病院から調剤薬局へ転職【失敗しない】元人事部長が教える条件確認リスト

2025年10月時点の情報です

目次

あなたの専門性、本当に正当な評価を受けていますか?

夜勤明けの疲労感、積み上がる調剤業務、そして思ったより上がらない給与。 病院薬剤師として働くあなたは、今の環境に満足していますか?

「やりがいはあるけれど、このまま続けていいのか不安だ」 「もっと収入を増やしたいが、病院では昇給が見込めない」 こうした悩みを抱えながら、調剤薬局への転職を考えている方は少なくありません。

私は元・調剤薬局チェーンの人事部長として、数多くの病院薬剤師の転職を支援してきました。その経験から断言できるのは、病院から調剤薬局への転職は「正しい知識と戦略」さえあれば、あなたのキャリアを大きく前進させる選択肢になるということです。

しかし同時に、安易な転職判断で後悔する薬剤師も数多く見てきました。 「年収は上がったが、想像以上に忙しい」「病院での経験が活かせない職場だった」といった声を聞くたび、心が痛みました。

本記事では、病院薬剤師が調剤薬局へ転職する際の具体的なメリット・デメリット、そして絶対に確認すべき注意点を、人事の現場で得た一次情報とともにお伝えします。あなたのキャリア選択が、後悔のないものになることを願っています。

病院薬剤師から調剤薬局への転職がもたらす5つのメリット

メリット1:年収の大幅アップが現実的に可能

病院薬剤師の平均年収は、厚生労働省の賃金構造基本統計調査によれば約450〜550万円です。 一方、調剤薬局の薬剤師は550〜650万円、エリアや企業規模によっては750万円以上も十分に狙えます。

この差は決して小さくありません。 年収で100万円違えば、手取りは月額6〜7万円変わります。これは生活の質を大きく左右する金額です。

私が人事部長時代に採用した元病院薬剤師のCさん(32歳)は、転職により年収が480万円から620万円へ上昇しました。 「夜勤手当がなくても、これだけ収入が増えるとは思わなかった」と驚いていたのを覚えています。

調剤薬局で年収が高くなる理由は明確です。 処方箋応需による診療報酬が直接収益につながるため、薬剤師一人あたりの生産性が可視化されやすいのです。特に管理薬剤師やエリアマネージャーに昇進すれば、年収700〜800万円も現実的です。

ただし注意すべきは、求人票の「年収650万円〜」という表記です。 これは「頑張れば到達可能」という意味であり、初年度からその金額が保証されるわけではありません。入社時の年収、昇給条件、賞与の算定基準を面接で必ず確認してください。

メリット2:夜勤・当直からの解放による生活リズムの安定

病院薬剤師の最大の負担は、夜勤・当直でしょう。 体内時計が乱れ、プライベートの予定も立てにくい。家族との時間も削られます。

調剤薬局の多くは、夜間営業を行っていないため夜勤がありません。 営業時間が決まっており、勤務時間も比較的安定しています。

元病院薬剤師のDさん(29歳女性)は、転職後「朝起きて夜寝る生活がこんなに快適だとは」と語っていました。 彼女は病院時代、月4回の夜勤で体調を崩しがちでしたが、調剤薬局に移ってからは体調が安定し、趣味のヨガにも通えるようになったそうです。

生活リズムの安定は、長期的な健康維持にも直結します。 特に30代以降、夜勤による身体への負担は蓄積していきます。将来を見据えたキャリア選択として、調剤薬局への転職は合理的な判断です。

メリット3:在宅医療やかかりつけ薬剤師など専門性を活かせる領域の拡大

「病院を離れたら、専門性が落ちるのでは?」 この不安を抱く病院薬剤師は多いです。しかし実際には、調剤薬局でこそ発揮できる専門性があります。

在宅医療の現場では、患者の生活環境を直接見ながら服薬指導を行います。 病院では見えなかった「実際の生活での困りごと」に対応できるのは、大きなやりがいです。

かかりつけ薬剤師制度も、調剤薬局ならではのキャリアパスです。 患者との長期的な関係構築を通じて、薬物療法全体を見守る役割は、病院の外来業務とは異なる深い専門性を要求されます。

