【警告】コロナ禍後に激変した薬剤師求人|知らないと年収200万損する「選別」の真実

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2025年12月時点の情報です


目次

「資格さえあれば大丈夫」という時代の終焉

「薬剤師免許があれば、いつでも希望の条件で働ける」

あなたは、まだそう思っていませんか。

残念ながら、その認識は完全に過去のものになりました。

厚生労働省の「一般職業紹介状況」によると、2018年の薬剤師の有効求人倍率は5.84倍でした。薬剤師1人に対して5つ以上の求人が存在し、まさに「選び放題」の時代だったのです。しかし2020年のコロナ禍で受診控えが全国的に発生し、2020年9月には有効求人倍率が2.01倍へと急落しました。その後も回復はコロナ禍前の水準には届かず、2024年9月時点で2.20倍程度で推移しています。

この数字が意味することは明確です。かつての「売り手市場」は終わり、今や企業が薬剤師を「選ぶ」時代に突入したのです。

私は人事部長として、この変化の中で多くの薬剤師を採用し、また多くの応募者を不採用にしてきました。その経験から断言できることがあります。コロナ禍後の薬剤師転職市場で成功するには、従来の常識を捨て、新たなスキルとキャリア戦略を身につける必要があるということです。

この記事では、元人事部長としての視点から、コロナ禍後に求められるスキルと、あなたの市場価値を最大化するキャリア戦略を具体的に解説します。


コロナ禍後の薬剤師求人市場|データで見る「激変」の実態

有効求人倍率の推移が示す厳しい現実

薬剤師の転職市場がいかに変化したか、まずデータで確認しましょう。

2015年の有効求人倍率は6.33倍、2017年は5.57倍と高水準を維持していました。しかしコロナ禍の2020年には2.01倍まで急落し、2021年10月には1.89倍という過去最低水準を記録しています。

2024年時点では2.20倍程度まで回復していますが、全職業平均の約1.20倍と比較すれば依然として高い水準であることは事実です。ただし、かつての6倍台には遠く及びません。

比較項目コロナ前(〜2019年)コロナ・改定後(現在)元人事部長の本音
市場の状態超売り手市場(入れ食い)買い手市場(選別)正直、昔は誰でも受かりました
有効求人倍率5.0倍 〜 6.0倍2.0倍 前後数字以上に「好条件」が激減中
採用基準資格があれば即採用即戦力・実績重視「経験年数」より「中身」を見ます
年収提示言い値で通りやすい実績に応じたシビアな査定何も武器がないなら減額もあり得ます
面接の主導権薬剤師 > 企業薬剤師 < 企業「選んでやる」態度は即不採用です
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「即戦力志向」への急激なシフト

私が人事部長として感じていた変化があります。それは、採用基準が「資格があればよい」から「即戦力」へと完全にシフトしたことです。

コロナ禍以前、応募者から「調剤経験は3年です」と言われれば、それだけで十分な評価材料でした。しかし現在は違います。「どの科目を何枚担当していたか」「在宅訪問の経験はあるか」「かかりつけ薬剤師の同意は何人取得したか」といった具体的な実績を問う質問が面接の標準になっています。

ある面接で、30代後半の応募者がこう答えました。「調剤経験は10年あります。幅広い科目を経験してきました」。私はこの回答を聞いた瞬間、心の中で不採用のボックスに履歴書を分けました。なぜなら、「幅広い」という言葉は、裏を返せば「何一つ突き抜けた武器がない」ことの自白だからです。

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都市部と地方で二極化する求人事情

コロナ禍後、もう一つ顕著になったのが地域による求人格差です。

東京23区や大阪市内など都市部では、応募者が集中し、条件面で妥協を求められるケースが増えています。一方、地方や郊外では依然として薬剤師不足が深刻で、年収700万円以上の高額求人も存在します。

厚生労働省の「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、人口10万人あたりの薬剤師数は、東京都が235.7人、沖縄県が149.4人と、約90人もの差があります。この地域偏在は、キャリア戦略を考える上で重要な視点となります。

