採用側が求める薬剤師の行動特性を完全解説

2025年10月時点の情報です。

目次

薬剤師の面接で「資格」より「コンピテンシー」が重視される理由

多くの薬剤師は「面接では資格や経歴を詳しく説明すれば受かる」と考えています。

しかし、採用側の視点は全く異なります。採用側が面接で評価しているのは「その薬剤師が『職場でどのような行動をするのか』という行動特性」なのです。この行動特性のことを「コンピテンシー」と呼びます。

コンピテンシーとは「仕事で高い成果を出す人に共通する行動パターン」です。例えば「課題に直面したとき、どのような思考をして、どのような行動をするのか」という点です。単なる「知識」や「資格」ではなく「実際の行動」を指しているのです。

採用側が面接で見ているのは「この薬剤師は『課題に直面したとき、主体的に情報を集め、判断できるのか』」「『ミスが発生したとき、どのように対応するのか』」「『医療機関の医師と『信頼関係を構築できるのか』」といった「行動パターン」なのです。

問題は「多くの薬剤師が『コンピテンシーの概念』を理解していない」という点です。結果として「面接で『何を』答えるべきかが不明確」になり「採用側に『この人の本当の実力は不明だ』という評価」を与えてしまうのです。

採用側の人事担当者は「職務経歴や資格を見れば、その人の『基礎スキル』は判明する」と考えているのです。面接を通じて確認したいのは「『その基礎スキルをどのような場面で、どのように活かすのか』という『行動の現れ方』」なのです。

実務経験として「コンピテンシーを理解して面接に臨む薬剤師」と「資格や経歴のみをアピールする薬剤師」では「採用側の評価に大きな差」が生じるのです。

元・人事部長として「面接で評価されるコンピテンシー」を5つ解説します。これらを理解することで「面接で採用側に『この薬剤師は優秀だ』という確信」を与えることができるのです。


採用側が評価するコンピテンシー

コンピテンシー1:「課題発見・解決能力」

採用側が最も重視するコンピテンシーが「課題発見・解決能力」です。

つまり「仕事の中で『何か問題がある』と気づき、その原因を追究し、改善方法を実行できるのか」という点です。医療現場では「現状の改善」が常に求められるのです。患者安全、スタッフ効率、医療機関との連携。すべての場面で「より良い方法」が模索されているのです。

採用側が面接でこのコンピテンシーを判定する方法は「過去の具体的な課題解決事例を述べているか」を聴くことです。

悪い回答の例: 「前職では調剤業務が正確でした。患者さんへの説明も丁寧にしていました」

この回答は「努力した」ことを述べているだけで「課題を発見し、解決した」という事例がありません。採用側には「この薬剤師は『やるべきことをやっている』に過ぎず、『問題を見つけて改善する姿勢がない』」と判断されるのです。

採用側の心理としては「『やるべきことをやる』のは当たり前。その上で『何か工夫をしたのか』が知りたい」というものです。

良い回答の例: 「前職で『患者さんが処方箋を紛失するケースが月5件程度発生』していることに気づきました。原因を医師に相談したところ『医師の説明が不足していた』ことが判明。そこで私が『患者教育用のリーフレットを作成』し、医師と一緒に『説明ステップを統一』しました。結果として『紛失ケースが月1件以下に削減』されました」

この回答は「課題を発見(月5件の紛失)→原因を追究(医師の説明不足)→解決策を実行(教育リーフレット作成と統一)→結果を数値化(削減実績)」という完全な「課題解決プロセス」を示しているのです。

採用側はこの回答から「この薬剤師は『問題に気づき、データを取り、原因分析をし、チームで改善を進める』という高度なスキル」を持つ人材だと判断するのです。さらに「これだけの改善を実行できるなら、うちの薬局での課題解決にも貢献できるだろう」という期待値が生まれるのです。

面接で回答する際の構成は以下の通りです。

  • 「課題の具体的な内容」を数字で示す
  • 「原因がなぜ生じたのか」を分析する視点を示す
  • 「自分がとった行動」を詳細に述べる
  • 「実行後の結果」を数値で示す
  • 「その経験から学んだこと」を述べる