私が採用したEさん(38歳)は、病院で循環器専門の薬剤師として働いていました。 調剤薬局に転職後、在宅医療に携わり「病院では点でしか見られなかった患者さんを、線で支えられる」と充実感を語っていました。

調剤報酬改定により、対人業務の評価は年々高まっています。 在宅訪問やかかりつけ薬剤師の算定件数が昇給に直結する薬局も増えています。専門性を磨きながら収入も上げられる、これが調剤薬局の魅力です。

メリット4:完全週休2日制と有給取得率の高さ

病院勤務では、人手不足により有給休暇が取りにくい現実があります。 「申請したら嫌な顔をされた」「病棟業務が回らないから休めない」という声を、私は何度も聞いてきました。

調剤薬局、特にチェーン展開している企業では、シフト管理が組織的に行われています。 代替要員の確保がしやすく、有給取得率も病院より高い傾向にあります。

厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、薬局・ドラッグストアの有給取得率は約60〜65%です。 病院の45〜50%と比較すると、明らかに休みやすい環境です。

実際、私の元部下だったFさん(35歳)は、転職前の病院では年間5日しか有給を使えませんでしたが、調剤薬局に移ってからは年間15日以上取得しています。 「子どもの学校行事に参加できるようになった」と喜びの声を聞きました。

ただし、これは企業や店舗によって大きく異なります。 個人経営の小規模薬局では、一人薬剤師体制で休みが取りにくいケースもあります。面接時に「現場の薬剤師の平均有給取得日数」を必ず質問してください。

メリット5:キャリアパスの多様性と昇進スピード

病院では、管理職ポストが限られています。 薬剤部長や副部長になれるのは、ごく一部です。年功序列の風土も強く、若手の昇進は難しいでしょう。

調剤薬局チェーンでは、店舗数の拡大に伴い管理職の需要が常にあります。 管理薬剤師、エリアマネージャー、教育担当、採用担当など、キャリアの選択肢が豊富です。

私が採用したGさん(31歳)は、転職後わずか2年で管理薬剤師に昇進しました。 病院時代は「あと10年は主任にもなれない」と言われていたそうですが、調剤薬局では実力を正当に評価されたのです。

昇進スピードが速いということは、それだけ年収アップのチャンスも多いということです。 管理薬剤師になれば月3〜5万円の手当が付きますし、エリアマネージャーになれば年収750万円以上も珍しくありません。

ただし、昇進には「店舗運営能力」「人材育成スキル」「経営視点」が求められます。 調剤技術だけでなく、マネジメント能力を磨く意識が必要です。

見過ごしてはいけない調剤薬局転職の5つのデメリット

デメリット1:医療の最先端から距離が置かれる現実

病院では、最新の医薬品情報や治療法に日常的に触れられます。 医師やチーム医療との連携を通じて、薬剤師としての専門知識を深められる環境です。

調剤薬局に転職すると、この「医療の最前線」から一歩離れることになります。 新薬の使用経験が減り、症例カンファレンスに参加する機会もなくなります。

私の元部下だったHさん(33歳)は、大学病院から調剤薬局に転職後「勉強しないと、どんどん知識が古くなる」と危機感を抱いていました。 病院では自然と入ってきた情報を、調剤薬局では自分から取りに行く必要があるのです。

この問題への対策は、継続的な自己学習です。 学会参加、専門誌の購読、オンライン研修の受講など、意識的に学ぶ環境を作らなければなりません。

また、調剤薬局によっては社内研修制度が充実している企業もあります。 転職先を選ぶ際は「年間の研修時間」「学会参加費の補助制度」「認定薬剤師取得支援」の有無を確認してください。

デメリット2:処方箋応需業務の単調さとやりがいの変化

病院では、病棟業務や服薬指導を通じて患者の回復過程に関われます。 チーム医療の一員として、治療に貢献している実感が得られるでしょう。

調剤薬局の業務は、処方箋応需が中心です。 同じ処方内容が繰り返され、業務に単調さを感じる薬剤師も少なくありません。

元病院薬剤師のIさん(36歳)は、転職後3ヶ月で「毎日同じことの繰り返しで、やりがいを感じにくい」と相談に来ました。 彼は病院の救急外来で働いていたため、調剤薬局のペースに物足りなさを感じたのです。

