2026年2月時点の情報です
ドラッグストア再編の全貌|2025年12月、”前倒し”統合の衝撃
「まさか、こんなに早く来るとは」
2025年12月1日、ウエルシアHDとツルハHDの経営統合が完了しました。当初の「2027年統合」という発表を信じていた現場の薬剤師にとって、この「2年の前倒し」は寝耳に水だったはずです。
新生ツルハHDの発足により、以下の規模を持つ巨大連合が誕生しました。
- 全国店舗数:約5,600店舗
- 売上高:2兆3,000億円超
元人事部長として断言します。経営陣がスケジュールを2年も早めた理由は一つ。「悠長に待っていられないほど、市場環境が厳しいから」です。
統合完了から1ヶ月が過ぎた今(2026年1月)、水面下ではすでに「システム統合」と「人員配置の最適化」という名のリストラ準備が始まっているのでしょう。
「うちの会社、来年には違う会社名になっているかもしれない」
ドラッグストアで働くあなたは、そんな不安を抱えていないでしょうか。
この再編劇は、氷山の一角に過ぎません。日本チェーンドラッグストア協会の確報(2024年度)によると、市場規模はついに10兆円の大台(10兆307億円)を突破しました。
右肩上がりの数字とは裏腹に、現場では大手による「弱肉強食」の吸収合併が加速しています。
私は元・調剤薬局チェーンの人事部長として、薬剤師の採用・労務・キャリア面談に携わってきました。転職希望者として面接する薬剤師もいれば現職に留まっておられる薬剤師の方も知り合いには多くおります。統合後に輝く人材と、取り残される人材の違いをこの目で見てきました。
この記事では、ドラッグストア再編の最前線で何が起きているのか、そしてあなたがこの激動を「チャンス」に変えるための具体的な戦略をお伝えします。
M&A前後で変わる薬剤師の労働環境
| 項目 | 統合前(現在) | 統合後(未来) |
|---|---|---|
| 店舗の方針 | 現場の裁量が大きい | 本部主導・マニュアル徹底 |
| システム・薬歴 | 使い慣れたもの | 強制刷新・操作習得必須 |
| 異動・転居 | エリア限定が基本 | 広域異動・店舗譲渡のリスク |
| 人間関係 | 気心知れた仲間 | 旧社閥・派閥争いの発生 |

ドラッグストア再編の全貌|2025年、業界地図はこう変わった
巨大連合の誕生|ウエルシア×ツルハ統合の衝撃
2025年12月1日、ドラッグストア業界に激震が走りました。業界1位のウエルシアHDと2位のツルハHDが経営統合を完了し、売上高2兆3,000億円を超える巨大企業が誕生したのです。
この統合により、新生ツルハHDは以下の規模を手にしました。
- 全国店舗数:約5,600店舗(47都道府県すべてをカバー)
- 薬剤師・登録販売者・管理栄養士:約5万人
- 従業員総数:約11万6,000人
- 顧客データ:約1億人分
経営統合後のシナジー効果として、3年間で約500億円の創出が見込まれています。商品の共同調達、物流の効率化、プライベートブランドの共同開発が進むことで、業界全体の競争環境は一変するでしょう。
スギHD×阪神調剤グループの統合
もう一つの大型再編が、スギホールディングスによるI&H(阪神調剤グループ)の子会社化です。2024年9月に完了したこの買収により、スギグループは調剤売上高で業界トップクラスに躍り出ました。
スギHDは関東・中部・関西・北陸信州エリアに1,700店舗以上を展開し、約4,000名の薬剤師を擁する調剤併設型ドラッグストアを強みとしています。I&Hの阪神調剤薬局は全国500店舗超を展開しており、両社の統合により店舗網は4,000店規模となりました。
この動きが示すのは、「ドラッグストア」と「調剤薬局」の境界線が急速に消えつつあるという事実です。

