2026年調剤報酬改定|調剤管理料10点・60点への再編と影響額の計算方法

この記事で確認できること
  • 2026年度改定で調剤管理料がどう変わったか
  • 14日処方では1処方箋あたりどの程度影響するか
  • 8~27日処方が多い薬局で何を確認すべきか
  • 1剤・2剤・3剤で影響額がどの程度変わるか
  • 自局の処方データから月間影響額を計算する方法
  • 2026年5月29日の疑義解釈で追加された取扱い

2026年度の調剤報酬改定では、内服薬に係る調剤管理料が大きく見直されました。改定前は処方日数に応じた4区分でしたが、改定後は28日分以上が60点、27日分以下が10点という2区分です。

この変更で14日処方は、1剤あたり28点から10点へ18点下がります。特に、14日処方を多く扱う薬局では影響を確認しておく必要があります。

一方で、制度上さらに点数差が大きいのは15~27日処方です。ここは1剤あたり50点から10点へ40点下がります。そのため、14日処方だけを見るのではなく、8~27日処方の構成比と算定剤数を確認することが正確な影響把握につながります。

また、調剤管理料の点数が下がったからといって、薬局全体の売上や利益、そこで働く薬剤師の給与が同じ割合で下がるわけではありません。2026年度改定では調剤基本料や在宅関連評価、調剤ベースアップ評価料など、ほかの項目も同時に見直されています。

この記事では、厚生労働省の2026年度調剤報酬点数表と改定資料を基に、調剤管理料だけを切り出して影響を計算します。

目次

結論|14日処方は重要だが、8~27日処方と剤数まで確認する

今回の改定で押さえておきたいポイントは次の3つです。

  • 14日処方:1剤28点から10点となり、18点減
  • 15~27日処方:1剤50点から10点となり、40点減
  • 28日処方:1剤50点から60点となり、10点増

14日処方は薬局実務で目にする機会が多く、特に在宅業務では影響を実感しやすいケースがあります。ただし、制度上の影響額を計算するときは14日処方だけでなく、8~27日処方全体を集計します。

調剤薬局の実務・経営分析に携わった経験から

私が調剤薬局の実務や店舗収支の分析に関わった範囲では、施設在宅などで14日処方を多く扱うケースは珍しくありませんでした。医師の訪問スケジュール等と処方日数が連動しているケースでは、14日ごとの処方が継続することもあります。

そのため、在宅を多く扱う薬局では14日処方の影響を優先して確認する実務的な意味があります。ただし、これは私が関わった範囲での経験談です。全国の在宅処方が一律に14日中心であるとする公的統計ではありません。

経営影響を試算するときは、診療科や在宅というラベルから推定するのではなく、実際の処方データから日数帯と剤数を確認する方法が確実です。

2026年度の調剤管理料は4区分から2区分へ再編

厚生労働省の2026年度調剤報酬点数表では、内服薬の調剤管理料は1剤につき、長期処方である28日分以上が60点、それ以外が10点とされています。

厚生労働省|令和8年度 調剤報酬点数表

処方日数2024年度2026年度1剤あたり差
7日分以下4点10点+6点
8~14日分28点10点-18点
15~27日分50点10点-40点
28日分50点60点+10点
29日分以上60点60点0点

2024年度では15~28日分が同じ50点でした。2026年度では28日分だけが長期処方の60点に入るため、27日分と28日分で50点の差が生じる構造になっています。

なお、調剤管理料は単に処方日数だけで算定するものではありません。患者や家族等から服薬状況等を収集し、必要な薬学的分析を行い、薬剤服用歴への記録その他の管理を行った場合に算定する薬学管理料です。

14日処方では1剤18点、3剤なら54点の差

14日処方は2024年度の28点から2026年度の10点となるため、1剤あたり18点のマイナスです。

1点を10円として診療報酬上の金額へ換算すると、次のようになります。

算定剤数点数差1処方箋あたりの金額差
1剤-18点-180円
2剤-36点-360円
3剤-54点-540円

調剤管理料では、服用時点が同一である内服薬は投与日数にかかわらず1剤として扱い、4剤分以上の部分は算定しません。したがって影響額を計算するときも、薬の品目数ではなく調剤管理料上の剤数で確認する必要があります。

たとえば内服薬が6種類処方されていても、それが3つの服用時点に整理されるとは限らず、単純に6剤として計算することはできません。レセコン等で実際の算定状況を確認するのが安全です。

