数字は把握している場合だけ使います。患者満足度、売上貢献率等、確認できない数字を作る必要はありません。

職務経歴書の詳しい作り方は、薬剤師の職務経歴書で採用側が確認するポイントで整理しています。

応募先ごとに必要な提出物を確認する

転職では履歴書・職務経歴書が一般的ですが、すべての応募先が同じ提出物・形式を指定するとは限りません。

Webフォームへ直接入力する会社、履歴書と職務経歴書をPDFで提出する会社、面接時に資格証明等の持参を案内する会社などがあります。

そのため、応募する前に採用ページや応募案内を確認し、指定がある場合はその方法を優先します。

自分で一般的な書式を用意した後に、企業指定の入力欄やフォーマットへ合わせる方が二度手間を減らせる場合があります。

応募先ごとに変えるのは経歴ではなく伝える部分の詳しさ

複数の求人へ応募するとき、応募先に合わせて別人のような自己PRを作る必要はありません。

変えないのは、勤務先、在籍期間、担当業務、資格、実際の経験です。

一方、今回の求人と関係する経験が分かりやすくなるよう、説明の順番や詳しさは調整できます。

応募求人確認しやすくする経験作らないこと
在宅担当訪問・多職種連携・記録等の実経験未経験の在宅実績
管理薬剤師候補管理業務・教育・調整等の実経験担当していない管理権限
一般勤務薬剤師調剤・監査・服薬指導・勤務条件大きすぎる改善成果

