【元人事部長が教える】薬剤師が4月入社を目指すなら、1月中に動かないと手遅れな理由

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2025年11月時点の情報です


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あなたの「4月から心機一転」という決意、本当に間に合いますか?

「4月から新しい職場で働きたい」

年末年始、実家に帰省して久しぶりに家族と過ごしながら、あるいは年越しの瞬間に、そう決意した薬剤師は少なくないはずです。新年度という区切りの良さ、新卒と同じタイミングで研修を受けられる安心感、円満退職しやすい3月末という退職日。4月入社を目指す理由は十分に理解できます。

しかし、その決意を「2月になってから動き出そう」「3月に入ってからでも間に合うだろう」と先延ばしにしていませんか。

私は元・調剤薬局チェーンの人事部長として、数多くの中途採用に携わってきました。その経験から断言します。4月入社を目指すなら、1月中(遅くとも2月上旬まで)に転職活動を開始しなければ、希望条件を100%満たす転職の難易度が上がります。選択肢を広げ、余裕を持って比較検討するためには、1月中のスタートが理想的です。

「まだ時間がある」と思っているあなたに、採用側の裏事情と、逆算して見えてくる厳しい現実をお伝えします。


なぜ1月中に動き出さなければ「手遅れ」なのか

採用側が見ている「4月入社」のタイムライン

多くの薬剤師が見落としているのは、採用側のスケジュールです。

私が人事部長時代に経験した採用の流れを具体的にお伝えします。4月1日入社の中途採用者を迎えるために、企業側は以下のようなスケジュールで動いています。

1月:中途採用の本格募集開始。年末年始明けに求人を公開し、書類選考を開始

2月前半:一次面接の実施。候補者の絞り込み

2月後半:最終面接、内定出し

3月:入社手続き、引き継ぎ期間

薬剤師の転職活動にかかる期間は約2ヶ月程度が目安です。転職活動に1ヶ月、退職するまでに1ヶ月必要となります。転職活動を始めてから内定をもらうまでには1ヶ月程かかり、紹介された求人情報の絞り込み、面接の日程調整、面接、内定までの選考期間にそれぞれ1週間程度は必要です。

つまり、4月1日入社を実現するためには、遅くとも2月中旬には内定を獲得し、そこから1ヶ月以上の引き継ぎ期間を確保する必要があります。

2月中旬に内定を得るためには、1月中に転職活動を本格的にスタートさせなければなりません。これは単純な逆算の問題です。

「3月から動いても大丈夫」という甘い考えが招く悲劇

「3月から転職活動を始めて、4月入社できました」という話を聞いたことがあるかもしれません。確かに、調剤薬局やドラッグストアの場合、急募案件であれば2週間程度で内定が出ることもあります。

しかし、それは「選べない転職」です。

時間がない状況では、年収交渉も十分にできず、職場環境の確認も表面的なものになりがちです。

「4月入社」という日程だけを優先した結果、本来得られたはずの年収50万円アップを逃したり、実は残業が月40時間を超える職場に入ってしまったりする。それは転職成功とは言えません。


1月から3月は「求人の質」が最も高い時期

ボーナス後に動く薬剤師の退職補充が始まる

1月から3月にかけて薬剤師の求人が増加する理由は明確です。

6月と12月はボーナスが支給されたあとで、薬剤師の求人数が増加する時期です。なかでも1月から3月は、普段は求人を出さない病院や企業からの募集が出ることがあります。

私が人事部長時代に経験した範囲では、12月のボーナス支給後は退職届を出す薬剤師が増える時期でした。その欠員を補充するために、年が明けた1月から求人を出すのです。

ここで特に注目すべきは、「普段は求人を出さない病院や企業」からの募集です。人気の病院薬剤師ポジションや、大手チェーンの好条件案件は、この時期にしか出てこないことが多い。1月中に動き出さなければ、これらのレア求人を見逃すことになります。

好条件求人は「早い者勝ち」という現実

1月~3月は、薬剤師の求人数が多い時期です。病院や薬局、企業は新卒採用に加えて、中途採用の求人募集も出始めるため、豊富な求人から自分に合った職場を探せるという特徴があります。しかし、求人が多いことは転職希望者にとって有利であるとは限りません。

この時期は転職を希望する人も多いため、人気の求人は競争率が高まる可能性があります。募集が早めに締め切られることもあるため、希望する求人を見つけたら、早めに応募手続きを進めるとよいでしょう。

