服用薬剤調整支援料2とは?2027年6月開始の1000点・算定要件・研修を解説

この記事で確認できること
  • 服用薬剤調整支援料2は1,000点だが、2026年8月現在はまだ算定できないこと
  • 新制度の算定開始が2027年6月1日であること
  • 対象が複数の保険医療機関から内服薬を合計6種類以上処方されている患者であること
  • 算定できるかかりつけ薬剤師と、老年薬学 服薬総合評価研修会の受講資格の違い
  • 服用薬剤総合評価で実施する6項目
  • 別紙様式2・薬剤服用歴への保存・患者への事前説明
  • 評価後に患者・家族へ伝える内容
  • 在宅患者での算定、特別調剤基本料A・Bの制限
  • 服用薬剤調整支援料1・125点との違い
  • 1,000点という診療報酬と薬剤師個人の給与・市場価値を分けて考える理由

2026年度診療報酬改定では、服用薬剤調整支援料2が1,000点へ大きく見直されました。

ただし、最初に重要な点があります。

2026年8月現在、1,000点の新しい服用薬剤調整支援料2はまだ算定できません。

厚生労働省の点数表では「令和9年6月以降において算定する」とされ、留意事項通知でも2026年6月1日から2027年5月31日までは算定できないと明記されています。

新制度の算定開始は2027年6月1日です。

また、1,000点という数字だけを見て、要件を満たす薬剤師の年収が上がる、転職市場で希少価値が急上昇する、と判断することもできません。

新制度の中心は、複数医療機関から多くの内服薬が処方されている患者について、所定の研修要件を満たすかかりつけ薬剤師が服用薬剤総合評価を実施し、処方医へ文書で調整を提案することです。

この記事では、1,000点という点数よりも、誰が・どの患者に・何を実施し・何を記録し・誰へ何を伝える制度なのかを中心に整理します。

この記事の制度基準

本記事は2026年8月16日時点の厚生労働省「令和8年度 調剤報酬点数表」、2026年6月19日訂正後の調剤報酬点数表に関する留意事項、日本老年薬学会、日本薬剤師会JPALSの公表資料を確認して作成しています。

新しい服用薬剤調整支援料2はまだ算定開始前です。2027年6月までに疑義解釈、様式、研修名称等が更新される可能性があるため、実際の算定開始時には最新資料を再確認してください。

目次

結論|服用薬剤調整支援料2は2027年6月1日から1,000点、2026年8月現在は算定できない

新しい服用薬剤調整支援料2の基本事項を先に一覧で確認します。

確認項目新しい服用薬剤調整支援料2
点数1,000点
算定開始2027年6月1日
2026年6月1日〜2027年5月31日算定不可
対象患者複数の保険医療機関から内服薬が合計6種類以上処方されている患者
実施の入口患者または家族等の求めに応じる
実施者所定の研修要件を満たすかかりつけ薬剤師
主な実務服用薬剤総合評価を行い、調整が必要と判断した場合に処方医へ文書提案
同一患者の算定上限6月に1回
薬剤師ごとの算定上限かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで
記録別紙様式2を使用し、薬剤服用歴へ保存
事前説明評価を行う意義と患者自己負担額を説明し了解を得る

一次資料:厚生労働省|令和8年度 調剤報酬点数表

一次資料:厚生労働省|調剤報酬点数表に関する事項・留意事項通知(訂正後)

服用薬剤調整支援料2とは|薬物療法全体を総合評価して処方医へ提案する評価

新しい服用薬剤調整支援料2では、複数の保険医療機関から内服薬が合計6種類以上処方されている患者について、かかりつけ薬剤師が服用中の薬剤を継続的・一元的に把握します。

