コンビニ併設・駅ナカ薬局の年収と実態|元人事が教える「失敗しない」3つの転職戦略

2025年11月時点の情報です

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あなたの薬局の近くにも、気づけばコンビニ併設型が

「最近、駅の改札を出てすぐの場所に薬局が増えたと思いませんか?」

通勤途中、あるいは買い物帰りにふと目に入る、コンビニと一体化した調剤薬局。駅ナカの一等地に構える、スタイリッシュな内装の薬局。これらは単なる偶然ではありません。

調剤薬局業界に今、大きな地殻変動が起きています。

従来の「門前薬局」モデルから、利便性と収益性を両立させた新しいビジネスモデルへ。大手チェーンを中心に、コンビニエンスストアとの併設や駅ナカへの出店が加速しているのです。

私は元・調剤薬局チェーンの人事部長として、この業界の構造変化を最前線で見てきました。我々が展開してきた店舗の形とは異なる業態の薬局で働く薬剤師たちのキャリア面談を重ねる中で、一つの確信を得たのです。

この変化は、薬剤師の働き方に直結する重大な転換点だと。

現在、調剤薬局業界では2024年の診療報酬改定の影響が色濃く残っています。門前薬局の収益は圧迫され、一方で在宅訪問を中心とした業態であったり、コンビニ併設・駅ナカ薬局のような立地と利便性を武器にした新業態が台頭する。この構造変化を理解せずに転職活動をすれば、確実に損をします。

厚生労働省の「薬局機能情報公表制度」によれば、2024年時点で全国の薬局数は約6万1千軒。そのうち駅前や商業施設内の薬局は年々増加傾向にあります。これは単なる出店戦略ではなく、調剤報酬制度の変化に対応した生き残り戦略なのです。

本記事では、コンビニ併設・駅ナカ薬局という新ビジネスモデルの実態を、元人事部長の視点から徹底解剖します。そして、この変化をチャンスに変えるための具体的な転職戦略を、実例とともにお伝えします。


第1章:なぜ今、コンビニ併設・駅ナカ薬局なのか

調剤報酬改定が生んだ「立地戦略」への転換

2024年の調剤報酬改定は、薬局業界に大きな衝撃を与えました。特定の医療機関からの処方箋に依存する門前薬局への評価が厳格化され、収益構造の見直しを迫られたのです。

この対応策を協議しましたが結論は明確でした。「特定医療機関への依存度を下げ、在宅業務を中心に門前クリニック以外の処方せんを取り込むための戦略が必須」だと。

我々の下した経営戦略とは異なりますが、収益構造の見直しに対する答えの一つとして、コンビニ併設と駅ナカへの出店というのもあるのです。

コンビニ併設型薬局の最大の強みは、処方箋を持たない来店客へのアプローチです。OTC医薬品や健康食品の販売、セルフメディケーションの推進により、調剤以外の収益源を確保できます。

駅ナカ薬局は、通勤・通学客という安定した人流を確保できる点で優れています。複数の医療機関からの処方箋を受け付けられるため、特定医療機関への依存リスクを分散できるのです。

大手チェーンが仕掛ける「多角化戦略」の実態

大手調剤薬局チェーン各社も、コンビニエンスストアや鉄道会社との提携を加速させています。例えばウエルシアHDやクオールHDなどは、利便性を追求した新業態の開発に注力しており、この動きは今後さらに加速すると予測されます。

調剤報酬の伸び悩みを補うため、物販や在宅医療、健康相談などの付加価値サービスで収益を上げる。これが新しい薬局経営の基本戦略です。

薬剤師にとっての「働き方の変化」とは

コンビニ併設・駅ナカ薬局での勤務は、従来の門前薬局とは異なる特徴があります。人事として多くの薬剤師と面談する中で、以下のような声を聞いてきました。

メリット面

  • 処方箋枚数や応需する医療機関が多いため、調剤スキルが向上する
  • OTC販売や健康相談など、業務の幅が広がる
  • 立地が良いため通勤しやすい
  • 大手チェーンが運営するため、福利厚生が充実している