求人数が多いということは、ライバルも多いということです。特に「年収700万円以上」「完全週休2日」「残業なし」といった好条件の求人は、公開から数日で応募が殺到します。

私が採用担当だった頃、人気求人には多くの応募がありました。そうなると、書類選考の段階で早く応募した人が有利になるのは当然の結果です。

1月中に転職エージェントに登録し、希望条件を伝えておけば、好条件求人が出た瞬間に連絡をもらえます。2月から動き出した人が「いい求人がない」と嘆くのは、実は「すでに締め切られた後」だからなのです。


4月入社ならではの「3つのメリット」を活かすために

メリット1:新卒と同じ研修を受けられる可能性

4月入社の最大のメリットは、新卒採用と同じタイミングで入社できることです。

薬剤師としての経験がまだ浅く、転職後の仕事に不安があるなら、新卒採用と同じ4月に転職する方法もあります。4月なら新卒と同じ新人研修を受けられる可能性があり、業務を一から学ぶことでその後の仕事への不安を軽くすることができます。未経験の職種にも挑戦しやすい時期といえるでしょう。

特に、病院から調剤薬局への転職、調剤薬局からドラッグストアへの転職など、業態を変える転職を考えている方にとって、このメリットは大きい。

大手チェーンの多くは、4月に新入社員向けの集合研修を実施します。ビジネスマナーから調剤業務の基礎、電子薬歴の操作方法まで、体系的に学べる機会です。中途入社の場合、時期によっては集合研修に参加できず、現場でのOJTが中心となるケースが一般的です。座学で体系的に学び直したい方にとって、4月入社は大きなチャンスとなります。

ただし、注意点があります。研修については転職先によって違いがあるので、転職後の教育体制が整っているかどうかはきちんと確認しておきましょう。

面接の段階で「4月入社の場合、新卒と同じ研修を受けられますか」と確認することをお勧めします。

メリット2:円満退職しやすい「3月末退職」

スムーズに転職するなら、3月末~4月がおすすめです。大手の調剤薬局やドラッグストアなどは4月に新卒の薬剤師が入社するケースが多く、後任の目途が立ちやすいため、3月末での退職は現在の勤務先の負担が少なく、円満退職しやすいです。

これは採用側の視点からも言えることです。4月に新卒が入社するタイミングであれば、あなたの抜けた穴を新卒で埋めやすい。「3月末で辞めたい」という申し出は、他の時期に比べて受け入れられやすいのです。

しかし、ここで重要なのが「退職を伝えるタイミング」です。

民法上、期間の定めのない雇用契約では退職の2週間前の意思表示で退職できるとされています。しかし、これは最低限の法的要件であり、円満退職のためには会社の就業規則を確認し、定められた期間(一般的には1~2ヶ月前)に従って意思を伝えるのがマナーです。

3月末に退職するためには、遅くとも2月中旬までには退職の意思を伝える必要があります。そのためには、2月前半には内定を獲得していなければなりません。やはり、1月中に動き出すことが必要なのです。

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メリット3:年度始まりで人間関係をリセットしやすい

4月は組織全体が「新しいスタート」のモードになります。新卒が入り、異動があり、チーム編成が変わる。そのタイミングで入社すれば、「新しい人」として自然に受け入れられやすい。

これが7月入社や10月入社だと、すでに出来上がった人間関係の中に入っていくことになります。もちろん、それでも問題なく馴染める人も多いですが、4月入社の方が心理的なハードルは低いでしょう。

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1月中にやるべき「具体的な行動」5ステップ

4月入社を実現するために、1月中に完了させるべき行動を具体的にお伝えします。

ステップ1:転職エージェントへの登録(1月第1週)

新年最初の平日から動き出してください。転職エージェントに登録し、面談日程を調整します。

なぜエージェントを使うべきか。それは、非公開求人にアクセスできるからです。好条件の求人の多くは、一般には公開されません。エージェント経由でのみ紹介される「非公開求人」として存在しています。

また、エージェントは採用企業の内部情報を持っています。実力のあるエージェントは、採用企業のリアルな内部情報を持っています。ただし、担当者によって情報量や能力に差があるため、「直近での入社実績はあるか」「離職率は把握しているか」等を質問し、情報の正確性を確かめることが重要です。

私が人事部長時代、実際に「交渉力が高く、信頼できる」と感じたエージェントについては、以下の記事で実名を挙げて解説しています。失敗したくない方は、必ずチェックしてください。

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ステップ2:自己分析と希望条件の明確化(1月第1~2週)