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今、採用現場で求められる5つのスキル

求められるスキル重要度年収へのインパクト(目安)採用現場での評価
1. 在宅医療対応★★★★★+50万 〜 100万円今、最も高値がつく「最強の武器」
2. かかりつけ実績★★★★☆採用可否に直結患者を呼べる薬剤師は喉から手が出るほど欲しい
3. 医療DX対応★★★☆☆将来性の評価UP電子処方箋などを「教えられる」人は重宝される
4. コミュニケーション★★★★☆役職手当の対象「対物」から「対人」へ。稼ぐ薬局の必須要件
5. マネジメント経験★★★★★+100万円以上600万〜700万の壁を超える唯一の切符

1. 在宅医療への対応力

2025年問題、すなわち団塊の世代が全員75歳以上となる超高齢社会の到来により、在宅医療のニーズは急速に拡大しています。

ある40代の薬剤師が転職面接に来た話です。彼は前職で訪問薬剤管理指導の実績が月50件以上あり、医師やケアマネージャーとの連携経験も豊富でした。結果、複数の薬局から内定を獲得し、年収は前職比で80万円アップでした。

在宅医療の経験は、今や年収交渉における強力な武器です。厚生労働省も「地域連携薬局」「専門医療機関連携薬局」の認定制度を設け、在宅業務を行う地域密着型薬局のニーズを高めています。

2. かかりつけ薬剤師としての実績

2024年の診療報酬改定では、かかりつけ薬剤師指導料の要件が見直され、24時間対応の要件が緩和されました。これにより、かかりつけ薬剤師として活躍できる薬剤師の裾野が広がっています。

かかりつけ薬剤師指導料を算定するには、保険薬剤師として3年以上の薬局勤務経験、当該薬局への週32時間以上の勤務、1年以上の在籍、研修認定の取得、地域活動への参画といった要件を満たす必要があります。

面接で「かかりつけ薬剤師の同意を何人取得していますか」と質問すると、明確に答えられる方とそうでない方で、評価に大きな差が出ます。同意取得数は、患者との信頼関係を築く力の証明だからです。

3. 医療DXへの対応力

2023年1月に電子処方箋の運用が開始され、医療DXは加速しています。2024年の診療報酬改定では「医療DX推進体制整備加算」が新設され、電子処方箋や電子カルテ情報共有サービスへの対応が評価されるようになりました。

2025年4月からは、薬局が医療DX推進体制整備加算を算定するためには、電子処方箋の導入が必須となっています。電子処方箋の導入率は2024年11月時点で薬局が50%前後、医科診療所が10%未満と、薬局が先行して普及が進んでいます。(※地域や調査により変動あり)

「電子処方箋って、何をどうすればいいんですか」と面接で質問する応募者を、私は何人も見てきました。残念ながら、そうした方の採用優先度は低くなります。デジタルへの対応力は、もはや必須スキルです。

4. 対人業務のコミュニケーション力

薬剤師の業務は「対物業務から対人業務へ」のシフトが進んでいます。調剤業務の一部は調剤補助員が担えるようになり、薬剤師には服薬指導や服薬フォローアップといった対人業務での付加価値が求められています。

私が採用で重視していたのは、「患者さんとの会話をどう組み立てているか」という点でした。単に薬の説明をするだけでなく、生活習慣への踏み込んだアドバイスができるか。セルフメディケーションの相談に対応できるか。こうした能力が、採用の可否を分けます。

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5. マネジメント経験

管理薬剤師やエリアマネージャーの経験は、転職市場での大きなアドバンテージになります。

厚生労働省の「令和5年賃金構造基本統計調査」によると、薬剤師の平均年収は約578万円です。しかし、管理薬剤師になると年収600万円台後半、エリアマネージャークラスでは700万円を超えるケースも珍しくありません。