そのうえで、服用中の薬剤の調整が必要と認められる場合に、患者の服薬状況等について総合的な管理・評価を行います。

この評価が服用薬剤総合評価です。

評価後は、処方医に対して薬剤の調整について文書を用いて提案します。

したがって、処方薬の一覧を確認しただけ、6剤以上あることを確認しただけ、患者へ減薬を勧めただけでは制度の中心業務を満たしません。

患者の主観情報、検査値等の客観情報、生活状況・意向、各薬剤の効果・有害事象、薬剤関連問題、調整後の観察計画まで一連の評価が必要です。

2026年6月〜2027年5月は算定不可|制度が決まっていても移行期間がある

2026年度診療報酬改定は2026年6月から施行されていますが、服用薬剤調整支援料2の1,000点だけは同じタイミングで算定開始ではありません。

厚生労働省の留意事項では、

2026年6月1日から2027年5月31日までの間は算定できない

と明記されています。

つまり2026年8月現在、研修を修了していても、新しい服用薬剤調整支援料2を1,000点で請求することはできません。

一方、2027年6月からの制度開始に向け、日本老年薬学会ではすでに「老年薬学 服薬総合評価研修会」を開始しています。

制度開始前の現在は、算定実績を語る時期ではなく、制度要件・研修・店舗運用を確認する準備期間と考える方が正確です。

旧制度から何が変わる?1,000点は単なる増点ではない

2026年度改定前の服用薬剤調整支援料2は、重複投薬等の解消に向けて処方医へ提案する取組を評価する制度でした。

新しい1,000点の制度では、かかりつけ薬剤師による患者の薬物療法全体の適正化支援へ評価軸が大きく変わります。

比較改定前の支援料22027年6月からの支援料2
中心となる考え方重複投薬等の解消に向けた提案服用薬剤総合評価を通じた薬物療法の適正化支援
実施者旧制度の要件に基づく保険薬剤師所定の研修要件を満たすかかりつけ薬剤師
評価方法薬剤の一元的把握・提案等別紙様式2を用いた6項目すべての総合評価
点数旧点数体系1,000点
開始時期改定前制度2027年6月1日

厚生労省の中医協でも、服用薬剤調整支援料2について、かかりつけ薬剤師が患者への薬物療法適正化支援を実施することを算定要件として評価を見直す方針が説明されています。

一次資料:厚生労働省|中央社会保険医療協議会 総会 第645回議事録

算定までの実務フロー|候補患者の確認から結果伝達まで

服用薬剤調整支援料2の要件を現場で確認するときは、1,000点という点数から逆算するより、一連の業務を順番に確認する方が分かりやすくなります。

段階確認すること
1 制度開始時期2027年6月1日以降であることを確認する
2 患者要件複数の保険医療機関から内服薬が合計6種類以上処方されているか
3 薬剤師要件担当するかかりつけ薬剤師が所定の研修要件を満たしているか
4 患者・家族等の求め患者または家族等の求めに応じた対応であるか
5 調整必要性継続的・一元的に把握した結果、服用中薬剤の調整が必要と認められるか
6 事前説明総合評価の意義と患者自己負担額を説明し了解を得たか
7 服用薬剤総合評価別紙様式2を用い、6項目すべてを実施する
8 処方医への提案必要な薬剤調整について文書で提案する
9 患者・家族への結果伝達確認内容、疑われる有害事象、服薬状況、共有内容、生活上の注意点等を状況に応じて伝える
10 記録・上限確認別紙様式2を薬剤服用歴へ保存し、6月に1回・薬剤師1人月4回まで等を確認する

この表は、厚生労働省の点数表・留意事項に書かれた要件を実務で確認しやすい順番へ並べたものです。独自の算定要件を追加するものではありません。

特に、対象患者を見つけた段階で算定が決まるのではなく、調整の必要性を判断し、総合評価・文書提案・患者への結果伝達まで行うことを押さえてください。

患者・家族等の「求め」と事前説明の「了解」は別の工程

新しい支援料2には、患者または家族等の求めに応じて実施するという要件があります。

さらに別の留意事項として、服用薬剤総合評価を実施する意義と患者自己負担額をあらかじめ説明し、了解を得ることが求められています。

したがって、

  • 患者・家族等が薬の整理・評価を求めていること
  • 今回行う服用薬剤総合評価の意味と費用を理解してもらうこと

を同じ一つの確認事項として雑に処理しない方がよいでしょう。

一方、2026年8月時点で確認できる留意事項から、服用薬剤調整支援料2専用の患者依頼書や署名様式をサイト側で独自に必須とすることはしません。実運用開始時には疑義解釈や様式追加の有無を再確認します。