「なんとなく年収を上げたい」「今より楽な職場がいい」という曖昧な希望では、良い転職はできません。

以下の項目について、具体的に書き出してください。

絶対に譲れない条件

  • 年収の最低ライン(例:年収600万円以上)
  • 勤務地(例:自宅から電車で30分以内)
  • 休日(例:完全週休2日、土日休み希望)

できれば実現したい条件

  • 年収の希望ライン(例:年収700万円を目指したい)
  • 業務内容(例:在宅医療に携わりたい)
  • キャリアパス(例:将来的に管理薬剤師を目指したい)

避けたいこと

  • 前職で嫌だったこと(例:一人薬剤師は避けたい)
  • 人間関係の問題(例:パワハラ上司がいる職場は絶対に嫌)

ステップ3:職務経歴書の作成・ブラッシュアップ(1月第2週)

書類選考を通過しなければ、面接にすら進めません。

特に1月から3月は応募者が多いため、書類選考の競争率も上がります。「とりあえず」で作った職務経歴書では、他の候補者に埋もれてしまいます。

私が人事部長時代に「これは採用したい」と思った職務経歴書には、以下の共通点がありました。

採用される職務経歴書の3つの特徴

  1. 数字で実績を示している:「服薬指導を行った」ではなく「1日平均40名の患者に服薬指導を実施」
  2. 具体的なエピソードがある:「在宅医療に従事」ではなく「訪問薬剤管理指導で月15件の居宅患者を担当し、多職種連携カンファレンスに毎週参加」
  3. 志望動機と経歴が一貫している:「在宅医療を深めたい」という志望動機なら、現職でも在宅に関わった経験を強調
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ステップ4:求人への応募開始(1月第2~3週)

エージェントから紹介された求人の中から、興味のあるものに積極的に応募してください。

このとき重要なのは、複数の求人に同時に応募することです。1社ずつ結果を待っていては、時間がかかりすぎます。3~5社程度に同時に応募し、並行して選考を進めることをお勧めします。

「複数社に応募するのは失礼ではないか」と心配する方もいますが、採用側からすれば、優秀な人材が他社と比較検討するのは当然のことです。むしろ、1社しか受けていない人は「他に選択肢がないのでは」と不安に思われることもあります。

ステップ5:面接対策の準備(1月第3~4週)

書類選考を通過したら、面接です。

薬剤師の面接で必ず聞かれる質問は決まっています。事前に回答を準備しておけば、本番で慌てることはありません。

必ず聞かれる質問

  • 「転職理由を教えてください」
  • 「なぜ当社を志望したのですか」
  • 「これまでのキャリアで最も成長できたと感じる経験は」
  • 「5年後、10年後のキャリアプランは」

逆質問で評価が上がるポイント

面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれたとき、「特にありません」は最悪の回答です。この質問は、あなたの本気度を測るチャンスです。

「入社後3ヶ月で身につけるべきスキルは何ですか」「この薬局の強みはどこにあると考えていますか」といった、前向きな質問を用意しておきましょう。

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「退職を切り出すタイミング」を間違えると詰む

内定を獲得したら、次は現職への退職の意思表示です。ここで失敗すると、せっかくの内定も無駄になります。

内定後すぐに退職を伝える必要はない

内定を得た瞬間に「辞めます」と言いたくなる気持ちはわかります。しかし、まずは内定条件を書面で確認してください。

口頭で伝えられた条件と、労働条件通知書に記載された条件が異なるケースは少なくありません。「年収700万円と聞いていたのに、通知書を見たら650万円だった」という事態を避けるためにも、必ず書面で確認してから退職を切り出しましょう。

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退職の意思は「上司」に最初に伝える

退職や転職の悩みを職場の同僚や先輩に相談する薬剤師もいますが、退職の話が噂として上司の耳に入ってしまうリスクもあります。自分で退職意思を伝える前に上司が知ってしまうと非常に心象が悪くなり、退職交渉も難航する可能性もありますので、どれほど信頼できる人であっても伝える順序には気をつけることをおすすめします。

どれだけ仲の良い同僚であっても、退職の話を先に漏らしてはいけません。噂が先に広まると、上司のプライドを傷つけ、円満退職が難しくなります。

引き止めへの対処法を準備しておく

薬剤師は専門職であり、現場の人手不足に加え、後任採用にかかる時間やコストを企業が避けたいと考えるため、退職意思を伝えると引き止めにあうことが非常に多くなります。あなたに優柔不断な態度があれば、「後任が採用できるまで待ってほしい」などの強い引き止めを断りきれずにずるずると退職時期を遅らせることにもなりかねません。