初めての転職ほど、うまく見せることより、面接で詳しく聞かれても同じ事実を説明できることを優先します。

STEP6|応募・面接で仕事内容と条件を相互確認する

面接は、応募者が一方的に採点される場として考える必要はありません。

採用側は、募集している職務を担当できるか、勤務条件が合うかなどを確認します。

厚生労働省も、公正な採用選考では、応募者が求人職種の職務遂行上必要な適性・能力を持っているかを基準に選考することを基本としています。

一次資料:公正な採用選考の基本|厚生労働省

応募者側も、仕事内容、人員体制、勤務条件、教育等を確認し、自分が入社するか判断します。

面接全般の準備は、薬剤師の転職面接で見られるポイントと質問への答え方で詳しく整理しています。

キャリアプラン、3年後・5年後等を聞かれた場合は、薬剤師の面接でキャリアプランを聞かれたときの答え方を参照してください。

面接で確認できなかったことは未確認として残す

初めての面接では、緊張して聞きたかったことを忘れることがあります。

その場合、分からない項目を自分の推測で埋めないでください。

勤務時間、配属、教育、手当等で入社判断に必要なのに確認できなかったことは、面接後メモへ未確認として残します。

選考経路に応じて、採用担当者へ確認する、転職エージェント経由なら担当者から求人企業へ確認してもらうなどの方法があります。

確認できないまま内定を受け、都合のよい前提で退職を進めないことが重要です。

面接後は記憶だけで比較せずメモを残す

複数の求人へ応募すると、面接後に条件が混ざりやすくなります。

面接終了後に、少なくとも次の項目を記録しておくと比較しやすくなります。

確認項目面接後メモ
担当予定業務
配属先・人員体制
勤務時間・休日
教育・研修
異動・変更範囲
確認できなかったこと
自分が気になった点

面接官の印象だけではなく、実際に働く条件を記録します。

選考中の連絡・期限は自分でも管理する

初めての転職では、応募先が増えると、書類提出期限、面接日時、結果連絡、内定回答期限などが重なります。

求人サイトや転職エージェントに履歴が残っていても、自分でも日付をまとめておくと確認しやすくなります。

  • 応募日
  • 応募経路
  • 書類提出日
  • 面接日時
  • 追加で確認する事項
  • 結果連絡予定
  • 回答期限

特に回答期限がある場合、他社選考との調整が必要になることがあります。期限を過ぎてから慌てるのではなく、確認が必要なら早めに応募先へ相談します。

STEP7|内定後は労働条件を確認して入社判断する

内定が出ても、その場で退職手続きへ進む必要はありません。

まず、実際にどの条件で雇用されるのかを確認し、自分が入社する意思を固めます。

  • 業務内容
  • 勤務地
  • 勤務時間・休憩
  • 休日・休暇
  • 賃金・手当
  • 雇用形態・契約期間
  • 入社予定日

求人票、面接で聞いた内容、最終提示条件に違いがあれば、入社を決める前に確認してください。

複数の内定・条件提示がある場合は、薬剤師の複数内定を比較する方法で同じ項目を並べて判断できます。

内定条件は求人票・面接時の説明と照合する

内定後に条件提示を受けたら、求人票に書かれていた内容と面接で聞いた内容を並べて確認します。

例えば、想定していた配属先と違う、勤務時間の説明が違う、手当の支給条件を初めて知ったなど、確認したい点が出ることがあります。

違いがあるから直ちに辞退するのではなく、まず何が正式条件なのかを確認します。

最終的に重要なのは、求人広告の印象ではなく、自分がどの業務・場所・時間・賃金等の条件で雇用されるのかを理解したうえで入社を決めることです。

内定後すぐに退職を伝えるとは限らない

転職先から内定連絡を受けたら、現在の勤務先へすぐ退職を伝えなければならないわけではありません。

まず重要な労働条件を確認し、実際に入社する意思を固めます。その後、現職の就業規則、退職申出時期、引継ぎ、転職先の入社予定日を照合して退職日を調整します。

ただし、応募先から回答期限が設定される場合もあります。期限内に確認できない事項があるなら、必要に応じて確認・相談してください。

STEP8|退職・引継ぎを進めて入社する

入社先を決めたら、現職の退職手続きへ進みます。

退職時には、退職申出だけでなく、担当業務の引継ぎ、会社物品の返却、有給休暇、保険・年金等の手続きなど、複数の確認事項があります。

退職前の実務は、薬剤師の退職前チェックリストで詳しく整理しています。

会社から退職願・退職届等を求められる場合は、会社指定様式の有無も確認します。引き止めを受けた場合も、感情的に応酬するのではなく、退職意思、退職日、引継ぎ等を分けて確認します。

家族・生活との調整も入社判断の一部

勤務地、勤務時間、休日、転居等が生活へ影響する場合は、入社を決める前に現実的に続けられるか確認します。

家族へ採用面接の内容を詳しく説明する必要はありませんが、送迎、育児、介護、転居、家計など、本人だけでは完結しない条件があるなら事前に調整しておく方がよいでしょう。

給与が上がっても通勤時間が大幅に増える、休日が変わって家庭との調整が難しくなるなど、求人票の一項目だけでは判断できない変化があります。

転職先を選ぶときは、仕事内容・労働条件と生活の両方を並べて考えます。

入社前に確認しておきたいこと

退職が決まったら、転職先の入社案内に従って準備します。

  • 入社日・初日の集合場所
  • 必要書類
  • 健康診断等の会社指定手続き
  • 制服・白衣等の準備
  • 勤務時間・配属先
  • 薬剤師免許等、会社から提出を求められる資料

必要な書類・手続きは会社によって異なるため、一般的な転職記事より転職先からの案内を優先してください。

各STEPの完了条件を決めると進みすぎを防げる

初めての転職では、次へ進むこと自体が目的になりやすいため、各STEPの完了条件を簡単に決めておく方法があります。

STEP完了の目安
1転職で変えたいことを自分の言葉で説明できる
2必須条件と希望条件を分けられる
3求人を探す経路を選び、候補を確認できる
4応募する理由と見送る理由を条件で説明できる
5応募書類が自分の実際の経歴と一致している
6仕事内容と未確認事項を整理できている
7提示条件を確認し、入社するか判断できる
8退職日・引継ぎ・入社日を調整できている