ただし、これは「どう働くか」で大きく変わります。 服薬指導に力を入れる、在宅医療に積極的に関わる、地域の健康イベントを企画するなど、自分から仕事を広げる姿勢があれば、やりがいは見つけられます。

転職先を選ぶ際は「門前薬局か面対応か」「在宅医療の実施状況」「かかりつけ薬剤師の取得推奨度」を確認しましょう。 業務の幅が広い薬局ほど、やりがいを感じやすい環境です。

デメリット3:人間関係の密度と小規模組織特有のストレス

病院は組織が大きく、薬剤部内でも複数のチームに分かれています。 人間関係で問題があっても、異動や配置転換で距離を取ることが可能です。

調剤薬局、特に中小規模の店舗では、毎日同じメンバーと働きます。 人間関係のトラブルが発生した場合、逃げ場がありません。

私が人事部長時代、最も多く受けた相談が「店舗の人間関係」でした。 「お局薬剤師に嫌われて、毎日が辛い」「管理薬剤師の機嫌で職場の雰囲気が変わる」といった声は、残念ながら珍しくありませんでした。

この問題を避けるには、面接時の店舗見学が重要です。 「現在働いている薬剤師の年齢構成」「平均勤続年数」「離職率」を質問してください。離職率が高い店舗は、何かしら問題を抱えている可能性があります。

また、複数店舗を展開している企業であれば、異動の可能性も確認しましょう。 「人間関係で困ったら異動できますか?」と率直に聞くことが大切です。

デメリット4:労働時間の不透明さと実質的な拘束時間

求人票に「9時〜18時勤務」と書いてあっても、実態は異なるケースがあります。 開局準備、閉局作業、棚卸し、在庫管理など、診療時間外の業務が発生するからです。

特に問題なのが「着替え時間」や「開局準備時間」の扱いです。 これらが勤務時間に含まれない薬局では、実質的な拘束時間が長くなります。

私の元部下だったJさん(28歳)は、転職後「毎日30分早く出勤しないと準備が間に合わない」と愚痴をこぼしていました。 面接では「残業はほとんどない」と説明されたのに、実際には毎日サービス残業が発生していたのです。

この問題を避けるには、面接で具体的に確認する必要があります。 「開局の何分前に出勤していますか?」「閉局後の作業は何時まで続きますか?」「その時間は勤務時間としてカウントされますか?」と、遠慮せず質問してください。

また、タイムカードや勤怠管理システムの有無も重要です。 自己申告制の薬局は、実労働時間が正確に把握されていない可能性があります。

デメリット5:経営状態の不安定さとキャリアリスク

大規模病院は、経営破綻のリスクが比較的低いです。 公立病院であれば、さらに安定性は高まります。

一方、調剤薬局は中小企業が多く、経営状態は企業によってまちまちです。 特に個人経営の薬局では、社長の経営判断一つで待遇が大きく変わることもあります。

私が人事部長時代、ある地方の薬局チェーンが突然倒産し、そこで働いていた薬剤師たちが路頭に迷う事態を目撃しました。 「こんなことになるとは思わなかった」という彼らの言葉が、今も忘れられません。

転職先の経営状態を見極めるには、以下の点をチェックしてください。 まず「店舗数の推移」です。ここ数年で店舗が増えているか、減っているかは経営状態の指標になります。

次に「離職率」です。薬剤師の定着率が低い企業は、何かしら問題があると考えるべきです。

そして「面接での社長の発言」です。 「将来は店舗を100店舗に拡大する」といった非現実的な話ばかりする、「うちは家族のような会社だ」と精神論を強調する、こうした経営者には注意が必要です。

調剤報酬改定の影響も無視できません。 2025年以降、対人業務重視の流れが加速しています。機械的な調剤だけで利益を出す時代は終わりつつあります。 この変化に対応できる企業かどうか、しっかり見極めてください。

【絶対確認】面接で必ず聞くべき7つの質問リスト

転職を成功させるには、面接での質問が鍵を握ります。 求人票に書かれていない情報こそ、あなたのキャリアを左右するのです。

質問1:初年度の想定年収と昇給の具体的条件

「年収600万円〜」という求人票を見て応募したのに、実際には「3年後に到達する目標金額」だったというケースは多いです。 必ず「初年度の年収はいくらになりますか?」と確認してください。