対象患者|複数の保険医療機関から内服薬が合計6種類以上

新制度の対象患者で重要なのは、複数の保険医療機関からという条件です。

厚生労働省の点数表・留意事項は、複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者と規定しています。

したがって、1つの医療機関から内服薬が6種類以上処方されているという事実だけで、新しい服用薬剤調整支援料2の患者要件を満たすとは説明できません。

さらに、6種類以上であれば自動的に算定対象になるわけでもありません。

  • 患者または家族等から求めがある
  • かかりつけ薬剤師が服用薬を継続的・一元的に把握する
  • 服用薬剤の調整が必要と認められる
  • 服用薬剤総合評価を実施する
  • 処方医へ文書で提案する

という流れが必要です。

6種類の数え方|支援料1の細かな計算ルールを支援料2へ自動的に流用しない

服用薬剤調整支援料1の留意事項には、屯服薬の扱い、開始後4週間以内の薬剤、配合剤、剤形ごとの種類数など、内服薬の種類数を数えるための細かな規定があります。

一方、2026年8月時点の支援料2の留意事項では、まず「複数の保険医療機関から内服薬が合計で6種類以上処方されている患者」という要件が示され、その後は服用薬剤総合評価の実務が詳しく規定されています。

そのため、支援料1に記載された種類数計算の細則を、根拠確認なしにそのまま新しい支援料2へ移植しないことが重要です。

2027年6月の開始前に、疑義解釈や請求上の詳細が追加された場合はその最新取扱いを優先してください。

制度記事としては、現時点で確定している「複数医療機関」「内服薬合計6種類以上」という条件を明確にし、まだ公的資料で明確にしていない細部を推測で補わない方が安全です。

ポリファーマシーは「薬が多いこと」だけではない

服用薬剤調整支援料2を理解するとき、6種類という数字だけを見て、6剤以上ならポリファーマシー、薬を減らせば解決と考えないことが重要です。

厚生労働省の「高齢者の医薬品適正使用の指針」は、ポリファーマシーについて、単に服用する薬剤数が多いことではなく、それに関連して薬物有害事象のリスク増加、服薬過誤、服薬アドヒアランス低下等の問題につながる状態と整理しています。

何剤からポリファーマシーとするかについて厳密な定義はなく、治療上6種類以上が必要な患者もいれば、少ない薬剤数でも問題が生じる患者がいます。

6種類以上は支援料2の算定要件の入口であり、「6剤以上だから一律に減らす」という基準ではありません。

一次資料:厚生労働省|高齢者の医薬品適正使用の指針(総論編)

算定できる薬剤師|所定の研修を修了したかかりつけ薬剤師に限定

1,000点の服用薬剤調整支援料2を算定できるのは、すべての保険薬剤師ではありません。

厚生労働省の留意事項では、服用薬剤総合評価を行うために必要な研修を修了したかかりつけ薬剤師が評価を実施することとされています。

ここでいう薬剤師は、次のいずれかです。

  • 日本老年薬学会が提供する「老年薬学 服薬総合評価研修会」を修了したかかりつけ薬剤師
  • 日本老年薬学会が定める老年薬学認定薬剤師であるかかりつけ薬剤師

老年薬学認定薬剤師であれば、診療報酬上さらに服薬総合評価研修会も必須とする書き方にはなっていません。

一方、研修会ルートを使う場合には、日本老年薬学会が定める受講資格を満たして研修を修了する必要があります。

診療報酬上の算定要件と、研修会の受講資格を混同しない

ここは特に誤解しやすい箇所です。

厚生労働省が定めるのは、服用薬剤調整支援料2を算定する薬剤師の要件です。

一方、日本老年薬学会は「老年薬学 服薬総合評価研修会」へ参加するための受講資格を定めています。

区分誰が定めるか内容
診療報酬上の算定要件厚生労働省研修会修了かかりつけ薬剤師、または老年薬学認定薬剤師であるかかりつけ薬剤師
研修会の受講資格日本老年薬学会免許・実務経験・所定認定・確認試験等、学会が定める要件

