採用側の本音|書類選考で落ちる薬剤師と即内定が出る薬剤師の決定的な差

2025年09月時点の情報です

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あなたは「採用したい薬剤師」ですか?

「書類選考で落ちるのは、なぜだろう」

転職活動を始めた薬剤師の多くが、この疑問に直面します。薬剤師免許を持ち、実務経験もあるのに、なぜか面接にすら進めない。返ってくるのは「今回は見送らせていただきます」という定型文ばかり。

実は、採用側には明確な「採用したい薬剤師」と「採用したくない薬剤師」の基準が存在します。しかもその基準は、求人票には一切書かれていません。

私は調剤薬局チェーンで人事部長として、年間200名以上の薬剤師の採用に携わってきました。面接官として数え切れないほどの薬剤師と向き合い、採用・不採用の判断を下してきた経験があります。

その中で気づいたのは、不採用になる薬剤師には共通するパターンがあるということです。そして残念なことに、その多くは「少しの工夫」で回避できるものばかりなのです。

今日は人事部長の立場から、採用側の本音を包み隠さずお伝えします。この記事を読めば、あなたの転職活動における成功確率は確実に上がるはずです。


採用側が見ているのは「薬剤師免許」ではない

人事部長が面接で本当に評価しているポイント

多くの薬剤師が誤解していることがあります。それは「薬剤師免許さえあれば採用される」という思い込みです。

確かに薬剤師は資格職です。免許がなければ調剤業務はできません。しかし採用の現場では、免許は「前提条件」に過ぎないのです。

私が人事部長として重視していたのは、次の3つでした。

1. コミュニケーション能力の高さ

調剤薬局では患者さんへの服薬指導だけでなく、医師や看護師との連携、事務スタッフとの協働が不可欠です。「薬のことは詳しいが、説明が一方的で患者さんが理解できていない」という薬剤師は、現場で必ずトラブルを起こします。

面接では、質問への回答内容よりも「相手の意図を汲み取れているか」「分かりやすく説明できるか」を注視していました。

2. 組織への適応力

「前の職場ではこうだった」と自分のやり方に固執する薬剤師は、新しい環境で苦労します。特に中途採用では、既存のスタッフとの人間関係構築が最重要課題です。

面接で「前職の退職理由」を聞くのは、この適応力を測るためです。「人間関係が悪かった」と答える人は要注意。なぜなら、新しい職場でも同じ問題を繰り返す可能性が高いからです。

3. 成長意欲と学習姿勢

薬剤師を取り巻く環境は急速に変化しています。調剤報酬改定、在宅医療の推進、かかりつけ薬剤師制度の拡充など、新しい知識とスキルが常に求められます。

「今の知識で十分」という姿勢の薬剤師は、5年後には確実に市場価値を失います。面接では「最近読んだ専門書は何か」「どんな勉強会に参加しているか」を質問し、学習意欲を確認していました。


【書類選考段階】即不採用になる職務経歴書の特徴

人事部長が「この人は呼ばない」と判断する瞬間

書類選考で落ちる薬剤師には、職務経歴書に共通する問題があります。私が人事部長時代、即座に不採用と判断していたパターンを紹介します。

転職回数が多いのに、理由が書かれていない

薬剤師の転職は珍しくありません。しかし3年以内に3回以上の転職を繰り返している場合、採用側は「何か問題があるのでは」と警戒します。

このとき重要なのが、各職場での経験と学びを明記することです。「〇〇薬局では在宅医療の経験を積み、△△薬局ではかかりつけ薬剤師として患者対応力を磨いた」というように、キャリアの一貫性を示す必要があります。

単に「一身上の都合により退職」と書かれた職務経歴書は、読む気すら失せます。

具体的な業務内容が書かれていない

「調剤業務全般に従事」「服薬指導を担当」といった抽象的な記述だけでは、あなたの実力は伝わりません。

採用側が知りたいのは、具体的な数字と成果です。「月間処方箋枚数800枚の門前薬局で、1日平均40名の服薬指導を担当」「在宅患者15名を継続的にサポート」といった記述があれば、即戦力として評価されます。

私が人事部長だった頃、ある応募者の職務経歴書に「患者クレーム対応マニュアルを作成し、店舗内での対応品質を統一」と書かれていました。この一文で、その人の問題解決能力とリーダーシップが一目で分かりました。結果、書類選考を通過し、面接でも高評価を得ました。

志望動機が「給与」「休日」だけ

給与や労働条件は転職理由として当然です。しかし、それだけを前面に出すと「条件が良ければすぐ辞める人」と判断されます。

志望動機には、その企業・薬局の特徴と自分のキャリアプランを結びつける必要があります。「貴社の在宅医療への積極的な取り組みに共感し、自身のスキルアップと地域医療への貢献を両立したい」というように、具体性を持たせることが重要です。


