薬剤師の転職活動は職場にバレる?在職中に知られにくく進める7つの対策

この記事でわかること
  • 在職中の転職活動が職場に知られる主なきっかけ
  • スマホ・メール・職場設備を使うときの注意点
  • 面接で有給休暇を使うときの考え方
  • 転職エージェントを利用するときに最初に伝えること
  • 内定後に退職を伝えるまでに確認したいこと

在職中に転職活動を始めたいものの、今の職場にはまだ知られたくない。そう考える薬剤師は珍しくありません。

私も調剤薬局チェーンで採用責任者を務めていたとき、現在の勤務先に知られないよう面接日程や連絡方法への配慮を希望する応募者と数多く接してきました。

一方で、転職活動を職場に知られないことを100%保証する方法はありません。同僚との会話、スマートフォンの通知、会社の設備利用、面接による勤務予定の変化など、さまざまなところから推測される可能性があるからです。

大切なのは、転職活動を必要以上に秘密工作のように考えることではありません。私的な転職活動と現在の仕事を明確に分け、職場の端末・設備・アカウントを使わず、連絡方法を自分で管理することです。

この記事では、在職中の転職活動をできるだけ職場に知られにくく進めるための現実的な方法を整理します。

目次

薬剤師の転職活動が職場に知られる主なきっかけ

転職活動をしていることが職場に伝わる経路は、一つではありません。

採用・人事の実務を経験してきた立場から見ると、特に注意したいのは次のような場面です。

きっかけ 起こり得ること 基本的な対策
同僚への相談 別の同僚や上司へ話が広がる 公開してよい段階になるまで職場では話さない
スマホの通知 メール・求人アプリ・着信表示を見られる 通知内容を非表示にする
会社の端末・設備 履歴や印刷物などから知られる 私物端末と自宅・私用設備を使う
勤務予定の変化 面接のための休暇が重なり推測される オンライン面接や日程調整も活用する
服装の変化 面接日のスーツなどから推測される 必要なら勤務後に着替える
SNS 転職を示唆する投稿を同僚に見られる 公開範囲と投稿内容を確認する

どれか一つを徹底すれば十分という話ではありません。職場と転職活動を切り分けることが基本です。

対策1|職場のパソコン・プリンター・メールを使わない

最も分かりやすい対策は、勤務先が管理する設備を転職活動に使わないことです。

  • 職場のパソコンで求人を検索しない
  • 職場のプリンターで履歴書や職務経歴書を印刷しない
  • 会社のメールアドレスで応募しない
  • 会社が貸与しているスマートフォンで転職会社と連絡しない
  • 応募先の連絡先として勤務先の電話番号を記載しない

これは情報漏えい対策だけではありません。会社設備の私的利用が就業規則や情報セキュリティ規程に抵触する可能性を避ける意味でも重要です。

履歴書や職務経歴書は自宅で作成し、必要なら自宅やコンビニ等で印刷します。応募には自分のメールアドレスと携帯電話番号を使いましょう。

対策2|スマートフォンの通知とアカウントを整理する

私物スマートフォンを使っていても、画面に転職関連の通知が表示されれば、近くにいる人の目に入る可能性があります。

転職活動を始めたら、少なくとも次の設定を確認しておくと安心です。

  • ロック画面ではメール本文を表示しない
  • 求人アプリの通知内容を非表示にする
  • 転職用メールアドレスを分ける
  • 端末には画面ロックを設定する
  • 職場では求人検索や応募作業をしない

勤務先が管理するネットワークや端末では、組織のセキュリティ設定によってアクセス記録等が管理されている場合があります。どこまで記録されるかは環境によって異なるため、会社のWi-Fiなら必ず閲覧内容がすべて分かる、と一律に考える必要はありません。

重要なのは、転職活動そのものを職場のIT環境から切り離すことです。自宅など勤務外の環境で、自分の端末を使って進めるのがシンプルです。

対策3|職場の同僚には公開する時期を自分で決める

転職を迷っている段階で、仲の良い同僚へ相談したくなることがあります。

ただ、一度人に伝えた情報を完全に管理することはできません。本人に悪意がなくても、会話の流れから別の人へ伝わることがあります。

現在の勤務先にまだ知られたくないのであれば、少なくとも職場内では、転職活動を公表する相手を慎重に考える方がよいでしょう。

これは同僚を信用しないという意味ではありません。退職するかどうかも決まっていない段階では、情報を広げない方が自分で選択肢を管理しやすいということです。

SNSも同様です。勤務先の人とつながっているアカウントで、具体的な求人、面接、転職先候補などを投稿する場合は、誰まで閲覧できるのかを確認しておきましょう。

対策4|面接に有給休暇を使うなら、虚偽の理由を作る必要はない

在職中の転職活動では、面接日程の調整が悩みになりやすいところです。

厚生労働省は、年次有給休暇について、原則として利用目的を問わず取得できると説明しています。また、労働者が指定した時季に取得するのが原則で、事業の正常な運営を妨げる場合には使用者に時季変更権があります。