コンピテンシー2:「チームワーク・リーダーシップ」

医療現場では「個人の力」より「チーム全体の力」が重要です。

採用側が評価するのは「この薬剤師は『医師、看護師、薬局スタッフと協力して、目標を達成できるのか』」という点です。一人で完結する業務はほぼなく、すべてが「他職種との連携」を前提としているのです。

このコンピテンシーを示す方法は「『他者を巻き込んで達成した事例』を述べる」ことです。

悪い回答の例: 「前職では医療機関との関係を構築していました。医師との疑義照会も適切に行っていました」

この回答は「自分の行動のみ」を述べており「チームの力を使ったのか、それとも個人で解決したのか」が不明確です。採用側は「『単なる自分の務めではないか』と判断」するのです。

良い回答の例: 「前職で『医療機関との連携が不十分』という課題があったので『医師との定期ミーティングを提案』しました。初回は医師に『形式的』と感じられていましたが『実際に『患者のための改善案』を持参することで『医師の協力を得られるように』なりました。その結果『3ヶ月後には医師から月平均10件の処方相談を受けるようになり』、患者満足度が向上しました。さらに『看護師からも『薬剤師の意見が参考になる』というコメント』をもらい、医療チーム全体の信頼が構築されました」

この回答は「自分の提案→医師との関係構築→協力体制の形成→他職種への波及→患者満足度向上」という「チーム全体の連携を活かした成果」を示しているのです。

採用側はこの回答から「この薬剤師は『対人スキルが高く、相手を動かし、目標達成ができる人材』」と判断するのです。また「すでに他職種との協力経験がある」ため「うちの薬局でも速やかに『医師や他のスタッフとの信頼関係』を構築するだろう」という期待値が生まれるのです。


コンピテンシー3:「学習意欲・専門性追究」

医療は「常に進化する分野」です。採用側が評価するのは「この薬剤師は『新しい知識を自発的に学び、専門性を高める意欲を持っているのか』」という点です。

医療機関や患者のニーズは毎年変わるのです。「5年前に習った知識」だけでは対応できない場面が連日発生するのです。採用側は「この薬剤師は『変化に対応できるのか』」を見ているのです。

このコンピテンシーを示す方法は「『具体的な学習実績と、それが実務に活かされた事例』を述べる」ことです。

悪い回答の例: 「薬学の知識を深めるために勉強しています。今後も学習を継続したいと思っています」

この回答は「学習『意志』を述べているだけ」で「実績」がありません。採用側は「『本当に実行しているのか』『実務にどう活かされているのか』が不明」と判断するのです。

良い回答の例: 「前職で『在宅医療に関する知識が不足』していることに気づいたので『認定薬剤師資格の取得を目指し』、業務後に『月30時間程度の勉強』を1年間継続しました。資格取得後『月10件の在宅患者指導』を担当するようになり『患者の薬物治療の最適化』に貢献できました。特に『多剤併用患者の薬剤調整』の場面で『自分の学習知識が実務に直結した』ことを実感しました」

この回答は「課題発見→学習計画の立案→実行(月30時間、1年間)→資格取得→実務への活用→患者への具体的な貢献」という「学習が実務に直結している」ことを示しているのです。

採用側はこの回答から「この薬剤師は『自発的に学び、その知識を実務に活かせる人材』」と判断するのです。また「継続的な学習習慣を持っている」ため「今後もキャリアを高め続けるだろう」という将来性も期待できるのです。


コンピテンシー4:「自己認識・改善能力」

自分の『弱点』を認識し、それを改善しようとする姿勢は「長期的な成長を示す指標」です。

採用側が評価するのは「この薬剤師は『自分の不足を認識し、改善する謙虚さを持っているのか』」という点です。完璧な薬剤師は存在しないのです。「自分の課題を認識して、改善する」という姿勢こそが「プロフェッショナル」なのです。

悪い回答の例: 「私の強みは完璧性です。どのような環境でも高いクオリティを保ちます」

この回答は「自分の弱点がない」という主張であり「採用側は『自己認識がない人だ』と判断」するのです。実際には「全員が何らかの課題を持っている」からです。

良い回答の例: 「前職では『新しい提案を進める際に、チーム内の反発に直面する』という課題がありました。その原因は『相手の意見を十分に聴かずに、自分の考えを優先していた』ことに気づきました。その後『提案前に『複数の同僚に意見を聴き、反論を想定して準備する』というプロセスを導入した』結果『提案の承認率が80%から95%に向上しました』。この経験から『コミュニケーション』の重要性を学びました」