【面接段階】採用したくない薬剤師の典型的な言動

面接官が内心で「不採用」と決めている瞬間

面接では、質問への回答内容以上に「立ち居振る舞い」が重視されます。私が面接官として、即座に不採用を決めていた言動を公開します。

遅刻してきて謝罪が不十分

「電車が遅れまして」と一言だけ謝罪し、席に着く応募者がいました。交通機関のトラブルは誰にでも起こり得ます。しかし問題は、その後の対応です。

採用したい薬剤師は「申し訳ございません。電車遅延で10分遅れましたが、次回以降はさらに余裕を持って行動します」と、反省と改善策をセットで伝えます。

遅刻の事実よりも、その後の対応で人間性が露呈するのです。

前職の悪口を言う

「前の薬局長が横暴で」「事務スタッフが使えなくて」といった発言は、絶対にNGです。たとえ事実であっても、採用側は「うちに入っても同じことを言うだろう」と判断します。

退職理由を聞かれたら「より専門性を高められる環境を求めて」「在宅医療に注力したいと考えて」といった前向きな表現に変換すべきです。

私が面接した薬剤師の中に、前職での人間関係トラブルを延々と話す人がいました。その時点で不採用は確定しました。なぜなら、問題の原因を他者に求める姿勢が明らかだったからです。

給与交渉を面接の場で始める

「年収はいくらまで出せますか」「残業代は全額支給ですか」といった質問を、面接の序盤から投げかける応募者がいます。

条件確認は重要です。しかし面接の目的は「相互理解」です。まずは自分の経験とスキルをアピールし、企業側に「この人を採用したい」と思わせることが先決です。

給与交渉は内定後、もしくは転職エージェントを通じて行うのが鉄則です。直接交渉すると「条件ありき」の印象を与え、採用側の熱意を冷ましてしまいます。


【逆に】採用側が「この人を採用したい」と思う薬剤師の特徴

即内定が出る薬剤師に共通する5つの要素

ここまで不採用になるパターンを解説してきました。では逆に、採用側が「ぜひ採用したい」と思う薬剤師には、どんな特徴があるのでしょうか。

具体的なエピソードで実力を証明できる

「患者対応力があります」と言うだけでなく、具体的なエピソードで証明できる人は強いです。

例えば「高齢の患者さんが複数の医療機関から処方された薬を飲み間違えていたため、お薬手帳を活用して一元管理を提案しました。その結果、服薬コンプライアンスが改善し、主治医からも感謝されました」といった話です。

このようなエピソードがあれば、面接官は「この人は現場で確実に成果を出せる」と確信します。

質問の質が高い

面接の最後に「何か質問はありますか」と聞かれた際、「特にありません」と答える人は論外です。逆に質の高い質問をする人は、採用側の評価を一気に上げます。

質の高い質問とは「御社では在宅医療の割合が高いと伺いましたが、新人薬剤師の教育体制はどうなっていますか」「かかりつけ薬剤師の取得を推奨されていますか」といった、企業研究の深さと成長意欲が伝わるものです。

自己分析ができている

自分の強みと弱みを正確に把握し、言語化できる人は信頼されます。

「私の強みは患者さんとの信頼関係構築です。前職では、服薬指導の際に必ず患者さんの生活背景を聞き取り、その人に合った服薬方法を提案していました」

「一方で、在宅医療の経験が少ないことが課題です。そのため今後は積極的に在宅研修に参加し、スキルアップを図りたいと考えています」

このように強みと弱みをセットで語れる人は、自己認識力が高く、成長の伸び代があると判断されます。

柔軟性と適応力がある

「前の薬局では午前中に在庫確認をしていましたが、御社の方式に合わせます」といった柔軟な姿勢を示せる人は、現場での適応が早いと評価されます。

逆に「私のやり方はこうです」と自分の方法に固執する人は、既存スタッフとの摩擦を生む可能性が高く、敬遠されます。

転職理由が前向き

「現在の職場に不満はありませんが、より専門性を高めたい」「かかりつけ薬剤師として地域医療に貢献したい」といった前向きな転職理由は、採用側に好印象を与えます。

特に「御社の〇〇という取り組みに共感しました」と、企業研究の深さが伝わる発言ができれば、面接官の心を掴めます。


年収交渉で成功する薬剤師、失敗する薬剤師

人事部長が明かす「給与アップの交渉術」

年収交渉は転職活動の最重要ポイントです。しかし多くの薬剤師が、この段階で失敗しています。

失敗パターン:自分で直接交渉する

「年収600万円を希望します」と面接で直接伝える人がいますが、これは悪手です。なぜなら、企業側は「この人は金額次第で他社に行く」と判断し、採用の優先順位を下げるからです。

また、直接交渉すると企業側が一方的に条件を提示し、応募者側は「それでは厳しいです」と言いづらくなります。結果、不本意な条件で入社することになります。

成功パターン:転職エージェント経由で交渉する

年収交渉は必ず転職エージェントを介すべきです。エージェントは企業側の予算や相場を把握しており、最適な金額を提示してくれます。

私が人事部長だった頃、エージェント経由で「この方は在宅医療の経験が豊富で、即戦力として期待できます。年収650万円でご検討いただけませんか」と提案されたことがあります。