デメリット面

  • 来店客が多く、まとまった休憩時間が取りにくい場合がある
  • 複数の医療機関の処方箋対応により、医薬品の在庫管理が複雑
  • OTC販売のノルマがある薬局も存在する
  • シフト制のため、土日祝日の出勤が求められる

重要なのは、これらの特徴を理解した上で、自分のキャリアプランに合致するかを判断することです。


第2章:求人票では分からない「新業態薬局」の実態

ポイント1:「年収700万円も可能」の裏にある条件を見抜け

求人票でよく見かける「年収700万円も可能」という文言。これを鵜呑みにしてはいけません。

この「可能」という表現の裏には、下記のような具体的な条件が隠されていました。

年収700万円に届くモデルケース(管理薬剤師・広域エリア勤務の場合)は以下の通りです。

基本給:月35万円(年420万円)

役職手当(管理薬剤師):月5万円

資格手当・地域手当等:月5万円

残業手当:月平均20時間(みなし含まず):月5万円

賞与:年間4ヶ月分として約140万円

これらを合計してようやく700万円が見えてきます。つまり、平社員のままでは難しく、「管理薬剤師」や「エリアマネージャー候補」としての採用が前提となるケースがほとんどです。

求人票の「可能」という表現は、最大値を示しているに過ぎないのです。

転職エージェントを通じて、実際にその年収を達成している薬剤師の割合や、平均達成年数を確認してください。この質問をするだけで、その薬局の実態が見えてきます。

下記記事にて、私が人事部長時代に「この会社が相手だと強気な交渉がしにくい(=薬剤師の味方として優秀)」と恐れたエージェントを実名で暴露しています。失敗したくない方は、必ずチェックしてください。

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ポイント2:シフト制勤務の「休日の質」を必ず確認せよ

コンビニ併設・駅ナカ薬局の多くは、平日も土日祝日も営業しています。つまり、シフト制勤務が基本です。私が中途面接を受ける中で最も多く受けた相談が、「休日が取りにくい」という悩みでした。表向きは「完全週休2日制」と記載されていても、実際には以下のような問題が起きるのです。

シフト制特有の問題点

  • 希望休が月に2日しか取れない
  • 連休が取りにくく、旅行の計画が立てられない
  • 土日祝日の出勤が多く、家族との時間が取れない
  • シフトが1週間前にしか確定せず、予定が立てられない

ある薬剤師Dさんは、駅ナカ薬局に転職後、この問題で悩みました。求人票には「完全週休2日」とあったのに、実際には土日どちらかの出勤が必須。しかも月に1回は土日連続出勤があったのです。

転職エージェントを通じて、必ず以下を確認してください。

  • シフトは何日前に確定するか
  • 希望休は月に何日まで取得可能か
  • 土日祝日の出勤頻度はどの程度か
  • 連休の取得実績はあるか

これらを質問して明確な回答が得られない薬局は、避けるべきです。
また、面接時に質問をすると「権利主張の強い人物」という評価になりかねません。
必ず、直接確認するのではなく、転職エージェントに代弁してもらうようにしましょう。

ポイント3:「OTC販売ノルマ」の有無を徹底的に調査せよ

コンビニ併設型薬局の収益源の一つが、OTC医薬品や健康食品の販売です。しかし、ここに大きな落とし穴があります。一部の薬局では、薬剤師個人に対してOTC販売のノルマを課しています。私が相談を受けたケースでは、月間30万円のOTC販売ノルマが課され、達成できなければ賞与に影響するという薬局がありました。

薬剤師は調剤の専門家です。販売員ではありません。患者の健康を第一に考えた適正な服薬指導とセルフメディケーション支援は重要ですが、ノルマのために不要な商品を勧めることは、専門職としての倫理に反します。