15~27日処方では1剤40点の差になる

制度上、最も点数差が大きいのは15~27日処方です。2024年度は50点、2026年度は10点なので、1剤あたり40点下がります。

算定剤数点数差1処方箋あたりの金額差
1剤-40点-400円
2剤-80点-800円
3剤-120点-1,200円

したがって、14日処方の件数が多い薬局では14日処方を優先して見る実務的な意味がありますが、経営影響を網羅的に確認するなら15~27日処方も必ず集計します。

7日以下と28日処方は増点、29日以上は据え置き

今回の見直しを短期処方はすべて減点と理解すると誤りです。

  • 7日分以下:4点 → 10点で6点増
  • 28日分:50点 → 60点で10点増
  • 29日分以上:60点 → 60点で変更なし

薬局単位の影響を把握するときは、減点となる8~27日処方だけでなく、7日以下や28日処方による増点も合わせて計算します。

自局の調剤管理料への影響額を計算する方法

自局の影響を確認するには、診療科名や薬局タイプから推測するより、レセコン等から処方日数帯と算定剤数を集計する方法が確実です。

基本式は次のとおりです。

月間件数 × 平均算定剤数 × 1剤あたり点数差 × 10円

実務では次の表を埋めると、自局の調剤管理料部分だけの影響を概算できます。

処方日数月間件数平均算定剤数1剤差月間影響額
7日以下入力入力+6点件数×剤数×6×10円
8~14日入力入力-18点件数×剤数×-18×10円
15~27日入力入力-40点件数×剤数×-40×10円
28日入力入力+10点件数×剤数×10×10円
29日以上入力入力0点0円

最後に各日数帯の金額を合計します。この結果が、2024年度と2026年度を比べた調剤管理料部分の差額です。

薬局全体の増減を出すには、調剤基本料、各種加算、在宅関連評価、調剤ベースアップ評価料、患者構成、薬剤料、費用構造等を別途含める必要があります。

在宅で14日処方が多いケースを試算する

在宅業務では14日処方を多く扱うケースがあります。ここでは、影響を理解するために仮想条件を置いて計算します。

  • 施設入居者:60人
  • 全員14日処方
  • 月2回処方
  • 平均算定剤数:3剤

この条件では、1回あたりの差は3剤×18点=54点です。

60人 × 月2回 × 54点 × 10円 = 月64,800円

同じ条件の施設を5施設担当していると仮定すれば、月324,000円、年間3,888,000円の差になります。

これは薬局全体の年間減収額ではありません。14日処方をすべて3剤で算定したという仮定のもと、調剤管理料部分だけを比較したシミュレーションです。実際の影響は患者ごとの剤数、処方日数、残薬調整、その他の報酬項目によって変わります。

在宅だから減るのではなく、実際の日数帯と剤数を見る

在宅薬局、門前薬局、医療モール、小児科門前など、薬局のタイプだけで今回の改定影響を決めることはできません。

在宅を多く扱う薬局でも28日以上の処方が多ければ調剤管理料の影響は異なります。外来中心でも15~27日処方が多ければ、調剤管理料部分のマイナスが大きくなることがあります。

確認するべきなのは次の3点です。

  • 8~14日処方の件数と算定剤数
  • 15~27日処方の件数と算定剤数
  • 7日以下・28日・29日以上を含めた全体構成

14日処方の件数が多いことが分かっている薬局では、まず14日処方を切り出して試算し、その後に他の日数帯を追加すると影響を把握しやすくなります。

2026年5月29日の疑義解釈|元の処方が28日以上なら60点となるケース

施行前の記事だけを読んでいると見落としやすいのが、2026年5月29日に示された疑義解釈です。

厚生労働省は、元の処方が28日分以上で、減数調剤によって実際に調剤する内服薬の投与日数が27日分以下となった場合でも、調剤管理料1のイ、つまり長期処方の60点を算定すると示しました。

厚生労働省|疑義解釈資料の送付について その7・2026年5月29日

たとえば、処方箋上は28日分以上であっても、患者の残薬を確認し、処方医の指示や照会結果に基づいて減数調剤した結果、実際の調剤日数が27日以下になることがあります。このケースを実際の調剤日数だけで10点と処理すると誤りになります。

2026年8月時点で実務運用する場合は、2月の答申資料だけでなく、その後の疑義解釈まで確認する必要があります。

調剤管理料の減少だけで薬局全体の減収とは判断できない

ここは非常に重要です。

調剤管理料が下がる処方が多い薬局でも、薬局全体の診療報酬が同じだけ下がるとは限りません。

2026年度改定では、たとえば調剤基本料1が45点から47点へ引き上げられています。また、一定の施設基準を満たす薬局では、職員の賃金改善を目的とする調剤ベースアップ評価料4点が新設されています。在宅薬学総合体制加算についても見直しがあります。

厚生労働省|令和8年度診療報酬改定の概要 調剤

したがって、経営判断では次のように分けて考えます。

確認対象意味
調剤管理料の差額この記事の計算対象
調剤報酬全体の差額基本料・加算等を含めて計算
薬局の売上・粗利益薬剤料等も含む実際の収益構造
営業利益・資金繰り人件費、家賃、システム費等の費用も反映
薬剤師個人の給与会社の賃金制度・人員計画等で決定