直接交渉なら「高すぎる」と断っていたかもしれません。しかしエージェントの丁寧な説明により、その薬剤師の市場価値を理解し、提示額で採用を決めました。

年収交渉で成功したいなら、ファルマスタッフ、レバウェル薬剤師、ファル・メイトといった薬剤師専門の転職エージェントを活用してください。彼らは交渉のプロであり、あなたの市場価値を最大化してくれます。


「採用したくない薬剤師」から脱却するための具体的な行動

今日からできる5つの改善策

ここまで読んで「自分は採用されない側だったのか」と落ち込む必要はありません。重要なのは、今から行動を変えることです。

職務経歴書を書き直す

抽象的な表現を削除し、具体的な数字と成果を追記してください。「調剤業務を担当」ではなく「月間処方箋枚数900枚の門前薬局で、1日平均45名の服薬指導を実施」と書き換えるだけで、印象は劇的に変わります。

面接の練習をする

家族や友人に面接官役をお願いし、想定質問への回答を練習してください。特に「退職理由」「志望動機」「自己PR」は完璧に答えられるまで繰り返すべきです。

転職エージェントの多くは模擬面接サービスを提供しています。プロの視点からフィードバックをもらえるため、積極的に活用してください。

企業研究を徹底する

応募先の企業・薬局について、ホームページやSNS、口コミサイトで情報収集してください。「在宅医療に力を入れている」「地域密着型の経営」といった特徴を把握し、面接で具体的に言及できるようにしましょう。

転職エージェントに相談する

自己分析や職務経歴書の添削、面接対策まで、転職活動の全てをサポートしてくれるのが転職エージェントです。特に薬剤師専門のエージェントは、業界の内情を熟知しており、採用側の視点からアドバイスをくれます。

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ネガティブな言葉を封印する

面接では絶対に前職の悪口を言わないでください。どんなに理不尽な職場だったとしても「より良い環境を求めて」と前向きに表現する習慣をつけましょう。


採用側が見ている「本当の評価基準」

薬剤師免許以上に重視される3つの要素

最後に、採用の現場で本当に重視されている評価基準をお伝えします。これは求人票には決して書かれませんが、合否を分ける決定的な要素です。

長期的に働いてくれるか

採用には多大なコストがかかります。求人広告費、面接官の時間、入社後の研修費用など、一人採用するだけで数十万円の投資が必要です。

だからこそ採用側は「すぐに辞めない人」を求めています。転職回数が多い人が不利なのは、このためです。

面接では「なぜこの薬局を選んだのか」「ここで何を実現したいのか」を明確に語れるかが重要です。長期的なキャリアビジョンを示せれば、採用側の不安は解消されます。

組織に良い影響を与えられるか

一人の薬剤師が入社することで、既存スタッフのモチベーションが上がるか、それとも下がるか。採用側は常にこの点を気にしています。

面接での態度、言葉遣い、表情から「この人は周囲と良好な関係を築けるか」を判断されています。笑顔で話す、相手の目を見る、感謝の言葉を伝えるといった基本的なコミュニケーションが、合否を分けるのです。

成長意欲があるか

薬剤師業界は変化の真っ只中にあります。オンライン服薬指導、リフィル処方箋、地域連携薬局制度など、新しい制度が次々と導入されています。

「今の知識で十分」という姿勢の薬剤師は、5年後には確実に市場価値を失います。面接では「最近どんな勉強をしていますか」「今後どんなスキルを身につけたいですか」という質問で、成長意欲を確認されます。

具体的な学習計画を語れる人は、採用側から高く評価されます。


あなたの市場価値は、あなたが思っているよりずっと高い

転職活動で不採用が続くと「自分には価値がないのでは」と感じてしまいます。しかし、それは誤解です。

あなたが不採用になっているのは、能力が低いからではありません。単に「見せ方」を知らないだけなのです。

私は人事部長として、優秀な薬剤師が不適切な職務経歴書や面接対応のせいで、不採用になる場面を何度も見てきました。その度に「もったいない」と感じていました。

あなたの経験とスキルは、必ず誰かが必要としています。大切なのは、それを適切に伝える技術を身につけることです。

職務経歴書の書き方、面接での受け答え、年収交渉の進め方。これらは全て「技術」であり、学べば誰でも習得できます。

一人で悩む必要はありません。転職エージェントという強力な味方がいます。彼らは採用側の視点を理解しており、あなたの強みを最大限に引き出す方法を知っています。

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今の職場で消耗し続ける必要はありません。あなたには、もっと良い環境で働く権利があります。

その第一歩を、今日踏み出してください。あなたの決断を、私は心から応援しています。

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この記事を書いた人

元・調剤薬局チェーンの人事部長(薬剤師)|激務で倒れたら猫に|人事部長としての経験から「転職エージェント(紹介会社)が、採用側(私たち)にどう向き合い、転職者(あなた)をどう扱っているか」など有益情報を発信|理想の職場探しはプロに相談するニャ👇

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