面接では、以下のように質問してください。

「OTC医薬品の販売について、個人目標やノルマの設定はありますか?」

この質問に対して曖昧な回答をする薬局は、要注意です。


第3章:駅ナカ薬局やコンビニ併設薬局への転職で年収700万円を実現する戦略

戦略1:「管理薬剤師候補」としてのポジションを狙う

駅ナカ薬局やコンビニ併設薬局は、今後も出店が続きます。つまり、新規店舗の管理薬剤師候補の需要が高いのです。

管理薬剤師になれば、年収は大きく跳ね上がります。管理薬剤師候補として採用されるためには、以下の実績をアピールしてください。

  • 調剤過誤ゼロの実績
  • かかりつけ薬剤師としての患者担当数
  • 在宅医療や健康サポート薬局の運営経験
  • 後輩指導やシフト管理の経験

これらの実績を職務経歴書に具体的な数字とともに記載することで、管理薬剤師候補としての市場価値が高まります。

戦略2:「複数内定」を前提に年収交渉を行う

年収700万円以上を実現するための最重要戦略が、複数内定を前提とした年収交渉です。

私が採用を担当していた際、最も年収交渉が成功したのは、他社からも内定を得ている候補者でした。企業側は優秀な人材を逃したくないため、条件を上乗せしてでも採用しようとします。

具体的な交渉手順は以下の通りです。

Step1:3社以上の薬局に応募する
転職エージェント経由で、希望条件に合う薬局3社以上に同時並行で応募します。

Step2:内定時期を揃える
面接の日程調整を工夫し、できるだけ同じ時期に内定が出るようにします。

Step3:エージェント経由で年収交渉を行う
「他社からも内定をいただいており、条件面で比較検討したい」とエージェントに伝えます。エージェントが、あなたに代わって年収交渉を行ってくれます。


変化の波に乗るか、取り残されるか

コンビニ併設・駅ナカ薬局の台頭は、調剤薬局業界の構造変化を象徴しています。この変化は、薬剤師にとってチャンスでもあり、リスクでもあるのです。

門前薬局の収益が圧迫される中、立地戦略と多角化で成長する新業態薬局。ここで求められるのは、調剤だけでなく、OTC相談、健康サポート、在宅医療など幅広いスキルを持つ薬剤師です。

あなたが今、年収に不満を感じているなら。キャリアアップの道筋が見えないなら。それは、あなたの能力不足ではありません。

あなたが働く薬局のビジネスモデルが、時代に合わなくなっているだけです。

薬剤師の市場価値は、多くの人が思っているよりもずっと高い。

ただし、その価値を正当に評価してくれる薬局を見つけられるかどうか。そして、適切な交渉ができるかどうか。ここに、年収の差が生まれるのです。

薬剤師の市場価値は高いですが、パートナー選びを間違えると「買い叩かれて」終わります。私が人事部長として実際に『交渉力が高く、信頼できる』と感じたエージェントについて、以下の記事で生々しく解説しています。

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処方箋枚数、離職率、実際の年収レンジ、シフトの決まり方、OTC販売ノルマの有無。これらの情報を事前に確認できれば、転職の失敗リスクは大きく下がります。

今の職場で消耗し続ける必要はありません。あなたには、もっと良い環境で働く権利があります。年収700万円以上を実現し、なおかつワークライフバランスを手に入れる権利があるのです。

情報収集から始めてください。エージェントに登録し、市場の動向を把握する。それだけで、あなたのキャリアの選択肢は広がります。コンビニ併設・駅ナカ薬局という新しい波。この波に乗るか、取り残されるか。決めるのは、あなた自身です。

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この記事を書いた人

調剤薬局チェーン元人事部長・薬剤師・中小企業診断士。
約4年間、人事責任者として薬剤師の採用・評価制度設計に従事。大手を中心に20社以上の紹介会社と折衝し、採用の舞台裏から「紹介会社の実力差」を熟知する。現在は経営コンサルタントとして、調剤薬局の採用戦略や人事考課制度の設計支援を行う一方、薬剤師個人のキャリア支援も行っている。採用側と求職側、双方の視点を持つ「情報の非対称性を解消する」解説に定評がある。

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