完了条件を満たさないまま無理に次へ進む必要はありません。求人を見て条件を考え直す、面接後に職場比較へ戻るなど、前のSTEPへ戻って構いません。

保存用|初めての薬剤師転職チェックリスト

  • 今回の転職で変えたいことを書き出した
  • 現職でも変えられることがあるか確認した
  • 必須・できれば・こだわらない条件に分けた
  • 希望する入社時期を確認した
  • 在職中・退職後のどちらで活動するか考えた
  • 求人探索ルートを選んだ
  • 応募候補の仕事内容・条件を比較した
  • 履歴書・職務経歴書を事実で作成した
  • 面接後に仕事内容・条件をメモした
  • 内定後の労働条件を確認した
  • 入社意思を固めてから退職日を調整した
  • 引継ぎ・返却物・退職後の手続きを確認した

今どのSTEPにいるか分からないときの現在地確認

転職活動は、必ずSTEP1から順番に始められるとは限りません。すでに求人を見ている人、面接予定が決まってから条件整理の必要性に気づく人もいます。

その場合は、次の表で現在地を確認してください。

今の状態戻って確認したいSTEP次にすること
転職したいが理由が曖昧STEP1変えたいことを書き出す
求人を見ても選べないSTEP2必須条件・希望条件を分ける
条件は決まったが求人が見つからないSTEP3求人探索ルートを見直す
求人はあるが応募を決められないSTEP4仕事内容・条件を同じ項目で比較する
応募先は決まったSTEP5応募書類を準備する
面接予定があるSTEP6自分の経験と確認事項を整理する
内定が出たSTEP7労働条件を確認する
入社を決めたSTEP8退職・引継ぎ・入社準備を進める

後のSTEPまで進んでいても、条件に迷ったら前へ戻って構いません。

選考辞退・内定辞退も転職活動の選択肢

応募した後に仕事内容や条件が自分と合わないと分かった場合、選考を最後まで受け続ける義務はありません。

面接前、面接後、内定後など、辞退する段階によって連絡内容は変わりますが、進まないと決めた時点で必要な連絡をします。

一度応募したからという理由だけで、希望条件と合わない会社へ入社する必要はありません。

反対に、迷っているだけなら、回答期限と未確認事項を整理してから判断します。

途中で転職活動を止めてもよい

転職活動を始めても、内定・退職まで進む義務はありません。

求人を比較した結果、現在の職場の方が条件に合っていると分かることもあります。現職で異動・勤務条件の調整ができ、転職理由が解消する場合もあります。

応募前なら応募を見送り、選考中なら必要な連絡をしたうえで辞退することもできます。

転職活動の目的は、転職するという結論を出すことではありません。現在の職場と外部求人を比較し、自分に合う働き方を判断することです。

迷った段階で第三者へ相談してもよい

転職するか決め切れていない段階でも、必要に応じて第三者へ相談できます。

相談先は転職エージェントだけではありません。ハローワークの職業相談、キャリアコンサルティング、家族・信頼できる人への相談など、目的に応じて選べます。

ただし、相談相手が出した結論をそのまま自分の結論にする必要はありません。相談は、自分では気づかなかった選択肢や確認事項を増やすために使います。

転職を勧められたから転職する、現職継続を勧められたから残るのではなく、最終的には仕事内容・条件・生活との整合を自分で確認します。

初めての転職でやらなくてよいこと

初めての転職では、情報を集めるほど、全部やらなければならないように感じることがあります。

しかし、次の行動は必須ではありません。

  • 最初から複数の転職エージェントへ登録する
  • 求人を見る前に退職する
  • 転職先を短期間で決める
  • 面接の模範回答を丸暗記する
  • 自分の経験を実態以上に大きく見せる
  • 転職サービスから示された年収情報だけで判断する
  • 複数内定を得ること自体を目標にする

必要なのは、今の段階で次に確認すべきことを一つずつ進めることです。

転職エージェントはSTEP3の選択肢の一つ

転職エージェントは、初めて転職する薬剤師にとって便利な場合があります。

求人提案、面接日程、求人企業への追加確認等を手伝ってもらえるためです。

一方で、利用は必須ではありません。

応募したい会社が決まっている人は企業採用ページから直接応募できます。公開求人を自分で比較したい人は求人サイト、地域求人・公的相談を利用したい人はハローワークを使えます。