したがって「JPALS CL6が診療報酬上の直接的な算定要件」と短く説明すると正確ではありません。

現在の日本老年薬学会の研修会募集要項では、受講資格の一部として所定の認定を求め、その対象の一つとして2026年3月1日時点でG25「JPALS認定薬剤師 CLレベル6」が示されています。

制度の階層を分けて理解してください。

老年薬学 服薬総合評価研修会|2026年8月時点ですでに研修は開始済み

日本老年薬学会では、2027年6月の制度開始に向け「老年薬学 服薬総合評価研修会」を実施しています。

2026年度第1回は2026年8月9日に東京で実施されました。第2回は2026年10月25日に大阪で予定されています。

日本老年薬学会は年4回程度の開催を予定しており、研修修了書の有効期間は、交付日が属する年度末を起算日として5年間としています。

2026年8月時点の主な受講資格

現在公表されている募集要項では、次の各要件をすべて満たすことが求められています。

  • 薬剤師免許を有し、臨床での実務経験が5年以上
  • 学会が定める所定の認定を有する
  • 薬剤師生涯学習達成度確認試験に合格している

所定の認定として、2026年3月1日時点ではG25「JPALS認定薬剤師 CLレベル6」、または日本医療薬学会の地域薬学ケア専門薬剤師・薬物療法専門薬剤師等が示されています。

募集資格は今後変更される可能性があるため、受講時には必ず日本老年薬学会の最新募集要項を確認してください。

公式情報:日本老年薬学会|老年薬学 服薬総合評価研修会のお知らせ

JPALS CL6は2027年4月から「JPALS認定薬剤師(アドバンスト)」へ

現在の研修会募集要項では「JPALS認定薬剤師 CLレベル6」という名称が使われています。

しかし、日本薬剤師会のJPALSは2026年4月に制度改正を行い、クリニカルラダーのレベル表示を段階的に廃止しています。

2027年4月からは、

  • JPALS認定薬剤師 CLレベル5 → JPALS認定薬剤師
  • JPALS認定薬剤師 CLレベル6 → JPALS認定薬剤師(アドバンスト)

へ名称変更されます。

服用薬剤調整支援料2の算定開始は2027年6月1日です。

したがって、実際の算定開始時にはCLレベル6ではなく「JPALS認定薬剤師(アドバンスト)」という名称が使われていることになります。

なお、JPALSは日本薬剤師研修センターの認定制度ではなく、日本薬剤師会が運用する生涯学習支援・認定制度です。

公式情報:日本薬剤師会 JPALS|よくある質問

算定上限|同一患者6月に1回・かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで

1,000点という高い点数ですが、算定回数には上限があります。

  • 同一患者:6月に1回
  • かかりつけ薬剤師1人:月4回まで

したがって、対象患者を多数見つけて毎月無制限に1,000点を算定する制度ではありません。

また、同じ患者について毎月継続的に1,000点を算定できるわけでもありません。

点数の大きさだけで薬局収益を計算するのではなく、実施に必要な評価・情報収集・文書作成・患者説明・その後の観察等を含めて制度を理解します。

服用薬剤総合評価6項目|すべて実施する

厚生労働省の留意事項では、服用薬剤調整支援料2の算定に当たり、服用薬剤総合評価として次の6項目をすべて行うことを求めています。

項目確認する内容
1 主観的情報薬物治療について患者・家族等から主観的情報を聴取
2 客観的情報検査値等、薬物治療に必要な客観情報を収集
3 生活状況・意向服薬支援に必要な患者の生活状況と意向を聴取
4 効果・有害事象各服用薬剤がもたらす治療効果と有害事象を評価
5 薬剤関連問題解決すべき薬剤関連問題を特定・整理
6 観察計画・対応案服用薬剤調整後の観察計画と対応案を立案

主観的情報の聴取では、国立高度専門医療研究センター横断的研究推進費による研究で作成された「おくすり問診票」を必要に応じて活用することも示されています。

さらに、服用薬剤総合評価では、日本老年医学会・日本老年薬学会が作成する「日本版抗コリン薬リスクスケール」や「高齢者施設の服薬簡素化提言」を参照することとされています。

