薬剤師の評価面談で昇給を相談するには?給与制度・実績の整理と聞き方を元人事部長が解説

評価面談で昇給を相談するときの結論
  • 最初に自社の給与・評価制度を確認する
  • 今回の面談で何が決まり、何が後日決まるのかを確認する
  • 実績は自社の評価項目に沿って整理し、数字だけにこだわらない
  • 評価結果・給与への反映・次の等級条件・見直し時期を分けて聞く
  • 昇給できなかった場合も、まず理由と次回条件を確認する

評価面談が近づくと、今年は昇給できるのか、どのように話せばよいのかと迷うことがあります。

しかし、評価面談で重要なのは、上司を説得する話法を覚えることではありません。

会社によって、基本給の決め方、評価項目、等級制度、昇給時期、賞与への反映方法、給与を最終決定する人は異なります。

私は調剤薬局チェーンで人事を担当し、評価制度や給与に関する面談・相談にも関わってきました。その経験から感じるのは、評価面談で話しやすいのは自己アピールが強い人ではなく、会社が何を評価する制度なのかを理解し、今回の評価結果と次の条件を確認できる人だということです。

この記事では、現在の職場で働き続けながら昇給について相談したい薬剤師に向けて、面談前の制度確認、実績整理、評価結果の聞き方、給与への反映、昇給できない場合の確認方法まで整理します。

目次

結論|昇給を希望するなら、交渉前に自社の評価・給与制度を確認する

評価面談で昇給について話したい場合、最初に確認するのは自分の市場価値でも、薬剤師の平均年収でもありません。

確認したいのは、自社では何をもとに給与が決まり、今回の評価が給与のどこへ反映されるのかです。

厚生労働省も、基本給の決め方には年齢給・職能給・職務給・業績給など複数の考え方があり、全国共通の一つの賃金決定方式が法律で定められているわけではないと説明しています。

厚生労働省「確かめよう労働条件|基本給の決め方」

そのため、成果を数字にすれば必ず給料が上がる、希望額を言えば交渉できるという一律の方法はありません。

評価面談と給与決定は同じとは限らない

評価面談という名前でも、その場で給与額まで決まるとは限りません。

評価する人

直属上司、管理薬剤師、エリア責任者などが評価者になる場合があります。

一次評価・二次評価が分かれている会社もあります。

給与を決める人

評価者がそのまま基本給を決める会社もあれば、人事・経営会議・役員等が最終決定する会社もあります。

上司に昇給を相談しても、その上司に給与決裁権がないことは珍しくありません。

昇給を決める時期

評価面談と昇給改定日が同じ時期とは限りません。

面談で評価を確定し、数か月後の給与改定へ反映する会社もあります。

そのため面談冒頭で、今回の面談が評価確認の場なのか、昇給・昇格まで決める場なのかを確認すると整理しやすくなります。

「今回の評価面談の結果は、基本給・賞与・等級のどこへ反映されるのでしょうか。」

面談前に確認したい5つの社内情報

面談前に確認できる資料がある場合は、次の順で見ます。

確認するもの主に見る内容
1.就業規則賃金・昇給に関する基本事項
2.給与・賃金規程基本給、手当、昇給、給与改定等
3.等級・グレード現在の等級、次の等級、期待役割
4.評価制度評価項目、評価期間、評価ランク
5.過去の評価結果前回の評価・改善点・次回目標

すべての会社に独立した給与規程や等級表があるわけではありません。

資料が見当たらなければ、会社ではどの資料・制度をもとに評価・給与を決めているか確認します。

常時10人以上の労働者を使用する事業場では就業規則の作成が必要で、就業規則には賃金の決定・計算・支払方法等に加えて昇給に関する事項を記載する必要があります。また、就業規則は労働者へ周知する必要があります。

北海道労働局「就業規則の作成・変更・届出」

定期昇給・ベースアップ・昇格・手当の違いを分ける

給与が上がるという言葉には、複数の意味があります。

項目考え方
定期昇給会社の昇給制度に沿った個人賃金の上昇
ベースアップ賃金表・賃金水準自体の引上げ
昇格・等級変更上位グレードへ移ることによる処遇変更
役職手当管理薬剤師等の役割に対する手当
資格手当等会社規程で対象となる資格等への手当
賞与評価評価結果を賞与へ反映する仕組み