そして昇給条件も重要です。 「どのような基準で昇給が決まりますか?」「過去3年間の平均昇給額は?」「管理薬剤師になると、どのくらい年収が上がりますか?」と、具体的な数字を聞き出しましょう。

曖昧な回答しか得られない企業は、昇給制度が整っていない可能性があります。

質問2:実労働時間と時間外労働の実態

「9時〜18時勤務」と書いてあっても、実際には8時30分出勤、18時30分退勤が常態化している薬局もあります。

「現在働いている薬剤師の平均的な出勤時間と退勤時間を教えてください」と質問しましょう。 そして「開局準備や閉局作業は勤務時間に含まれますか?」と確認してください。

さらに「月平均の残業時間」と「残業代の支払い方法」も聞くべきです。 みなし残業制の場合、何時間分が含まれているのか、超過分はどう処理されるのかを明確にしてください。

質問3:有給休暇の取得率と取得しやすさ

「有給休暇は取得しやすいですか?」という抽象的な質問では、本当のことは分かりません。

「昨年度、薬剤師の平均有給取得日数は何日ですか?」と、具体的な数字を聞いてください。 全国平均の10〜12日を下回る場合、取得しにくい環境だと判断できます。

また「繁忙期でも有給は取れますか?」「連続して5日間の有給取得は可能ですか?」といった質問も有効です。

「うちは有給取得を推奨しています」という言葉だけでは信用できません。 実績を数字で示せる企業こそ、信頼に値します。

質問4:店舗の薬剤師構成と平均勤続年数

人間関係のトラブルを避けるには、店舗の雰囲気を知ることが大切です。

「この店舗で働いている薬剤師は何名ですか?」「年齢構成を教えてください」「平均勤続年数は?」と質問しましょう。

勤続年数が短い店舗は、何かしら問題がある可能性があります。 「最近退職した薬剤師がいますか?その理由は?」と踏み込んだ質問も、時には必要です。

また「店舗見学は可能ですか?」と提案してください。 実際に働いている薬剤師の表情や職場の雰囲気は、言葉以上に多くを語ります。

質問5:研修制度とスキルアップ支援の実態

「充実した研修制度があります」という求人票の文言は、どの企業も使います。 本当に充実しているのか、具体的に確認しましょう。

「年間の研修時間はどのくらいですか?」「研修は勤務時間内に行われますか?」「学会参加費や書籍購入費の補助はありますか?」と質問してください。

また「認定薬剤師の取得を支援する制度はありますか?」「在宅医療やかかりつけ薬剤師に関する研修はありますか?」といった、具体的な内容も確認しましょう。

自己啓発を支援する企業は、薬剤師の成長を真剣に考えている証拠です。

質問6:評価制度と昇進のプロセス

「頑張れば昇進できます」という曖昧な説明では、将来が見えません。

「評価はどのような基準で行われますか?」「管理薬剤師になるには、どのような実績が必要ですか?」「昇進試験はありますか?」と、具体的なプロセスを聞いてください。

また「過去3年間で、何名の薬剤師が管理薬剤師に昇進しましたか?」という質問も有効です。 実績がない企業では、いくら頑張っても昇進は難しいでしょう。

評価制度が明確で、実績に基づいて昇進できる企業を選んでください。

質問7:会社の経営状態と今後の展望

これは聞きにくい質問かもしれませんが、あなたのキャリアを守るために重要です。

「今後の出店計画を教えてください」「調剤報酬改定への対応方針は?」「在宅医療やかかりつけ薬剤師制度への取り組みは?」と質問しましょう。

具体的なビジョンを語れる企業は、将来性があります。 一方、曖昧な回答しかできない、精神論ばかり強調する企業は、避けた方が無難です。

また「離職率」も重要な指標です。 「昨年度、何名の薬剤師が退職しましたか?」と直接聞いてください。答えを濁す企業は、何かを隠している可能性があります。

転職を成功させるための戦略的アプローチ

ここまで読んでいただいたあなたは、病院薬剤師から調剤薬局への転職について、多くの知識を得たはずです。 しかし知識だけでは、転職は成功しません。具体的な行動が必要です。