したがって、この段階で特定の転職サービスを選ぶ必要はありません。求人を探す段階で、何を手伝ってほしいかを考えて求人探索方法を選びます。

転職活動の情報は一つの表にまとめる

初めて複数求人へ応募すると、求人票、メール、面接予定、条件提示などの情報が分散しやすくなります。

転職サービスごとに別管理するより、応募する本人が一つの表にまとめると、重複応募や確認漏れを防ぎやすくなります。

企業・店舗応募経路応募日面接日確認待ち結果・期限

転職エージェントを複数利用する場合も、どの企業へどの経路から応募したかを自分で把握しておくことが重要です。

元人事部長として感じる|転職活動は採用テクニックより順番が大切

採用側にいたとき、応募者が転職エージェントを使っているか、直接応募しているかだけで採否を決めることはありませんでした。

確認するのは、今回募集している仕事と応募者の経験が合うか、勤務条件が合うか、応募理由と求人内容に大きな矛盾がないかなどです。

そのため、初めての転職でも、採用側に好かれる方法を探すより、次の順番で確認する方が重要です。

  1. 自分が何を変えたいか
  2. どんな仕事・条件なら合うか
  3. その求人で何を担当するか
  4. 自分の経験を事実で説明できるか
  5. 提示された条件に納得できるか

転職は内定を取ることが最終目的ではありません。次の職場で実際に働き始めるところまで含めて判断してください。

FAQ

薬剤師の転職は何から始めればよいですか?

最初に、今回の転職で何を変えたいのか整理してください。求人応募や転職エージェント登録を最初に行う必要はありません。変えたいことを整理した後、必須条件・希望条件を決めて求人探しへ進みます。

初めての転職では転職エージェントに最初に登録した方がよいですか?

必須ではありません。企業採用ページ、求人サイト、ハローワーク、転職エージェントなど複数の求人探索方法があります。求人を探す段階で、自分に必要な支援から選んでください。

薬剤師の転職活動は在職中にした方がよいですか?

一律にはいえません。在職中は収入を維持しながら探せますが、活動時間を確保しにくい場合があります。退職後は活動に時間を使いやすい一方、無収入期間や社会保険等の手続きも考える必要があります。健康・安全上の事情も含めて判断してください。

転職活動は何か月くらいかかりますか?

全国共通の期間はありません。求人状況、選考回数、現職の退職調整、希望入社日等によって変わります。一般の転職者統計では1か月以上3か月未満の層が最も多いデータがありますが、薬剤師だけの数字ではなく、全員の理想期間を示すものでもありません。

次の職場が決まる前に退職してもよいですか?

退職後に転職活動をすることも可能です。ただし、次の入社までの生活費、健康保険・年金・雇用保険等の手続き、転職活動が長引いた場合の資金面を確認してください。勤務継続が難しい健康・安全上の事情がある場合は、通常の転職手順より休養・相談等を優先することもあります。

初めての転職では何社くらい応募すればよいですか?

全国共通の正解数はありません。希望条件に合う求人が一社しかない場合も、複数を比較できる場合もあります。応募数そのものを目標にせず、仕事内容・条件を確認して応募したい求人を選んでください。

内定が出たらすぐ今の職場へ退職を伝えるべきですか?

まず転職先の重要な労働条件を確認し、自分が実際に入社する意思を固めます。その後、現職の就業規則、退職申出時期、引継ぎ、転職先の入社予定日を確認しながら退職日を調整します。

まとめ|今いるSTEPから一つずつ進める

初めて薬剤師が転職するとき、最初に転職サービスへ登録したり、すぐ求人へ応募したりする必要はありません。

まず今回の転職で何を変えたいのかを整理し、必須条件・希望条件を決めます。

その後、求人を探し、職場を比較し、応募書類を作り、面接で仕事内容と条件を相互確認します。内定後は実際の労働条件を確認してから入社意思を固め、退職・引継ぎへ進みます。

転職活動期間、応募数、転職エージェントの登録社数などに全国共通の正解はありません。

自分が今どのSTEPにいるのか確認し、次に必要な一つの行動を進める。

初めての転職では、この順番を見失わないことが大切です。

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