評価が上がったのに基本給が変わらない場合でも、賞与だけへ反映される制度や、次の等級へ上がるまで基本給が動かない制度も考えられます。

まず何が変わる制度なのかを確認してください。

薬剤師の昇給相場をそのまま使わない

薬剤師の定期昇給は何%が普通なのか、月何円上がれば妥当なのかを知りたくなることがあります。

しかし、薬剤師個人の評価面談で使える全国共通の昇給率はありません。

全国一律の昇給率はない

会社によって賃金表、等級、評価ランク、役割、昇給時期が違います。

同じ薬剤師でも、定期昇給がある会社、昇格時に大きく給与が変わる会社、賞与中心に評価を反映する会社などがあります。

2025年賃金引上げ調査は個人薬剤師の昇給相場ではない

厚生労働省の令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査では、企業の賃金改定、定期昇給、ベースアップ等を確認できます。

ただし、調査対象は一定規模以上の民営企業であり、薬剤師個人の評価面談における昇給相場を示す調査ではありません。

厚生労働省「令和7年賃金引上げ等の実態に関する調査」

自社の昇給制度を確認する方が、評価面談には直接役立ちます。

評価対象期間と役割変更を先に確認する

評価面談の準備では、何を評価してもらうかだけでなく、いつからいつまでの仕事が今回の評価対象なのかを確認します。

たとえば4月から3月までを評価する会社でも、昇格審査は別期間、賞与評価は半年ごとということがあります。

評価対象期間が曖昧なまま準備すると、対象外の仕事を中心に話してしまうことがあります。

期中に役割が増えた場合

評価期間の途中で、新人教育、在庫管理、在宅、シフト、管理薬剤師補佐等の役割が追加された場合は、その開始時期を整理します。

「評価期間の途中から新人教育を担当するようになりました。この役割は今回の評価対象に含まれていますか。」

期中に目標が変わった場合

会社方針・店舗状況の変化で、期首に設定した目標と実際の担当が変わることがあります。

その場合は、達成できなかった目標だけを見るのではなく、変更後に何を優先する合意だったのかを確認します。

面談時に初めて話すより、期中の1on1や中間面談で目標変更を記録しておく方が認識差を減らせます。

異動・休職・復職があった場合

評価期間中に店舗異動、部署異動、休職・復職等があった場合は、どの評価者がどの期間を見るのか確認します。

前部署で担当した仕事が現在の上司へ引き継がれていない可能性もあるため、会社の正式な評価記録をもとに確認します。

評価面談では会社の評価項目に沿って実績を整理する

実績を整理するときは、思いつく成果を並べるより、自社の評価シート・等級要件に沿って整理します。

たとえば会社が、

  • 患者対応
  • 医療安全
  • 業務遂行
  • 新人教育
  • 店舗運営
  • 目標達成

等を評価項目としているなら、その項目ごとに評価期間中の担当・変化を整理します。

会社が評価対象にしていない指標を独自に大量作成する必要はありません。

保存用|評価面談5項目準備シート

面談前に次の表をコピーして埋めてください。

項目記入すること
評価項目会社が正式に設定している項目
期待水準現在の等級・役割で求められること
実際の担当評価期間中に担当した仕事
根拠会社で確認できる記録・実績
確認事項上司へ聞きたいこと