「うちは大手だから大丈夫」という誤解|公取委による”店舗譲渡”の現実
「会社が大きくなったから、雇用も安泰だ」
そう思っているなら、今すぐその考えを捨ててください。今回のウエルシア・ツルハ統合に際し、公正取引委員会は「一部エリアでの店舗譲渡(問題解消措置)」を条件に承認を出しました。
これはどういうことか?
独占禁止法に抵触しないよう、特定地域の店舗を「競合他社に売り払う」ことが統合の条件だったのです。つまり、昨日まで「業界No.1企業の社員」だったあなたが、翌日には「ライバル企業」に店舗ごと売却され、転籍を余儀なくされるリスクが現実にあったのです。
大手だから安泰ではありません。大手だからこそ、国のルールや経営判断一つで、駒のように動かされるリスクがある。これがM&Aの残酷な真実です。
中小薬局・ドラッグストアの生存戦略
大手の再編が進む一方で、中小規模の薬局やドラッグストアはどうなるのでしょうか。
厚生労働省のデータによると、調剤薬局上位10社の市場占有率は売上高ベースで約13.9%、店舗数ベースで約7.9%にとどまっています。これはドラッグストア業界と比較すると低い水準であり、調剤薬局の分野ではまだ再編の余地が大きいことを意味します。
私が目撃した光景があります。ある地方の中堅薬局チェーンが大手に買収された際、統合から2年で管理職ポストは半減し、本社機能は吸収先に移管されました。
「うちは大丈夫」という根拠のない安心感は、最も危険な兆候です。

M&A後に待遇が激変する薬剤師の特徴
年収が下がる人、上がる人の決定的な違い
M&Aによる組織再編後、薬剤師の待遇はどう変わるのでしょうか。私の経験から言えば、明暗は明確に分かれます。
待遇が向上するケース
まず一つ目は、専門性を持つ薬剤師です。在宅医療の経験者、がん専門薬剤師、糖尿病療養指導に強い人材は、統合後も重宝されます。買収側の企業にとって、こうした人材は「買収の目的」そのものだからです。
二つ目は、マネジメント経験を持つ薬剤師です。複数店舗を統括した経験、新人教育のスキル、数字を読む力。これらを持つ人材は、統合後のエリアマネージャーや教育担当として活躍の場が広がります。
待遇が悪化するケース
一方で、その職場でしか通用しないスキルしか持たない薬剤師は厳しい状況に置かれます。旧態依然とした業務しかできない、デジタルツールへの適応が遅い、対人コミュニケーションに難がある。こうした人材は、統合後の「人員整理」の対象になりやすいのです。
統合後に「勝ち残る人材」と「淘汰される人材」
| 特徴 | 年収アップ・維持(生存) | 年収ダウン・リストラ(危険) |
|---|---|---|
| スキル | 在宅医療・がん・糖尿病 専門性が高い |
対人業務のみ 誰でもできる業務 |
| 経験 | マネジメント経験あり 人・数値を管理できる |
現場プレイヤーのみ 指示待ち姿勢 |
| IT適性 | DX・新システムに柔軟 | デジタルアレルギー |
| 市場価値 | 転職市場を常に把握 | 「大手だから安心」と過信 |
厚生労働省の令和6年賃金構造基本統計調査によると、薬剤師の平均年収は599.3万円です。しかしこれはあくまで平均値。ドラッグストア薬剤師の年収は調剤薬局よりも高い傾向にあり、約550万~700万円が相場とされています。
M&A後にこの水準を維持できるかどうかは、あなた自身の「市場価値」にかかっています。

「統合」を転職のチャンスに変えた薬剤師のケース
私が聞いたある事例をお話しします。
ある地方のドラッグストアチェーンが大手に買収された際、30代後半の薬剤師Aさんは、周囲が動揺する中で冷静に行動しました。まず彼女がやったのは、統合先企業の「求める人材像」を徹底的にリサーチすることでした。
統合先の企業は在宅医療の強化を掲げていました。Aさんは即座に在宅医療の研修に参加し、認定薬剤師の資格取得に動きました。そして統合から半年後、彼女は新設された在宅部門のリーダーに抜擢されたのです。
「統合は、自分の価値を再評価してもらえるチャンス」
彼女はそう言いました。逆に、何も動かずに様子見をしていた同僚は、結局「処遇維持」という名目で実質的な降格を受けることになりました。