参考:厚生労働省「労働条件・職場環境に関するルール」

したがって、転職活動のために有給休暇を取得すること自体を問題視する必要はありません。

一方で、薬局は人数配置によって業務が回っているため、勤務先の休暇申請手続きやシフト調整のルールは守る必要があります。

以前の記事では、通院や家族の用事など具体的な理由を作る方法を勧めていましたが、その必要はありません。勤務先の申請方法に従い、私用として申請できるのであれば、必要以上に具体的な虚偽の事情を作らない方が自然です。

面接先にも在職中であることを伝える

応募先には、在職中で勤務時間内の面接が難しいことを伝えて構いません。

私が採用側にいたときも、在職中の応募者については勤務との両立を考えながら日程を調整していました。ただし、平日夜・土曜日・オンライン面接に対応できるかどうかは企業ごとに異なります。

最初から19時以降や土曜日が当然と考えるのではなく、対応可能な時間帯を提示して相談してください。

オンライン面接に対応している会社であれば、有給休暇を使わず調整できる場合もあります。

対策5|転職エージェントを使う場合は連絡ルールを最初に決める

転職活動は、自分で企業の採用ページから応募しても、求人サイトを使っても、転職エージェントを使っても進められます。

職場に知られたくないという理由だけで、転職エージェントを必ず利用する必要はありません。

ただし、エージェントを利用すると、求人企業との面接日程調整などを担当者に依頼できるため、在職中のスケジュール管理がしやすくなる場合があります。

利用する場合は、登録後の最初の面談で次の点を明確に伝えておくことをおすすめします。

  • 現在も在職中であること
  • 現職には転職活動を知られたくないこと
  • 希望する連絡手段
  • 電話を受けられる時間帯
  • 応募前に求人企業名と求人内容を確認したいこと

たとえば、担当者には次のように具体的に伝えます。

「現在の勤務先には転職活動を知らせていません。連絡は原則メールで、電話が必要な場合は平日18時以降にお願いします。求人企業への応募は、私が内容を確認してから進めてください。」

職業安定法では、職業紹介事業者などが求職者の個人情報を取り扱う際、業務の目的を明らかにしたうえで、目的達成に必要な範囲で収集・保管・使用することが求められています。

参考:厚生労働省「職業安定法」第5条の5

ただし、制度があるから情報管理上のトラブルが絶対に起きないと保証されるわけではありません。利用するサービスのプライバシーポリシーも確認し、連絡方法や応募手順について自分の希望を担当者と共有してください。

関連記事:薬剤師転職エージェントおすすめ3社比較|元人事部長が採用側の実体験で解説

対策6|面接の服装や応募書類は勤務時間と切り分ける

普段と異なる服装で出勤すると、周囲が変化に気づくことはあります。

勤務後に対面面接がある場合には、勤務先とは別の場所で着替える方法もあります。反対に、普段からスーツ勤務であれば特別な対策は必要ありません。

履歴書や職務経歴書も勤務時間中に作成する必要はありません。現在はオンライン応募が一般的なので、自宅で作成・送信できます。

応募書類には私用のメールアドレスと携帯電話番号を使用し、勤務先の電話番号やメールアドレスを連絡先として使わないようにします。

対策7|退職を伝える前に転職先の条件を書面で確認する

転職活動を職場に知られないことばかり考えていると、退職を伝えるタイミングで慌てることがあります。

転職先が決まった場合は、口頭の説明だけで退職手続きへ進むのではなく、勤務場所、業務内容、賃金、勤務時間、休日、契約期間などの重要な労働条件を確認してから判断することが重要です。

労働基準法15条では、使用者は労働契約を締結するときに賃金・労働時間その他の労働条件を明示する必要があり、一定の重要事項については書面等での明示が必要です。

参考:厚生労働省「採用時の労働条件の明示」

内定通知、労働条件通知書、雇用契約書など、企業によって書類の名称や提示のタイミングは異なります。少なくとも、重要な条件を口頭説明だけで判断しないことが大切です。

条件を確認し、自分がその会社へ入社すると決めた後に、現職の退職手続きを進めます。

転職活動が職場に知られても、直ちに退職しなければならないわけではない

対策をしていても、同僚や上司から転職活動について聞かれる可能性はあります。

その場合でも、慌てて退職を申し出る必要はありません。

まだ転職するか決めていないのであれば、現在の働き方や今後のキャリアを検討している段階であることを、必要な範囲で伝えるという選択肢もあります。

また、転職活動をしたこと自体と、年次有給休暇を取得する権利は別の問題です。厚生労働省は、年次有給休暇を取得した労働者に対し、賃金の減額その他の不利益な取扱いをしないよう求めています。