評価項目ごとに1行ずつ作ると、自分の認識と会社の評価基準を対応させやすくなります。

実績はすべて数字にする必要はない

評価面談では数字があった方が説得力があると言われますが、すべての仕事を数値へ変換する必要はありません。

役割

新人教育、在庫管理、シフト調整、在宅、医療安全、管理薬剤師補佐など、正式に担当した役割を整理します。

責任範囲

入社時・前回評価時より、どこまで担当範囲が広がったかを確認します。

完了した仕事

マニュアル改定、研修、業務改善、在庫整理など、評価期間中に完了した仕事があれば整理します。

過去評価からの改善

前回面談で改善を求められた項目があれば、今回どのように対応したかを確認します。

確認できる数値

会社が正式に管理している件数、期間、達成率等が評価項目と関係するなら利用できます。

数字がないから実績がない、ということではありません。

保存用|数値がなくても整理できる評価材料

評価材料
担当役割新人教育を担当した
責任範囲在庫管理まで担当範囲が広がった
完了業務業務マニュアルの改定を完了した
継続業務新しい担当業務を一定期間安定して運用した
前回からの改善前回指摘された報連相の方法を修正した
数値会社が正式に確認できる場合のみ利用

数値を使う場合は会社で確認できるデータだけにする

数値を評価材料にする場合は、会社が正式に管理しているもの、または自分の業務記録として適切に確認できるものを使います。

患者情報を含む薬歴・調剤録等から、個人の給与交渉用に独自の資料を持ち出したり、私物端末へ保存したりすることは避けてください。

患者情報・個人情報の取扱いは勤務先の正式なルールに従います。

同僚ではなく評価基準と比較する

自分の評価を上げるために、同僚より件数が多い、同僚より残業が少ないと比較する必要はありません。

他の社員の給与・評価は本人には分からない場合もあります。

見るのは、現在の等級で求められる水準と、自分の担当・実績がどう対応しているかです。

評価ランクが給与へどうつながるかを確認する

A評価、B評価、5段階評価などのランクがあっても、そのランクと給与の関係は会社によって違います。

たとえば、評価ランクが基本給へ直接反映される会社もあれば、賞与係数だけが変わる会社、一定期間の評価を積み上げて昇格審査へ進む会社もあります。

確認したいこと質問例
評価ランクの意味今回の評価ランクは、どの水準を意味しますか
基本給への反映この評価は基本給の改定に反映されますか
賞与への反映賞与評価とは共通ですか、別ですか
昇格への反映次の等級へ進む条件に今回の評価はどう関係しますか
反映時期給与へ反映される場合はいつからですか

評価ランクが上がったのに給与が変わらない場合も、すぐに不当評価だと決めず、何へ反映される制度なのか確認してください。

評価面談で最初に確認したいのは評価結果と理由

面談が始まったら、すぐに希望額を伝えるのではなく、まず会社側の評価を確認します。

「今回の評価結果と、その評価になった主な理由を教えていただけますか。」

評価項目が複数ある場合は、どこが評価され、どこが次の課題になっているかを確認します。

これにより、自分が高く評価してほしいと思っていた項目と、会社が実際に評価した項目のずれを把握できます。

昇給について聞く5ステップ

1|評価結果を聞く

総合評価・項目別評価がある場合は結果を確認します。

2|評価理由を聞く

どの行動・実績が評価され、何が不足しているかを確認します。

3|自分の担当・実績を補足する

評価者が把握していない担当業務がある場合は、事実として補足します。

「評価期間中に新人教育と在庫管理を追加で担当していました。この役割は今回の評価項目ではどのように扱われますか。」

4|給与への反映を確認する

評価が基本給、賞与、等級、手当のどこへ反映されるかを確認します。

5|次回条件・時期を確認する

今回昇給しない場合も、次に何を満たせば見直し対象になるか、次回いつ確認するかを聞きます。

昇給だけでなく役割・等級・手当を分けて確認する

給与を上げたいという希望があっても、実際に見直してほしい項目が基本給とは限りません。

たとえば管理薬剤師等の役割を正式に担っているのに役職手当の扱いが分からない場合、基本給の増額交渉より、まず役職・手当の適用条件を確認する方が適切です。

また、上位等級の仕事を継続して担っていると感じる場合は、単に月額いくら上げてほしいと伝えるより、現在の役割がどの等級に当たるかを確認できます。

気になっていること最初に確認すること
基本給が低いと感じる現在の等級・賃金表・昇給条件
役割が増えた役割と等級・役職の関係
管理薬剤師になった役職手当・任命条件
評価は高いのに給与が変わらない評価の反映先と改定時期
賞与だけ変わった基本給評価と賞与評価が別制度か