再編時代を勝ち抜く5つの生存戦略
薬剤師の生存戦略と期待効果一覧
| 戦略アクション | 難易度 | 市場価値(年収) | 即効性 |
|---|---|---|---|
| 在宅医療スキルの習得 | ★★★ | 大幅UP | 高 |
| マネジメント経験を積む | ★★★★ | UP | 中 |
| 調剤+OTC両習得 | ★★ | 安定 | 中 |
| デジタル(DX)対応 | ★★ | 維持 | 高 |
| 転職市場価値の把握 | ★ | リスク回避 | 即時 |
※難易度★1は、今すぐスマホ一つで始められるアクションです。
戦略1:在宅医療スキルを今すぐ身につける
ドラッグストア大手の経営統合において、共通して強化されているのが「在宅医療」です。高齢化社会の進展により、店舗に来られない患者さんへのサービス需要は急増しています。
在宅医療の経験は、転職市場でも高く評価されます。私が人事部長として採用面接を行っていた際、在宅経験のある薬剤師には、そうでない候補者より50万円以上高い年収を提示することもありました。
在宅医療のスキルを身につけるための第一歩として、まずは自社で在宅に参入している店舗への異動希望を出しましょう。会社が在宅をやっていない場合は、転職エージェントを通じて在宅に強い薬局の求人を探すことをお勧めします。
戦略2:マネジメント経験を積む
M&A後に残るポストは限られています。特に重要なのが「マネジメント経験」です。
管理薬剤師の経験、新人教育の実績、シフト管理の経験。これらは履歴書に書ける「武器」になります。たとえ肩書きがなくても、「後輩3名の指導を担当し、全員が半年以内に独り立ちした」という実績があれば、それは十分なマネジメント経験です。
私がこの業界を見てきた限り、統合後に昇進するのは「人を動かせる人」です。調剤スキルだけでは、どれほど優秀でも「現場の一員」として扱われます。一方、チームをまとめる力がある人材は、統合後も重要なポジションを任されるのです。

戦略3:「調剤」と「OTC」の両方のスキルを持つ
ドラッグストアと調剤薬局の境界が消えつつある今、「どちらもできる」薬剤師の価値は急上昇しています。
調剤薬局で働いている方は、OTC医薬品の知識を積極的に学んでください。セルフメディケーション税制の普及により、OTC販売における薬剤師の役割は今後ますます重要になります。
逆に、ドラッグストアのOTC部門で働いている方は、調剤併設店舗への異動を申し出ることをお勧めします。調剤経験の有無は、転職時の選択肢を大きく左右します。
「調剤もOTCも両方できます」と言える薬剤師は、どの企業からも引く手あまたです。

戦略4:デジタル対応力を高める
統合後の企業が共通して求めるのが「DX対応力」です。電子薬歴システムの操作、オンライン服薬指導、電子処方箋への対応。これらへの適応が遅い薬剤師は、統合後に苦労することになります。
他社事例として私が目撃した例があります。ある大手調剤薬局の統合後の現場で、50代のベテラン薬剤師が新システムへの移行についていけず、結局早期退職を選択しました。一方で、同年代でもITに積極的だった薬剤師は、若手への指導役として重宝されていました。
年齢は関係ありません。大切なのは「学ぶ姿勢」です。