単に重複薬があるかを確認するだけではなく、患者の状態・意向・検査値・薬効・有害事象・生活まで含めて薬物療法を評価する制度です。

別紙様式2を使い、薬剤服用歴へ保存する

服用薬剤総合評価は、薬剤師が自由な形式で評価内容をメモすればよい制度ではありません。

厚生労働省の留意事項では、

別紙様式2を用い、薬剤服用歴へ保存すること

が明記されています。

したがって2027年6月に実運用を開始する薬局では、

  • 別紙様式2を誰が作成するか
  • 必要情報をどこから収集するか
  • 電子薬歴上でどのように保存するか
  • 処方医への文書提案とどう紐づけるか
  • その後の観察計画をどこで確認するか

まで運用を決める必要があります。

なお、この記事では厚生労働省の様式内容を独自に簡略化したものを正式様式として提示しません。実際の運用では最新の別紙様式を使用してください。

患者・家族へ事前に説明すること|評価の意義と自己負担額

1,000点の支援料2は、薬剤師が内部で評価して処方医へ連絡すれば終わる制度ではありません。

留意事項では、あらかじめ患者または家族等へ次の2点を説明し、了解を得る必要があります。

  1. 服用薬剤総合評価を実施する意義
  2. 服用薬剤調整支援料2により発生する患者自己負担額

1,000点は診療報酬上1万円相当ですが、患者が一律1万円を支払うという意味ではありません。実際の自己負担は保険の負担割合等で異なります。

患者から見れば、通常の服薬指導とは別にどのような評価を受けるのか、追加負担がなぜ発生するのかを理解できる説明が必要です。

評価後に患者・家族へ結果を返す|医師への提案だけで終わらない

服用薬剤総合評価後は、患者または家族等にも結果を伝えます。

厚生労働省の留意事項では、伝える事項等として次を挙げています。

  • 患者への聞き取り等で確認した内容
  • 薬物有害事象であると疑われる症状
  • 服薬状況・薬剤の管理状況
  • 医療従事者と共有する内容
  • 今後生活する上での注意点

ただし、一律の定型説明ではなく、患者・家族と医療従事者との関係性等を踏まえて内容を適宜変更することも明記されています。

患者情報を集め、薬剤を評価し、医師へ提案し、患者へ結果を返し、その後を観察する。

この流れ全体で新しい服用薬剤調整支援料2を捉える必要があります。

処方医への提案|単純に薬を減らすことだけが目的ではない

服用薬剤調整支援料という名称から、6剤以上の患者の薬を減らす制度と理解されることがあります。

しかし、新制度では服用薬剤総合評価を実施したうえで、薬剤の調整が必要と認められる場合に処方医へ文書提案します。

評価では、

  • 治療効果
  • 薬物有害事象
  • 患者の生活状況
  • 患者の治療・服薬に対する意向
  • 検査値等
  • 服用薬剤調整後の観察

まで扱います。

したがって、薬剤数を少なくすること自体を成果目標にしません。

治療上必要な薬剤まで一律に減らすのではなく、患者ごとの薬物療法の適正化を目的に評価・提案します。

在宅患者でも算定できる場合がある

在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定している患者だから、服用薬剤調整支援料2を必ず算定できないという制度ではありません。

留意事項では、在宅で療養し通院が困難な患者について、在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定している場合でも、所定の事項に基づき患者からかかりつけ薬剤師としての同意を得たうえで服用薬剤総合評価を実施したときは算定可能としています。

在宅患者訪問薬剤管理指導料の要件は別制度として定められています。該当する場合は、その制度の最新要件もあわせて確認してください。

ここでは、在宅患者だから支援料2の対象外とは限らないという算定上のポイントを確認します。

算定できないケース|特別調剤基本料A・Bも確認する

患者・薬剤師の要件を満たしていても、薬局側の条件によって算定できないケースがあります。

特別調剤基本料A

特別調剤基本料Aを算定している薬局が、当該薬局と不動産取引等その他の特別な関係を有する保険医療機関へ情報提供を行った場合は、服用薬剤調整支援料2を算定できません。