昇給という一語でまとめず、どの給与項目・どの役割を確認したいのかを分けると、面談での質問が具体的になります。

評価面談で使える質問例

「今回の評価は、基本給・賞与・等級のどこへ反映されますか。」

「次の等級へ進むために、現在不足している項目を教えていただけますか。」

「今回追加で担当した業務は、現在の等級で期待される範囲でしょうか。それとも次の等級に近い役割でしょうか。」

「次回、給与を見直す時期はいつでしょうか。その際に確認される条件も教えていただけますか。」

「給与改定の最終決定は、どの段階で行われるのでしょうか。」

目的は上司を追い込むことではなく、制度と自分の処遇を確認することです。

上司に給与決裁権がない場合は誰が決めるか確認する

直属上司が自分を高く評価していても、その場で基本給を変更できないことがあります。

その場合は、次の確認へ進みます。

  • 評価結果は誰へ上がるのか
  • 給与改定を誰が決定するのか
  • 上司はどのような推薦・申請ができるのか
  • 給与改定結果はいつ通知されるのか

を確認します。

決裁権限を知らずに、上司が給料を上げてくれないと評価する必要はありません。

役割が増えているのに給与が変わらない場合は役割と処遇の関係を聞く

評価面談でよくある疑問の一つが、担当業務は増えたのに給与が変わっていないというものです。

この場合も、追加業務を何個こなしたかだけでなく、会社制度上その役割がどの等級・職位に対応するのかを確認します。

「現在は新人教育と在庫管理も担当しています。これらは現在の等級で期待される役割でしょうか。それとも次の等級・役職に相当する業務でしょうか。」

役割が増えたから必ず手当が付くとは限りません。

一方で、会社が上位等級の役割として定義している仕事を継続的に担当しているなら、昇格条件との関係を確認する材料になります。

役職手当がある場合も、業務を担当しただけで自動的に支給されるのか、正式任命が必要なのかは規程によって異なります。

昇給できないと言われたときの5確認項目

確認項目確認する内容
1.今回の評価結果評価ランク・項目別評価
2.昇給しない理由制度、等級、評価、時期、会社判断等
3.次に必要な条件役割、評価項目、等級要件
4.次回検討時期次の評価面談、給与改定時期
5.最終決定者誰が給与を決めるのか