「部下を何人持っていましたか」「売上管理はどのように行っていましたか」といった質問に具体的に答えられる方は、採用時の評価が格段に上がります。

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年収を上げるための具体的キャリア戦略

戦略1:認定薬剤師資格の取得

「プライマリ・ケア認定薬剤師」「在宅療養支援認定薬剤師」といった認定資格は、専門性の証明として有効です。

かかりつけ薬剤師の要件にも「薬剤師認定制度認証機構が認証している研修認定の取得」が含まれており、認定薬剤師資格は実務上も不可欠になりつつあります。

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戦略2:在宅医療の実績を積む

在宅訪問の経験がない方は、まず現職で在宅業務に手を挙げることをお勧めします。訪問薬剤管理指導の実績は、転職時の年収交渉で大きな武器になります。

「在宅はやったことがありません」と答える応募者と、「月20件の訪問実績があり、ターミナルケアの経験もあります」と答える応募者。同じ経験年数でも、後者には100万円以上高い年収を提示するケースがありました。

戦略3:転職エージェントの戦略的活用

年収交渉や「残業の実態」確認を、自分で行っていませんか?
はっきり言いますが、それは自爆行為です。

面接で権利主張ばかりする候補者は「扱いづらい人材」として即座に評価を下げていました。しかし、同じ質問でもエージェント経由であれば「しっかりしたエージェントがついている候補者」として、真摯に対応せざるを得ません。

「お金にうるさい人」というレッテルを貼られず、好条件を引き出す。これができるのは、交渉力の高いエージェントを味方につけた人だけです。

私が採用担当として対峙し、「ここの担当者は手強い(=求職者にとって頼もしい)」と感じたエージェントを、以下の記事で実名を挙げて暴露しています。

年収で損をしたくない方は、必ずチェックしてください。

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面接で差がつく!元人事部長が教える「採用される」回答術

質問内容落ちる回答(NG)受かる回答(OK)元人事部長の採点ポイント
転職理由「人間関係が辛くて」
「給料が安くて」
「在宅医療のスキルを伸ばし、地域貢献したいからです」「逃げ」か「攻め」か。
不満だけの人はトラブルメーカー認定。
強み「真面目です」
「協調性があります」
「かかりつけ同意数〇〇件、月〇〇件の在宅実績があります」「数字」で語れるか。
形容詞だけの自己PRは信用しません。
希望年収「高い方がいいです」
「前職考慮で」
「御社の規定に従いますが、私の実績は〇〇なので考慮頂きたい」「相場観」と「謙虚さ」。
交渉はエージェント経由が鉄則。
逆質問「残業はありますか?」
「有給は取れますか?」
「今の課題は何ですか?」
「私が貢献できることは?」
「権利主張」か「貢献意欲」か。
条件確認は自分でするな。

質問1:「なぜ転職を考えているのですか」

NGな回答:「人間関係がうまくいかなくて」「給料が低いので」

採用される回答:「在宅医療に力を入れたいと考えており、現職では訪問業務の機会が限られています。御社は地域支援体制加算を算定されており、在宅業務に注力されていると伺いました。私の経験を活かして貢献したいと考えています」

ネガティブな転職理由を正直に話す必要はありません。前向きな理由に変換して伝えることが重要です。

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質問2:「あなたの強みは何ですか」

NGな回答:「コミュニケーション能力があります」「真面目に仕事に取り組みます」

採用される回答:「前職では、かかりつけ薬剤師の同意を月平均3件獲得し、累計45名の患者様を担当していました。患者様の生活背景を丁寧にヒアリングし、服薬アドヒアランスの向上に貢献できたと考えています」

抽象的な強みではなく、具体的な数字と実績で語ることが重要です。

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質問3:「希望年収はいくらですか」

NGな回答:「できるだけ高いほうがいいです」「前職と同じくらいで」

採用される回答:「現在の年収は○○万円です。御社での業務内容と責任の範囲を考慮いただき、適正な評価をいただければ幸いです。在宅業務の拡大に貢献できる自信がありますので、その点も含めてご検討いただければと思います」

具体的な希望額を最初から提示するより、交渉の余地を残しておくことが得策です。詳細な年収交渉はエージェントに任せましょう。

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危険信号!避けるべき求人の特徴

「頑張れば年収800万円」の落とし穴

求人票に「頑張れば年収800万円も可能」と書かれていたら要注意です。「頑張る」の具体的内容、つまり何をどれだけ達成すれば800万円になるのか、エージェントを通じて必ず確認してください。