特別調剤基本料B

特別調剤基本料Bを算定している保険薬局では、服用薬剤調整支援料2を算定できません。

薬剤師個人が研修要件を満たしているだけでは算定可否を判断できないため、実際の運用時には自薬局の調剤基本料区分も確認します。

服用薬剤調整支援料1・125点との違い

2026年度の調剤報酬点数表には、服用薬剤調整支援料1と支援料2が並んでいます。

比較服用薬剤調整支援料1服用薬剤調整支援料2
点数125点1,000点
中心となる評価薬剤師の提案により内服薬が2種類以上減少した結果を評価服用薬剤総合評価を行い、薬剤調整を処方医へ文書提案する専門的業務を評価
患者条件6種類以上の内服薬等、支援料1の所定要件複数医療機関から内服薬合計6種類以上
実施薬剤師支援料1の要件を満たす保険薬剤師研修要件を満たすかかりつけ薬剤師
新制度の開始現行点数表に基づき算定2027年6月1日から

支援料1は、薬剤師の提案により内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合の結果評価です。

一方、新しい支援料2は、服用薬剤総合評価と処方医への提案という評価・介入プロセスを中心にしています。

1,000点だから支援料1の上位互換、という単純な関係ではありません。

2027年6月までに薬局・薬剤師が確認しておきたいこと

2026年8月時点では算定開始前なので、実績作りより準備項目の確認が中心です。

確認領域確認すること
薬剤師要件老年薬学認定薬剤師か、服薬総合評価研修会修了ルートか
研修受講現在の受講資格、募集時期、定員、修了要件
JPALS等の名称2027年4月の名称変更後の最新募集要項
対象患者複数医療機関から内服薬6種類以上という入口をどう確認するか
情報収集患者情報、生活情報、検査値等をどのように確認するか
様式別紙様式2をどこで作成・保存するか
患者説明評価の意義・自己負担額を誰がどの時点で説明するか
医師連携文書提案と調整結果の確認経路
結果伝達患者・家族への評価結果説明をどう行うか
フォロー調整後の観察計画・対応案をどう継続管理するか

これらは、薬局が算定件数を増やすための営業手順ではありません。

制度で求められる評価を適切に実施し、患者・処方医との情報連携を行うための運用準備です。

1,000点は薬局の利益1万円という意味ではない

診療報酬は1点10円で計算されるため、1,000点は診療報酬上1万円に相当します。

しかし、1件算定すれば薬局の利益がそのまま1万円増えるという意味ではありません。

新しい支援料2では、少なくとも次のような実務が伴います。

  • 患者の服薬状況・生活状況・意向の聴取
  • 検査値等の客観情報の収集
  • 全薬剤の治療効果・有害事象の評価
  • 薬剤関連問題の整理
  • 調整後の観察計画・対応案の立案
  • 別紙様式2の作成・保存
  • 処方医への文書提案
  • 患者・家族への結果説明

さらに、算定する薬剤師には研修・認定要件があり、同一患者6月に1回、薬剤師1人月4回までという上限もあります。

そのため、1,000点という点数だけで薬局の採算、研修投資の回収、個人給与への還元額を推定しません。

薬局内で決めておきたい運用|算定件数より情報収集と連携経路を先に作る

制度開始に向けて薬局内で準備する場合、1,000点を何件取るかだけをKPIにするより、必要な評価を実施できる情報・時間・連携体制を先に確認する方が制度に沿っています。

運用項目店舗・法人で確認したいこと
対象候補複数医療機関からの処方をどのように一元把握するか
情報取得検査値・患者生活情報等をどの経路で収集するか
評価時間服用薬剤総合評価を実施する時間を業務内でどう確保するか
様式別紙様式2の作成・保存場所、電子薬歴との関係
患者説明意義・自己負担額を誰がどのタイミングで説明するか
医師連携文書提案の送付・返答確認・調整結果の共有経路
結果伝達患者・家族へどのタイミングで結果を返すか
フォロー観察計画に基づくその後の確認を誰が担うか
算定管理患者6月に1回・薬剤師月4回の上限をどう管理するか