転職エージェントを活用する理由

一人で転職活動を進めるのは、非常にリスクが高いです。 求人票の情報だけでは、企業の実態は分かりません。面接で聞くべきことも、経験がなければ分からないでしょう。

薬剤師専門の転職エージェントを活用すれば、これらの問題は解決します。 彼らは業界の内情を熟知しており、求人票に載らない情報を持っています。

私が推奨するのは、以下の3社です。

ファルマスタッフは、調剤薬局に強いネットワークを持っています。 全国の求人情報が豊富で、地方での転職にも対応できます。担当者が実際に店舗を訪問しているため、職場の雰囲気や人間関係についてもリアルな情報を提供してくれます。

レバウェル薬剤師は、キャリアアドバイザーの質が高いことで知られています。 あなたの経歴や希望を丁寧にヒアリングし、最適な求人を提案してくれます。面接対策や年収交渉のサポートも充実しています。

ファル・メイトは、派遣やパート求人に強みがあります。 まずは短期間働いて職場の雰囲気を確認したい、という方に適しています。正社員登用を前提とした紹介予定派遣も取り扱っています。

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年収交渉はエージェントに任せるべき理由

面接で自分から年収交渉をするのは、非常に難しいです。 強気に出すぎれば印象が悪くなり、遠慮しすぎれば損をします。

転職エージェントを介せば、この問題は解決します。 彼らは交渉のプロであり、あなたの市場価値を正確に把握しています。企業側との関係も構築しているため、無理のない範囲で最大限の条件を引き出してくれます。

私が人事部長だった頃、エージェント経由の応募者には、直接応募者より50万円高い初任給を提示することもありました。 なぜなら、エージェントが候補者の経験やスキルを的確にアピールしてくれたからです。

年収交渉は、決して「わがまま」ではありません。 あなたの専門性に見合った対価を求めることは、プロフェッショナルとして当然の権利です。

複数の内定を得てから比較検討する重要性

一つの企業から内定をもらった時点で、すぐに決断してはいけません。 必ず複数の企業を比較検討してください。

選択肢があることで、冷静な判断ができます。 「この条件なら、あちらの方が良い」「年収は低いが、労働環境はこちらが優れている」といった比較が可能になります。

また、内定を複数持っていることで、条件交渉も有利に進められます。 「他社からも内定をいただいているのですが、御社を第一志望としています。ただ年収面で少し迷っているので、もう少し検討していただけないでしょうか」といった交渉が可能になるのです。

焦って決断すると、後悔する可能性が高まります。 転職は人生における重要な選択です。時間をかけて、納得のいく決断をしてください。

労働条件通知書の徹底的な確認

内定を承諾する前に、必ず労働条件通知書を受け取ってください。 口頭での約束は、後から「そんなことは言っていない」と否定されるリスクがあります。

労働条件通知書には、以下の項目が明記されているはずです。 給与額、勤務時間、休日、有給休暇、社会保険、退職金制度、試用期間の条件などです。

特に注意すべきは「試用期間」です。 試用期間中は給与が低く設定されていたり、社会保険に加入できなかったりするケースもあります。試用期間の長さと条件を必ず確認してください。

また、労働条件通知書に記載されている内容と、面接で説明された内容に相違がないかも確認しましょう。 もし相違があれば、入社前に必ず企業に問い合わせてください。

私が人事部長時代、労働条件通知書を確認せずに入社し、後からトラブルになったケースを何度も見てきました。 「面接では年収600万円と言われたのに、実際は550万円だった」という相談もありました。

書面での確認を怠らないでください。 それがあなた自身を守る唯一の方法です。

転職後に後悔しないための心構え

転職は、環境を変えることです。 新しい環境には、必ず適応期間が必要です。最初の3ヶ月は、戸惑いや不安を感じるのが普通です。

「こんなはずじゃなかった」と感じる瞬間もあるでしょう。 しかし、それは転職したすべての人が通る道です。焦らず、一つずつ新しい環境に慣れていってください。

病院時代の経験を活かす意識を持つ

調剤薬局で働き始めると、病院とのギャップに戸惑うかもしれません。 「こんな基本的なことも知らないのか」と周囲に思われるのではないか、という不安も出てくるでしょう。