調剤管理料の点数差と薬剤師個人の年収を直接結びつけないことが重要です。

勤務先の給与や人員体制への影響も別に判断する

旧制度と比べて調剤管理料部分が下がる薬局では、経営者や本部が収益構造を見直すことは考えられます。しかし、それだけを理由に昇給停止、賞与削減、人員削減が起こると断定することはできません。

勤務先の状況が気になる場合は、制度から給与を推測するのではなく、実際の情報を確認します。

  • 直近の採用・退職状況
  • 店舗の人員配置
  • 賞与・昇給制度
  • 会社が説明している2026年度改定への対応
  • 在宅等の新規事業を含む事業方針

転職を考えている場合でも、調剤管理料の改定だけで勤務先を評価するのではなく、求人条件や人員体制、配属、労働条件を別に確認してください。

関連記事:ブラック薬局の見分け方|求人票・面接・職場見学で確認する9項目を元人事部長が解説

2026年度改定全体を確認するときは調剤管理料だけで判断しない

この記事では調剤管理料に限定して解説しています。2026年度改定全体では、調剤基本料、地域支援・医薬品供給対応体制加算、在宅関連、服薬管理指導料、残薬調整、賃上げ対応など複数の項目が同時に動いています。

勤務先への影響を総合的に確認するときは、それぞれを別々に試算したうえで合算する必要があります。

2026年度改定をもう一段深く確認する

保存用|調剤管理料の影響確認チェックリスト

  • 2026年6月以降の点数表で確認している
  • 処方日数を7日以下・8~14日・15~27日・28日・29日以上に分けた
  • 14日処方を多く扱う場合は件数を別集計した
  • 薬品数ではなく調剤管理料上の剤数を確認した
  • 増点となる7日以下・28日処方も集計した
  • 残薬調整で27日以下になったケースの元処方日数を確認した
  • 計算結果を薬局全体の減収額と混同していない
  • 薬剤師個人の給与への影響と直接結びつけていない

一次資料

FAQ

2026年度改定で14日処方の調剤管理料は何点になりましたか?

内服薬の14日処方は、2024年度の1剤28点から2026年度は1剤10点になりました。1剤あたり18点減です。2剤なら36点、3剤なら54点の差になります。

15~27日処方は14日処方より影響が大きいのですか?

点数差だけを比べると大きくなります。15~27日処方は50点から10点となるため、1剤あたり40点減です。ただし実際の薬局への影響は、その日数帯の処方件数と算定剤数によって決まります。14日処方の件数が非常に多い薬局では、14日処方による影響額の方が大きくなることもあります。

在宅を多く扱う薬局は今回の改定で必ず減収しますか?

必ず減収するとはいえません。在宅でも処方日数や剤数は薬局・患者によって異なります。また2026年度改定では在宅関連の評価も見直されています。まず自局の8~27日処方の件数と剤数を確認し、調剤管理料部分を計算したうえで、ほかの改定項目も含めて総合的に判断します。

28日処方を残薬調整して27日以下にした場合は10点ですか?

元の処方が28日分以上で、減数調剤によって実際に調剤する内服薬の投与日数が27日分以下となった場合は、2026年5月29日の疑義解釈により調剤管理料1のイ、つまり60点を算定すると示されています。元の処方日数と減数調剤の経緯を確認してください。

調剤管理料が下がると薬剤師の給料も下がりますか?

調剤管理料の点数差だけから個人の給与は判断できません。薬局全体では調剤基本料、各種加算、在宅関連評価なども変わり、給与は会社の賃金制度や人員計画によって決まります。診療報酬上の点数差と個人年収は分けて考える必要があります。

自局の影響額を最も簡単に確認する方法は?

レセコン等から処方日数帯ごとの件数と平均算定剤数を集計し、月間件数×平均算定剤数×1剤あたり点数差×10円で計算します。14日処方を多く扱う場合は、まず14日処方だけを切り出して試算すると影響を把握しやすくなります。

まとめ|14日処方を入口に、自局の8~27日処方を確認する

2026年度改定で、内服薬の調剤管理料は28日分以上60点、27日分以下10点の2区分になりました。

14日処方は1剤あたり18点減です。在宅等で14日処方の件数が多い薬局では、まず14日処方を切り出して影響を試算する価値があります。

ただし、制度上の最大の点数差は15~27日処方で生じます。正確な影響把握には、14日処方だけでなく8~27日処方全体の件数と算定剤数を確認することが必要です。

そして最も重要なのは、計算した数字を調剤管理料部分の差額として扱うことです。調剤報酬全体、薬局利益、薬剤師個人の給与はそれぞれ別の段階で確認します。

制度上の点数差を正確に計算し、その数字が何を意味し、何を意味しないのかまで分けて考える。これが2026年度改定を勤務先やキャリアの判断材料として使うための基本です。

  • URLをコピーしました!
目次