もし転職活動を理由に不当な扱いを受けたと感じた場合には、会社の人事・相談窓口のほか、都道府県労働局などの公的な労働相談窓口を利用する方法があります。

退職を伝えた後は、引き止めと引き継ぎを分けて考える

退職意思を伝えた後に、会社から残留を打診されることはあります。

そのときは相手を論破する必要はありません。

退職する意思が固まっているのであれば、結論を簡潔に伝え、その後は退職日と引き継ぎについて具体的に話し合う方が実務的です。

「ご配慮ありがとうございます。ただ、転職する意思は決めています。退職日と引き継ぎについて相談させてください。」

期間の定めのない雇用契約について、民法では原則として退職の申入れから2週間で雇用契約が終了するとされています。ただし就業規則の退職手続きや、雇用契約が有期か無期かなどによって確認事項は異なります。

参考:大阪労働局「よくあるご質問(退職・解雇・雇止め)」

円満退職を目指す場合には、法律上の最短期間だけで判断するのではなく、就業規則と転職先の入社日を確認し、可能な範囲で引き継ぎ期間を確保することをおすすめします。

関連記事:薬剤師の退職引き止めへの対応

関連記事:薬剤師の退職理由と円満退職の伝え方

在職中の転職活動チェックリスト

転職活動を始める前に、次の項目を確認しておきましょう。

  • 職場のパソコン・メール・プリンターを転職活動に使わない
  • 応募には私用メールアドレスと携帯電話番号を使う
  • スマートフォンの通知内容をロック画面に表示しない
  • 職場で求人検索や応募作業をしない
  • SNSの公開範囲を確認する
  • 面接先へ在職中であることを伝えて日程を相談する
  • 有給休暇は勤務先の申請ルールに従って取得する
  • 転職エージェントを使う場合は連絡方法と応募手順を決める
  • 退職を伝える前に転職先の重要な労働条件を確認する
  • 退職後の引き継ぎまで含めてスケジュールを組む

職場に知られないことより、転職活動を自分で管理できる状態を作る

在職中の転職活動では、職場に知られないようにしたいと考えるのは自然なことです。

ただし、誰にも絶対に知られない状態を目指して神経質になる必要はありません。

重要なのは、現在の仕事と転職活動を明確に分けることです。

職場の設備を使わない。自分の連絡先を使う。面接先と日程を相談する。必要なら転職エージェントにも連絡ルールを指定する。そして、転職するかどうかは労働条件を確認してから判断する。

ここまで整理できていれば、在職中でも転職活動を進めやすくなります。

転職活動を始めた結果、現在の職場に残ると判断しても問題ありません。求人を見ることや面接を受けることは、退職を決定することと同じではありません。

自分のキャリアを比較検討するための選択肢として、必要な範囲から始めてください。

在職中にエージェントも使うなら

FAQ

在職中に転職活動をしても問題ありませんか?

在職中に求人を調べたり応募したりすること自体を避ける必要はありません。ただし、勤務時間中に会社の設備を私的な転職活動へ使うことなどは、勤務先の就業規則や情報セキュリティ規程との関係で問題になる場合があります。転職活動は勤務時間外に私物端末で進めるのが基本です。

面接のために有給休暇を取るとき、転職活動だと伝える必要がありますか?

年次有給休暇は原則として利用目的を問わず取得できます。勤務先の申請ルールには従う必要がありますが、転職活動だから取得できないという制度ではありません。必要以上に虚偽の具体的事情を作ることは避け、勤務先の手続きに沿って申請してください。

転職エージェントを使えば職場に知られませんか?

利用しただけで職場に知られないことが保証されるわけではありません。利用する場合は、現職には転職活動を知らせていないこと、希望する連絡手段と時間帯、応募前に確認したいことを担当者へ伝えましょう。プライバシーポリシーも確認してください。

内定が出たらすぐ退職を伝えるべきですか?

口頭で内定を聞いただけで急いで退職する必要はありません。賃金、勤務場所、勤務時間、休日、業務内容など、自分にとって重要な労働条件を確認し、実際に入社する意思が固まってから現職の退職手続きへ進む方が安全です。

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