「給料を上げるから残ってほしい」「管理薬剤師のポストを用意する」といった引き止めを受けることは珍しくありません。

しかし、一度退職の意思を示した後に残留しても、「いつ辞めるかわからない人」というレッテルを貼られ、キャリアアップの機会を逃すことが多い。覚悟を決めて退職を決意したのであれば、引き止めには応じないことをお勧めします。


「1月に動き出せなかった」場合の代替プラン

ここまで読んで「もう1月後半だ」「2月になってしまった」という方もいるかもしれません。

4月入社に完全に間に合わせることは難しくなりますが、代替プランを検討してください。

プランA:4月中旬~GW明け入社を目指す

4月1日にこだわらなければ、選択肢は広がります。4月中旬やGW明けの入社であれば、まだ間に合う可能性があります。

特に、4~5月は薬剤師国家試験の結果発表があり、不合格となってしまった人が内定を取り消される場合があるためです。また、大手病院などでは欠員が生じた場合、病棟薬剤業務実施加算やNSTなど、チーム医療算定の施設基準を満たせなくなり、病院経営に影響を及ぼしてしまう恐れがあります。そのため、「なんとしてでも人材を確保しよう」と穴場的な求人を出すことが多いです。

新卒の内定取り消しによる欠員補充は、「穴場」の好条件求人が出やすいタイミングです。

プランB:7月入社(夏入社)に切り替える

4月入社にこだわりすぎて、焦って転職先を決めてしまうのは本末転倒です。

ボーナス支給後の1月と7月は求人数も増加傾向にあります。人手不足を補うために、好条件の求人を出す場合も少なくありません。

6月のボーナス支給後に退職する薬剤師の補充として、7月にも求人は増えます。4月入社を逃しても、次のチャンスは必ず来ます。

ただし、7月入社を目指すなら、遅くとも4月第2週までに転職エージェントに登録し、4月中に自己分析・職務経歴書のブラッシュアップを完了させてください。4月後半からは求人への応募を開始し、5月前半に選考をスタートさせるのが理想的なタイムラインです。

同じことの繰り返しになりますが、「まだ時間がある」と思った瞬間から、時間は急速に失われていきます。


あなたの市場価値は、あなたが思っている以上に高い

最後に、転職を決意しながらも一歩を踏み出せないでいる方へ。

「今の職場を辞めて、本当に良い転職先が見つかるのだろうか」 「自分のスキルで、年収アップなんて可能なのか」 「もう若くないし、転職市場で評価されるか不安」

そう考えて、行動を先延ばしにしていませんか。

私は人事部長として、多くの薬剤師の面接を行ってきました。その経験から言えるのは、薬剤師の市場価値を正しく理解している人は驚くほど少ないということです。

あなたが「当たり前」だと思っている経験やスキルが、実は他の職場では高く評価されることがあります。調剤経験、服薬指導の実績、在宅医療への関与、後輩指導の経験。それらすべてが、あなたの「武器」になります。

では誰に相談したら良いのでしょうか?

実は、人事部長として多くの紹介会社と付き合う中で、「この会社の担当者からの電話なら、どんなに忙しくても取る」と決めていた会社が数社だけありました。なぜ彼らは特別だったのか?どうすれば、あなたの経験とスキルを、最大限評価してくれる職場を見つける「本物の担当者」に出会えるのか。 

ここで書くと長くなるため、採用担当しか知らない「エージェント活用の裏ノウハウ」として別の記事にまとめました。本気で転職を成功させたい方だけご覧ください。推奨は、3社すべてに登録し、担当者の質や求人の内容を比較することです。

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今の環境で悩み続けたあなたを、誰も責めることはできません。しかし、行動を起こさなければ、何も変わりません。1月中に動き出せば、4月には新しい職場で新たなスタートを切れます。あなたの決断が、未来を変えます。

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この記事を書いた人

調剤薬局チェーン元人事部長・薬剤師・中小企業診断士。
約4年間、人事責任者として薬剤師の採用・評価制度設計に従事。大手を中心に20社以上の紹介会社と折衝し、採用の舞台裏から「紹介会社の実力差」を熟知する。現在は経営コンサルタントとして、調剤薬局の採用戦略や人事考課制度の設計支援を行う一方、薬剤師個人のキャリア支援も行っている。採用側と求職側、双方の視点を持つ「情報の非対称性を解消する」解説に定評がある。

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