私が人事部長時代、「頑張れば」という表現を使う求人の多くは、実際には到達困難な条件が設定されていました。

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常に求人が出ている薬局

同じ薬局の求人が何ヶ月も掲載されている場合、離職率が高い可能性があります。エージェントに「この店舗の離職率は」「前任者の退職理由は」と確認することをお勧めします。

面接で経営者の「ワンマン」が見える

中小薬局への転職では、経営者との相性が極めて重要です。面接で社長が一方的に話し続ける、質問を遮る、といった場面があれば、入社後も同様の関係が続く可能性が高いです。

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年代別・状況別のキャリア戦略

20代・30代前半:スキルの「幅」を広げる時期

若手のうちは、特定の科目に縛られず、幅広い調剤経験を積むことをお勧めします。特に在宅医療やかかりつけ薬剤師の経験は、30代以降のキャリアで大きな差となります。

30代後半・40代:専門性の「深さ」を追求する時期

管理薬剤師やエリアマネージャーへのキャリアアップ、または認定薬剤師資格の取得による専門性の確立。どちらの道を選ぶか、明確にする時期です。

50代以降:経験を「資産」に変える時期

50代以降の転職は確かに難易度が上がりますが、マネジメント経験や在宅医療の実績があれば、十分に選択肢はあります。「経験豊富なベテラン」として重宝される薬局は存在します。

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あなたの「次の一歩」を後押しするために

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

コロナ禍後の薬剤師転職市場は、確かに厳しくなりました。しかし、それは「転職できない」ということではありません。求められるスキルと戦略が変わっただけです。

在宅医療への対応力、かかりつけ薬剤師としての実績、医療DXへの対応力、対人業務のコミュニケーション力、そしてマネジメント経験。これらを一つでも身につけることで、あなたの市場価値は確実に上がります。

今の職場で「このままでいいのか」と感じているなら、その感覚は正しいのかもしれません。あなたの経験とスキルは、もっと評価される場所があるはずです。

⚠️ 12月は「好条件求人」の争奪戦です

正直にお伝えします。12月10日のボーナス支給後は、一年で最も転職希望者が増える人材争奪戦のピークです。 完全週休二日制かつ年収650万以上の求人、本当に残業のない求人は、すぐに埋まってしまう恐れがあります。残り物で妥協しないよう、年内に「求人の枠(席)」だけは確保してください。

ただし、焦って変なエージェントを選ばないでください。

私は人事責任者として、大手を中心に20社以上の紹介会社と渡り合ってきました。その中で、「この担当者は信用できる」「求職者の利益を第一に考えている」と私が裏側から認定できたのは、わずか数社しかありません。

彼らは、私が求人者として「担当者の固定化」などの厳しい要望を出しても誠実に対応し、何より薬局側にとって都合の悪い情報(実際の残業時間や離職率の高さ)まで、求職者に包み隠さず伝えていました。

あなたの市場価値を正当に評価してくれる職場を見抜くために、私が人事の裏側から見て「本物だ」と確信したエージェントとその理由を記事にしました。転職に失敗したくない方はぜひご覧ください。

あなたの薬剤師としてのキャリアが、より良い方向に進むことを心から願っています。

あなたの市場価値は、あなたが思っているより高い。その価値を正当に評価してもらえる職場を、戦略的に探していきましょう。


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この記事を書いた人

調剤薬局チェーン元人事部長・薬剤師・中小企業診断士。
約4年間、人事責任者として薬剤師の採用・評価制度設計に従事。大手を中心に20社以上の紹介会社と折衝し、採用の舞台裏から「紹介会社の実力差」を熟知する。現在は経営コンサルタントとして、調剤薬局の採用戦略や人事考課制度の設計支援を行う一方、薬剤師個人のキャリア支援も行っている。採用側と求職側、双方の視点を持つ「情報の非対称性を解消する」解説に定評がある。

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