しかし、あなたには病院で培った専門知識があります。 注射薬の知識、医薬品の相互作用、チーム医療での経験など、調剤薬局では貴重なスキルです。

これらの経験を、積極的にアウトプットしてください。 服薬指導での説明、後輩への教育、処方提案など、活かせる場面は必ずあります。

私の元部下だったKさん(34歳)は、病院での感染症専門薬剤師としての経験を活かし、調剤薬局で感染症に関する勉強会を開催しました。 それがきっかけで、周囲からの信頼を得て、入社1年で管理薬剤師に抜擢されました。

あなたの経験は、必ず誰かの役に立ちます。 自信を持って、新しい環境で力を発揮してください。

継続的な学習習慣を維持する

病院を離れると、医療情報が自然に入ってこなくなります。 意識的に学ぶ姿勢がなければ、知識は古くなる一方です。

学会に参加する、専門誌を購読する、オンライン研修を受講する、こうした学習習慣を続けてください。 調剤薬局でも、学び続ける薬剤師こそが評価されます。

また、在宅医療やかかりつけ薬剤師など、調剤薬局ならではの領域も積極的に学んでください。 新しい専門性を身につけることで、あなたの市場価値はさらに高まります。

認定薬剤師や専門薬剤師の資格取得も、キャリアアップの有効な手段です。 会社の支援制度を活用しながら、計画的にスキルアップを図りましょう。

転職は「ゴール」ではなく「スタート」

転職活動が終わり、新しい職場で働き始めた時、ほっとする気持ちは分かります。 しかし、転職はゴールではありません。新しいキャリアのスタートラインです。

そこから何を学び、どう成長するかは、あなた次第です。 環境が変わっても、自分自身が成長しなければ、結局また同じ悩みを抱えることになります。

私が人事部長として最も伝えたかったのは、「転職は手段であり、目的ではない」ということです。 あなたの目的は、より良いキャリアを築くこと、充実した人生を送ることのはずです。

新しい環境で、その目的に向かって着実に歩んでいってください。 あなたには、その力があります。

あなたのキャリアは、あなた自身が創るもの

ここまで、病院薬剤師から調剤薬局への転職について、具体的な情報をお伝えしてきました。 メリットもデメリットも、すべて現実です。都合の良い情報だけを伝えるつもりはありません。

転職は、簡単な選択ではありません。 リスクもあれば、不安もあるでしょう。今の環境を変えることへの恐れも、当然あるはずです。

しかし、今のまま何も変えなければ、5年後も10年後も同じ悩みを抱え続けることになります。 「あの時、もっと勇気を出していれば」と後悔する日が来るかもしれません。

私は人事部長として、多くの薬剤師のキャリアを見てきました。 転職を決断し、新しい環境で活躍している人たちには、共通点があります。それは「自分のキャリアは自分で決める」という強い意志です。

会社が決めてくれるのを待つのではなく、自分から動く。 周囲の評価ではなく、自分の価値観を大切にする。こうした姿勢が、充実したキャリアを創るのです。

あなたの経験は、あなたが思っている以上に価値があります。 病院で培った専門知識、患者対応のスキル、チーム医療での経験、これらすべてが調剤薬局で活かせる財産です。

年収も、労働環境も、キャリアパスも、今より良くなる可能性は十分にあります。 ただし、それを実現するには正しい知識と戦略、そして行動が必要です。

一人で悩まず、専門家の力を借りてください。 ファルマスタッフ、レバウェル薬剤師、ファル・メイトといった信頼できる転職エージェントは、あなたの味方です。彼らは、あなたが気づいていない可能性を見出し、最適なキャリアパスを提案してくれます。

面接での質問リスト、年収交渉のコツ、労働条件通知書の確認ポイント、本記事で紹介したすべての知識を武器にしてください。 準備を怠らず、冷静に判断すれば、後悔しない転職は必ず実現できます。

今の環境で我慢し続ける必要はありません。 あなたには、より良い未来を選ぶ権利があります。その一歩を踏み出す勇気を、私は心から応援しています。

あなたのキャリアが、これから大きく花開くことを信じています。

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この記事を書いた人

元・調剤薬局チェーンの人事部長(薬剤師)|激務で倒れたら猫に|人事部長としての経験から「転職エージェント(紹介会社)が、採用側(私たち)にどう向き合い、転職者(あなた)をどう扱っているか」など有益情報を発信|理想の職場探しはプロに相談するニャ👇

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