これらは厚生労働省が全国一律の社内手順として定めたものではなく、通知上の業務を漏れなく実施するための運用確認例です。

特に、薬剤師本人が研修を修了していても、必要な患者情報を集められず、処方医との情報共有や評価後のフォローができない環境では、制度の実務を十分に回しにくいと考えられます。

元人事部長の経験|資格名より実際に担当した業務を確認していた

採用に携わっていた経験から、専門資格や研修歴があること自体は応募書類で確認する材料になります。

一方、実際の採用判断では、資格名だけでなく、その資格・研修を使って何を担当してきたかを確認することが重要でした。

  • どのような患者を継続的にフォローしたか
  • どの情報を収集して薬物療法を評価したか
  • 医師へどのような薬学的提案を行ったか
  • 提案後の患者状態をどう確認したか
  • 患者・家族へどのように説明したか

といった実務です。

新しい服用薬剤調整支援料2も、研修を修了したという一点だけで採用評価や給与が決まると考えず、実際の患者支援経験として積み上げられるかを見る方が実務的です。

1,000点なら薬剤師の年収は上がる?診療報酬と個人給与は別

服用薬剤調整支援料2が1,000点になったからといって、算定要件を満たす薬剤師の年収が全国一律に上がるわけではありません。

診療報酬である業務が1,000点と評価されることと、勤務する薬剤師の給与制度は別です。

間には少なくとも、

  • 対象患者数
  • 算定上限
  • 評価に必要な薬剤師の稼働時間
  • 研修・教育コスト
  • 薬局全体の収益構造
  • 会社の賃金・人事評価制度
  • 本人の雇用条件・役職

などがあります。

1,000点 → 薬局利益増 → 研修修了者の給与上昇という一本の換算式はありません。

一方、2027年6月以降に実際に服用薬剤総合評価を担当し、処方医への提案や患者フォローまで行った経験は、同様の業務を求める求人で職務経験として説明できます。

その経験を採用・給与でどのように評価するかは企業ごとに異なります。

調剤報酬改定と薬剤師給与の関係全体は、次の記事で整理しています。

関連記事:2026年調剤報酬改定で薬剤師の給与は上がる?キャリアへの影響を解説

2026年度改定全体を確認したい場合

服用薬剤調整支援料2は2026年度調剤報酬改定の一項目です。

地域支援・医薬品供給対応体制加算、在宅関連、電子処方箋、調剤基本料等は、それぞれ別の制度です。服用薬剤調整支援料2と混同せず確認してください。

2026年度改定全体の主な変更点を確認したい場合は、次の関連記事を参照してください。

関連記事:2026年度調剤報酬改定を薬剤師向けに解説|主な変更点・点数・現場への影響

2027年6月までは「算定できる薬剤師」と名乗るより、準備状況を正確に表現する

制度開始前の時期には、研修を修了したことと、実際に1,000点を算定した経験を区別する必要があります。

2026年8月現在は制度上算定できないため、職務経歴書やプロフィール等で「服用薬剤調整支援料2・1,000点の算定実績あり」と書ける人は制度上存在しません。

研修を修了した場合は、実際の事実に応じて、

  • 老年薬学 服薬総合評価研修会 修了
  • 服用薬剤総合評価の制度開始に向けた院内・薬局内準備に関与

など、現在の経験をそのまま説明します。

制度開始後に実際の患者へ総合評価を行い、処方医への提案や結果伝達まで担当した時点で、その実務経験を追加していく方が正確です。

算定開始前から「1,000点薬剤師」「高収益薬剤師」といったラベルを作ることは、本サイトでは推奨しません。

FAQ

服用薬剤調整支援料2は2026年8月現在算定できますか?

算定できません。厚生労働省の留意事項では、2026年6月1日から2027年5月31日までの間は服用薬剤調整支援料2を算定できないとしています。1,000点の新制度は2027年6月1日からです。

服用薬剤調整支援料2は何点ですか?

新制度は1,000点です。ただし2027年6月1日から算定開始です。同一患者について6月に1回、かかりつけ薬剤師1人につき月4回までという算定上限があります。

1つの医療機関から6種類処方されていれば対象ですか?