昇給できない理由を聞くことは、上司へ反論する材料を探すことではありません。

次に何をすれば処遇が変わる可能性があるのか確認するためです。

制度が曖昧な会社では、まず決め方を質問する

中小規模の会社などでは、等級表・評価シートが細かく公開されていない場合もあります。

その場合に、制度がない会社だから交渉で押し切ると考える必要はありません。

まず次の順で確認します。

  1. 何をもとに評価しているか
  2. 昇給を判断する時期
  3. 基本給・手当を誰が決めるか
  4. 次の給与見直しに必要な役割・条件

「昇給について、会社ではどのような項目・時期で見直しを行っていますか。今後の目標設定のために確認させてください。」

制度の説明を受けても不明点が残る場合は、就業規則・賃金規程・人事担当等、会社が定める正式な確認先へ戻ります。

希望額を伝えるかは給与制度によって決める

賃金表・等級が明確な会社

等級ごとの給与レンジ・昇格条件が明確な会社では、希望額を直接伝えるより、次の等級要件を満たしているか確認する方が制度に合うことがあります。

「現在の担当範囲を踏まえると、次の等級の要件にどこまで達しているでしょうか。」

個別裁量がある会社

個別に基本給・手当を検討する仕組みがある場合は、希望を伝えることもできます。

ただし、薬剤師なら月2万円、評価ランクが上がれば月1万円という全国共通の金額はありません。

希望額を伝える場合も、会社の制度と現在の役割を確認したうえで相談します。

評価結果に納得できない場合

事実認識の違い

評価者が担当業務を把握していない、評価期間を取り違えているなど、事実認識に違いがある場合は補足できます。

「今回の評価期間中は○月から新人教育も担当していました。この点は評価対象に含まれていますか。」

評価基準の違い

自分は高く評価している仕事でも、会社の評価基準では別項目・別水準として扱われる場合があります。

なぜその評価になるか、評価項目と期待水準を確認します。

再確認・異議申立ての手続

会社に評価の再確認、二次評価、人事相談等の手続がある場合は、その正式な方法を確認します。

評価結果をめぐって上司と意見が違う場合の話し合い方は、薬剤師の職場で意見が合わないときの対処法も参考にしてください。

保存用|評価面談前後のチェックリスト

面談準備から面談後までを一つの流れで確認します。

タイミング確認事項
面談前評価対象期間を確認した
面談前現在の等級・役割を確認した
面談前評価項目ごとに担当実績を整理した
面談前前回評価からの改善点を整理した
面談中評価結果と理由を聞いた
面談中給与のどこへ反映されるか確認した
面談中最終決定者・決定時期を確認した
面談中次の等級・昇給条件を確認した
面談後次の目標と確認時期を記録した
期中目標・役割が変わった場合に認識を合わせた

この表で空欄になる項目があれば、それが次に会社へ確認する内容です。

面談後は決定事項・次の目標・時期を残す

面談後は、相手を縛る証拠を作るのではなく、認識合わせのために内容を整理します。

  • 今回の評価結果
  • 評価理由
  • 次の目標
  • 次の等級条件
  • 次回確認時期

を会社の評価シート、自分の面談メモ、正式な社内ツール等で残します。

重要な認識違いがある場合は、必要に応じて上司へ確認してください。

中間面談では評価を印象づけるのではなく進捗を確認する

年1回・年2回の評価面談だけでは、途中で役割・目標が変わることがあります。

中間面談・1on1等がある場合は、上司へ自分を印象づけるためではなく、目標設定が現在も有効か、進め方が合っているかを確認します。

「前回の面談で確認した○○を進めています。現在の進め方で評価上の期待と合っていますか。」

と確認できれば、評価時期になって初めて認識差に気付くことを減らせます。

給料が上がらない理由そのものは給与制度から確認する

評価面談で確認した結果、そもそも現在の会社で給与が上がる仕組みが分かりにくい、等級と給与の関係が見えないという場合があります。

その場合は、薬剤師の給料が上がらない理由と給与制度を解説した記事で、基本給・等級・評価・役割の関係を整理してください。

給与明細の基本給・手当そのものを確認したい場合は、薬剤師の給与明細の見方を参照してください。

転職時の年収交渉とは分ける

現在の職場での評価面談と、転職先から提示された年収を相談する場面は別です。

現職では自社の評価・給与制度を前提に確認します。

転職時は、求人条件、仕事内容、役職、勤務地、提示条件等をもとに相談します。

転職時の年収交渉は、薬剤師の年収交渉のタイミングと確認方法で整理しています。

他社求人・他社オファーを現職上司への脅しとして使うことは、このページでは勧めません。

昇給がなかったから即転職と考えない

今回の面談で昇給しなかったとしても、すぐに転職しなければならないわけではありません。

まず確認したいのは、

  • なぜ昇給しなかったのか
  • 次の等級・昇給条件は何か
  • 次回いつ見直すのか
  • 希望する役割へ進む道があるか

です。

制度上、自分が希望する役割・給与へ進む道がないと判断した場合に、他社を含めて情報収集するという順番でも問題ありません。

評価面談でよくある5つの誤解

誤解確認したいこと
頑張った分だけ基本給が上がる評価と基本給の反映ルール
高評価ならその場で昇給額が決まる給与決裁者・改定時期
数字がなければ評価されない会社の正式な評価項目
上司が昇給させてくれない上司の決裁権限
昇給しなければ転職しかない次の等級条件・見直し時期