この回答は「自分の弱点を認識→原因を分析→改善策を実行→結果を確認」という「自己改善プロセス」を示しているのです。

採用側はこの回答から「この薬剤師は『自分の弱点に向き合い、継続的に改善できる人材』」と判断するのです。


コンピテンシー5:「コミュニケーション能力・共感性」

医療は「人間関係がすべて」と言っても過言ではありません。

採用側が評価するのは「この薬剤師は『患者や医療スタッフの『気持ちを理解し、適切に対応できるのか』」という点です。同じ説明をしても「相手の気持ちを理解した説明」と「機械的な説明」では「相手の受け取り方が全く異なる」のです。

悪い回答の例: 「患者さんとのコミュニケーションを大切にしています。わかりやすい説明をしています」

この回答は「意識」を述べているだけで「具体的な事例」がありません。採用側は「『実際に何をしているのか』が不明」と判断するのです。

良い回答の例: 「前職で『高齢患者の多剤併用に関する相談』を受けたとき『医学的な説明だけでは患者が理解できない』ことに気づきました。そこで『患者の生活背景を聴き』『実際に『どのような場面で薬を飲むのか』を確認した上で『日常生活に合わせた『分かりやすい説明方法』を工夫しました。具体的には『朝食後』『夜寝る前』という『時間軸』で整理して説明』したところ『患者の服用率が向上』し『治療効果が改善』されました。さらに『患者が『以前より飲み忘れが減った』と感謝してくれた』ことが、最も大きなやりがいでした」

この回答は「患者の『不理解の原因』を探り→その背景を『共感的に理解』し→患者の『生活に合わせたカスタマイズ』を実施→患者満足度向上」という「相手を理解した上での対応」を示しているのです。

採用側はこの回答から「この薬剤師は『相手の気持ちを理解し、相手に合わせた対応ができる人材』」と判断するのです。


面接で「コンピテンシー」を効果的に伝える方法

面接で「コンピテンシー」を効果的に伝えるためには「事前準備」が不可欠です。

具体的には「職務経歴書に『5つのコンピテンシーを示す事例』を記載しておく」ことです。そうすることで「面接官も『その実例について質問』しやすくなり」、あなた自身も「準備した内容を『自信を持って述べる』」ことができるのです。

各コンピテンシーについて「具体的な数字」「時間軸」「チームの関与」を職務経歴書に記載することが重要なのです。例えば「月5件から月1件へ削減」「1年間、月30時間」「医師と統一」といった「具体性」が「採用側に『この人は実際に行動した』という確信」を与えるのです。

紹介会社(ファルマスタッフ、レバウェル薬剤師、ファル・メイト)に登録し「職務経歴書の『コンピテンシー部分』の添削」を依頼することも有効です。プロの視点から「採用側に響く表現への改善」をしてもらうことで「面接での成功確度が大幅に向上」するのです。

さらに「模擬面接」を紹介会社に依頼し「実際にコンピテンシーを述べるプラクティス」をすることで「面接当日の緊張が軽減」されるのです。


「コンピテンシーを理解する」ことが面接成功の鍵

薬剤師の面接で受かる人と落ちる人の差は「資格の有無」ではなく「コンピテンシーをいかに効果的に伝えるか」という点です。

5つのコンピテンシー(課題発見・解決、チームワーク、学習意欲、自己認識、コミュニケーション)を理解し「自分の過去の具体的な事例を、コンピテンシーのフレームワークで整理する」ことで「採用側に『この薬剤師は優秀だ』という確信を与える」ことができるのです。

採用側は「資格や経歴から『基礎スキル』を判定」し、面接から「『実際の行動パターン』を判定」しているのです。つまり「面接こそが『本当の評価がされる場』」なのです。

紹介会社を活用し「面接対策」を万全にしたうえで「コンピテンシーを意識した回答』を準備してください。その準備が「転職成功への確実な道筋」になるのです。

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この記事を書いた人

元・調剤薬局チェーンの人事部長(薬剤師)|激務で倒れたら猫に|人事部長としての経験から「転職エージェント(紹介会社)が、採用側(私たち)にどう向き合い、転職者(あなた)をどう扱っているか」など有益情報を発信|理想の職場探しはプロに相談するニャ👇

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