新しい服用薬剤調整支援料2は、複数の保険医療機関から内服薬が合計6種類以上処方されている患者を対象としています。1医療機関から6種類以上という事実だけで、この患者要件を満たすとは説明できません。

どのかかりつけ薬剤師でも算定できますか?

いいえ。日本老年薬学会の老年薬学 服薬総合評価研修会を修了したかかりつけ薬剤師、または日本老年薬学会が定める老年薬学認定薬剤師であるかかりつけ薬剤師が対象です。

老年薬学認定薬剤師なら服薬総合評価研修会も必要ですか?

厚生労働省の留意事項は、研修会を修了したかかりつけ薬剤師「または」日本老年薬学会が定める老年薬学認定薬剤師であるかかりつけ薬剤師としています。老年薬学認定薬剤師について、さらに同研修会修了も重ねて必須とする書き方ではありません。

JPALS CLレベル6でなければ算定できませんか?

JPALS CLレベル6は、2026年時点で日本老年薬学会が服薬総合評価研修会の受講資格として示している所定認定の一つです。診療報酬上の直接的な算定要件をCL6そのものと説明するのは正確ではありません。また2027年4月からCL6はJPALS認定薬剤師(アドバンスト)へ名称変更されます。

在宅患者でも服用薬剤調整支援料2を算定できますか?

条件を満たせば算定可能です。留意事項では、在宅患者訪問薬剤管理指導料等を算定している通院困難な患者でも、所定の手続に基づきかかりつけ薬剤師としての同意を取得し、服用薬剤総合評価を実施した場合は算定可能としています。

服用薬剤調整支援料1との違いは何ですか?

支援料1は125点で、薬剤師の提案によって内服薬が2種類以上減少し、その状態が4週間以上継続した場合の結果を評価します。新しい支援料2は1,000点で、所定の研修要件を満たすかかりつけ薬剤師が服用薬剤総合評価を行い、処方医へ文書提案する専門的な評価・介入プロセスを中心とする制度です。

1,000点を算定できれば薬剤師の給与は上がりますか?

一律には言えません。診療報酬上の評価と個人給与は別です。実際に服用薬剤総合評価・処方提案・患者フォロー等を担当した経験は職務経験として説明できますが、給与・採用評価は勤務先の人事制度や求人条件等によって異なります。

まとめ|1,000点という数字より、患者要件・研修・総合評価の実務を理解する

  • 新しい服用薬剤調整支援料2は1,000点
  • 2026年8月現在は算定できず、2027年6月1日から算定開始
  • 対象は複数の保険医療機関から内服薬を合計6種類以上処方されている患者
  • 6種類以上だから一律に減薬する制度ではない
  • ポリファーマシーは薬剤数の多さだけではなく、それに伴う問題が生じている状態を含む
  • 算定できるのは所定の研修要件を満たすかかりつけ薬剤師
  • 厚労省の算定要件と日本老年薬学会の研修会受講資格は分けて考える
  • JPALS CL6は2027年4月からJPALS認定薬剤師(アドバンスト)へ名称変更
  • 同一患者6月に1回、かかりつけ薬剤師1人につき月4回まで
  • 服用薬剤総合評価では6項目をすべて実施する
  • 別紙様式2を使用し薬剤服用歴へ保存する
  • 事前に評価の意義と患者自己負担額を説明する
  • 評価後は患者・家族へ結果を伝える
  • 在宅患者でも条件を満たせば算定可能
  • 特別調剤基本料A・Bでは算定制限がある
  • 1,000点から薬剤師個人の年収・市場価値を直接推定しない

服用薬剤調整支援料2で注目すべきなのは、1,000点という金額だけではありません。

患者の薬物療法を、生活・意向・検査値・薬効・有害事象まで含めて総合評価し、処方医への提案と患者への結果伝達、その後の観察までつなげる業務を明確に評価したことが制度の中心です。

制度開始前の現在は、先行者利益や年収アップを急ぐより、最新の算定要件・研修要件・店舗運用を正しく確認する段階です。

2027年6月の開始時には、厚生労働省の最新疑義解釈、日本老年薬学会の研修要項、JPALSの名称変更をあらためて確認してください。


主な一次資料

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