この5つを分けるだけでも、面談で確認すべきことがかなり明確になります。

元人事部長の経験|評価面談は自己PRの強さより評価基準との認識合わせが重要

人事として評価面談や給与相談を見てきた中で、話し方が強い人、数字をたくさん持っている人が必ず高評価になるわけではありませんでした。

確認しやすかったのは、会社の評価項目に沿って、評価期間中に何を担当し、前回から何が変わったかを整理している人です。

本人と上司の認識が違う場合も、

  • 評価基準が違うのか
  • 対象期間の認識が違うのか
  • 担当業務を上司が把握していないのか
  • 評価は同じでも給与決定の仕組みが別なのか

を分けると、何を確認すればよいかが明確になります。

また、直属上司が給与を決められない会社では、面談の場で具体的な昇給額を確約できないこともありました。

評価面談は、上司に勝つ交渉の場ではなく、会社の期待と自分の認識を合わせ、次の評価・処遇へ進む条件を確認する場として使う方が実務的です。

FAQ

評価面談で昇給について聞いてもよいですか?

聞いて構いません。まず今回の評価結果と、その評価が基本給・賞与・等級等のどこへ反映されるかを確認してください。そのうえで、次の昇給・昇格条件と見直し時期を聞くと整理しやすくなります。

いくら昇給してほしいと伝えればよいですか?

全国共通の正解はありません。賃金表・等級が明確な会社では、希望額より次の等級条件を確認する方が適する場合があります。個別裁量がある会社では希望額を相談できる場合もあるため、自社制度を先に確認してください。

薬剤師の定期昇給の相場は何%ですか?

薬剤師個人の評価面談に使える全国共通の定期昇給率はありません。会社の給与制度、等級、評価、役割等によって異なります。厚労省の企業向け賃金引上げ調査も、薬剤師個人の昇給相場を示す調査ではありません。

数値実績がない場合は何を話せばよいですか?

担当役割、責任範囲、完了した仕事、前回評価から改善したことを会社の評価項目に沿って整理してください。数字がある場合は、会社が正式に確認できるものを補助的に使えば十分です。

上司が給与を決められない場合はどうしますか?

評価結果が誰へ上がり、給与改定を誰が決定し、いつ結果が通知されるのか確認します。直属上司が評価者でも、給与決裁者が人事・経営層等で別の場合があります。

評価結果に納得できない場合はどうしますか?

事実認識、評価対象期間、評価基準のどこに認識差があるかを分けて確認します。会社に二次評価・再確認・人事相談等の正式な手続がある場合は、その方法を利用してください。

昇給できないと言われたら転職した方がよいですか?

すぐに転職する必要はありません。まず昇給しない理由、次の等級・昇給条件、次回見直し時期を確認します。現職で希望する役割・給与へ進む道がないと判断した場合に、他社を含めて情報収集する方法があります。

他社の求人年収を昇給交渉の材料に使うべきですか?

このページでは勧めません。現職の給与は自社の等級・職務・評価・賃金制度等で決まる場合があります。他社求人は転職を検討するときの比較材料として扱い、現職の評価面談では自社制度と自分の評価を中心に確認してください。

まとめ|昇給額だけを目的にせず、評価と給与が変わる条件を確認する

評価面談で昇給について相談するときは、交渉テクニックより自社制度の理解が先です。

  • 就業規則・給与制度・評価制度を確認する
  • 今回の面談で何が決まるかを確認する
  • 自社の評価項目に沿って担当・実績を整理する
  • 実績を無理に数字へ変換しない
  • 評価結果と理由を先に聞く
  • 給与のどの項目へ反映されるか確認する
  • 次の等級・昇給条件と時期を確認する
  • 面談後は認識合わせとして記録する

今回昇給しなかったとしても、理由と次の条件が分かれば、次に何をすればよいか判断できます。

その場で希望額どおりになることを面談の唯一の成功条件にせず、自分の評価・役割・給与がどのような条件で変わるのかを明確にする。それが、薬剤師が評価面談を有効に使うための基本です。

面談後に、現在の評価、次に求められる役割、給与を見直す時期まで説明できる状態になっていれば、次回までの行動を具体的に決められます。評価制度が分からないまま自己PRを増やすより、まず制度と自分の現在地を確認してください。次回の面談までに何を確認するかも一緒に整理しておきましょう。面談後の行動まで決めておくと、次の評価時期に振り返りやすくなります。

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