戦略5:転職市場での自分の価値を把握する
ここが最も重要なポイントです。再編時代を生き抜くためには、「いつでも転職できる状態」を維持しておく必要があります。
転職エージェントへの登録は、転職を決意してからでは遅いのです。私が人事部長時代に見てきた「うまくいく薬剤師」は、常に市場価値をチェックしていました。エージェントとの定期的な面談を通じて、自分の年収が適正かどうか、どんなスキルが評価されるのかを把握していたのです。
私が人事部長時代、20社以上のエージェントとやり取りする中で、「こちらの足元を見て買い叩こうとする会社」と「薬剤師のキャリアを本気で守ろうとする会社」の差を痛感しました。「どこに登録しても同じ」ではありません。
担当者の交渉力ひとつで、あなたの年収は平気で100万円変わります。
私が採用側の裏側を見て「ここなら私の部下にも勧められる」と確信したエージェントだけを、以下に厳選しました。
人事の現場から率直にお伝えします。もしあなたが「理想の環境」での4月入職を目指すなら、1月に動き出すことには大きな戦略的メリットがあります。
2月・3月は転職市場が最大級に盛り上がり、求人数もピークを迎えますが、同時に「ライバルの数」も爆発的に増える時期です。人事責任者として多くの採用を見てきた経験から言えば、「高年収で、かつ残業が極めて少ない」といった希少な優良枠ほど、比較検討の時間が取れるこの1月のうちに、賢明な薬剤師の方々によって内定が埋まり始めるのが実情です。
混戦となる2月以降にスピード勝負を挑むのも一つの手ですが、今のうちなら、より多くの選択肢の中からじっくりと「自分に合う職場」を見極めることができます。
ただし、焦って「広告費の規模」だけでエージェントを選ばないでください。 私は人事の立場から20社以上の紹介会社と向き合ってきましたが、中には自社の利益を優先し、現場のネガティブな情報を伏せる担当者も少なくありませんでした。
その中で、「現場の離職率や人間関係まで正直に明かし、求職者のキャリアに誠実に向き合ってくれる」と確信できたエージェントは、本当にごく一部です。
納得のいく環境で最高のスタートを4月に迎えるために。私が人事の裏側から見て「ここなら信頼できる」と認定したエージェントと、その賢い活用術をまとめました。一歩先んじて準備を整えたい方は、ぜひ参考にしてください。
あなたの薬剤師としてのキャリアが、より良い方向に進むことを心から願っています。
M&A発表後、すぐにやるべき3つのこと
やるべきこと1:自社の経営状況を冷静に分析する
あなたの会社がM&Aのターゲットになる可能性はどの程度あるでしょうか。以下のサインがあれば、要注意です。
- 社長や経営陣が60代以上で後継者が不明確
- 近年、新規出店がほとんどない
- 処方箋枚数が減少傾向にある
- 競合店の出店が相次いでいる
- 「経営会議」の頻度が増えた
これらのサインが複数当てはまる場合、M&Aは「起こるかどうか」ではなく「いつ起こるか」の問題です。

やるべきこと2:自分のスキルを棚卸しする
統合後の人事面談で必ず聞かれるのが「あなたの強みは何ですか」という質問です。この質問に即座に答えられない薬剤師は、評価面談で苦労します。
今すぐ、以下の項目を書き出してください。
- 在宅医療の経験(訪問件数、担当患者数)
- マネジメント経験(部下の人数、教育実績)
- 専門資格(認定薬剤師、専門薬剤師など)
- 得意な処方領域(がん、糖尿病、精神科など)
- デジタルスキル(使えるシステム、導入経験)
これらを整理しておけば、統合後の面談でも、転職活動でも、自信を持って自己PRができます。

やるべきこと3:「逃げ道」を確保しておく
最悪のシナリオを想定し、「逃げ道」を用意しておくことは、決して後ろ向きな行動ではありません。むしろ、プロフェッショナルとして当然の備えです。
転職エージェントへの登録は、今の会社に知られることはありません。情報収集として、定期的に求人市場をチェックしておくことをお勧めします。
エージェントに任せれば、あなたは「エージェントが勝手に交渉してくれた」というスタンスを取れます。企業側も「エージェントの要求だから仕方ない」と受け止めやすいのです。実際に私が人事の裏側を見て「ここは信頼できる」と判断したエージェントだけを厳選しました。

再編時代に「選ばれる薬剤師」になるために
ドラッグストア業界の再編は、これからさらに加速します。ウエルシア×ツルハの統合は始まりに過ぎず、マツキヨココカラ&カンパニーも2031年に向けたM&A戦略を公表しています。
この激動の時代を「脅威」と捉えるか、「チャンス」と捉えるか。それはあなた次第です。
私が人事部長として10年間見てきた中で、最終的に勝ち残るのは「変化を恐れない薬剤師」でした。新しいスキルを学び、市場価値を高め、いつでも動ける準備をしている人は、どんな再編が起きても生き残ります。
今の環境で悩み続けたあなたを、誰も責めることはできません。しかし、この記事を読んだ今日から、あなたは動き出すことができます。
あなたの市場価値は、あなたが思っているよりずっと高いかもしれません。まずは転職エージェントに相談して、自分の価値を客観的に把握することから始めてください。
採用裏話を含む、本当に信頼できるエージェントの選び方についてはこちらの記事をご覧ください。


